緋弾のアリア 夢見る夜の物語
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三話 妖精の追跡者
前書き
誤字脱字多いかもしれません
聖との電話が終わり、改めて考える。この学校に内通者がいる、少なくとも、チャリジャックのことは知っていた。そして尋問科にいた輸送者達も口止めするように殺されている。尋問に関わった聖も狙われていることは確かな今、俺も安全ではないな。ふと昔に起きた事件を思い出す。
豪華客船沈没事件、あの時俺は船に乗っていた。キンジの兄の金一さんが犠牲になった事件。俺は金一さんと共に乗客を避難させた。その結果死者はゼロで乗り切ることができたはずだった。このことは金一さんからの頼みでキンジには言っていない。『久永、お前はこの船に乗っていなかった。わかったな。だから、何も知らないんだ。何があってもそれを貫け。』それを最後に金一さんは俺を誰も乗っていない救命ボートに突き落とした。それから数秒後船が爆発した。
金一さんはあの事件が起きることを知っていたのかもしれない。
ふとそんなことを考える。
普通に考えてありえないことだと自嘲する。だが、なぜかそのことが頭にひっかかっていた。
今朝来た喫茶店は放課後というのもあって賑わっている。向かいの席のこなみはもらって来たパンフを見つつ悩んでいる。
リラックスもかねて注文したコーヒーを飲んだ。
「あの夢夜さん」
「どうした?」
「今日は本当にありがとうございます。どこから来たかもわからないような私を守ってくれて。」
嘘偽りのない真っ直ぐな言葉だ。
「べ、別にし、仕事だから気にするな。」
少し照れてしまい噛んでしまう。
「なんか得した気分です。」
こなみが笑う。純真無垢な微笑みが俺には眩しく感じた。
「そういえば、学科決まった?」
「いえ、でも、探偵科か救命がいいかなと思ってます。」
ふと、帰りの道に視線がいく。チェスの男からの忠告がなんか当たってるような気がした。これから桃色に気をつけなければいけないのかな。
そんなことを思っていると道の先から人が歩いてくる。目を凝らすとこなみと同じくらいの女の子のようだ。近づくに連れその少女が異質であることに気づく。
まず、目に入るのは服装だ。この喫茶店の客は基本学生だ。学生なら制服や私服が一般的だろうが少女は今朝こなみが着ていた拘束着に似ている。少し違うところはフードを被らず堂々としているところだろう。
次に少女の手にしている獲物だ。レイピアほどの剣を右手に持っている。武偵校ならば普通の光景であるがその剣には紅い液体が付着している。
そして、決定的なものはこちらに向けて異様な殺気を送りつけているところだ。
「こなみ。行くぞ。」
俺は立ち上がり言う。
「どうしたんですか?まだ、残ってますよ」
こなみは状況をつかめていない。俺はすぐさまこなみの手をとり店を出ようとする。すると、出入口で足の前にレイピアが刺さる。
「逃がさない。」
さういうと、体に衝撃が走る。少しあった間合いを一瞬でつめ蹴りを入れてきた。とっさに防ぐも、受けきれずダメージが残る。
「おまえ、邪魔者?」
「何者だ」
「答える義理はない。そして、これから生きることもない。」
そう言うと刺さっていたレイピアを抜いた。
「もう一つ質問だ。尋問科にいた容疑者、やったのきみ?」
銃を抜きつつ言う。しかし、敵は何も答えない。こなみとは反対色のブロンドが風になびく。
「クライアントが待ってる。警告、モデルN一緒にこい」
殺気がこなみを射抜いた。
「無視するな」
同じくらいの殺気で返した。
「邪魔」
同時に突風が俺を襲う。痛みが体中に走っているのがわかる。一つわかったこと今相対している相手は普通じゃない。俺は牽制として引き金を引く。すると、弾丸は少女に当たる寸前で弾かれる。
「無駄」
今度は斬りかかってきた。とっさにナイフを取り出し防ぐも力負けして押し出される。
「あなた強いの?」
切っ先を向けて聞いてきた。
「別にただの高校生だけど」
俺はそう言ってフラッシュを投げる。
「目くらまし」
朝と同じようにこなみの手を引き逃げる。店にいた人が群がって来ていたので俺は場所を変えることにしたのだ。
「こなみ、あいつを知ってる?」
「いえ、知りません」
こなみも少し震えている。握っている手を少し強く握る。この手だけは離していけないような気がした。
「見つけた」
再び突風が襲ってくる。しかし、今度は回避する。
今のところ誰も来るとのなさそうなコンテナの前だ。
俺はナイフを構える。
「邪魔やめない?。そしたら殺さない。」
相手もレイピアを構える。
「おあいにくこの娘は俺の護衛対象なんでな」
「そう」
相手は、先程より早く斬りかかる。俺もナイフで防ぐが、
「無駄」
防いだと感じた剣は脇腹を切り裂いていた。
「防弾制服に感謝しないといけないね」
運良く制服が破るだけで済んだものの状況は悪いままだ。
「ナイフは慣れてないから困るよ」
自嘲気味にいう。
そして踏み出し、斬りかかるがリーチが上の相手は難なく伏せ再び斬る。寸分で躱しカウンター気味に相手の腕を狙い斬る。しかし、見えない何かがそれを阻む。
「っく。めんどくさ」
すぐに一撃をいれ距離を取る。
「あなた強い。でも、私の方が上」
「そうみたいだね。」
さて向こうはいくらでも攻撃できるにたいしてこちらは何もできない。せめて愛用の近接武器があればいいのだが。あいにくメンテナンス中だ。
「ここは引いてくれないかな」
駄目元で提案してみる。
「拒否する。」
即答された。
「じゃあ、恨まないでね」
「そっちこそ。次で決める」
少女の殺気が一層強くなる。お互いに構える。辺りが静まり変える。
動き出したのは向こうだ。それも今までよりも一段と早い突きだ。避けるも反応しきれずに左の方辺りに刺さる。激痛が走った。
「すごい。急所狙ったのに。ずらされた」
驚きを隠せずにいる少女の手を掴む。通常攻撃が当たらない以上。多少捨て身ではあるが至近距離から試したいものが一つあった。
俺はすぐにナイフの柄についたスイッチをいれる。そして一気に振り払う。すると衝撃波が生まれ相手はもろに食らう。そして一気に吹っ飛ばされた。俺も作戦の成功に胸を撫で下ろしつつ刺さったレイピアを抜く。
「やっば京菱かー。また、助けられたな。」
今切り払ったナイフはステルスを斬り裂く衝撃波を生み出す機能を備えていた。しかし、欠点として一撃しか使えない、加えてナイフ自体も使い物にならなくなる。
「夢夜さん!!!大丈夫ですか!?」
隠れていたこなみが近づいてきた。
「ああ、大丈夫だよ。そっちも怪我はなさそうだね」
「でも、夢夜さん、血が........」
「大丈夫だって」
すぐに止血をする。
そうしていると、再び強い殺気が向けられる。
見ると倒した少女が立ち上がり剣を構えていた。
「予想外。プラン変更」
剣の周りに風が集まっていく。
「モデルN削除」
こなみ向け一気に振り下ろす。集まった風が襲いかかって来る。俺はこなみを庇うように抱き寄せた。背中から激痛と衝撃が走る。
衝撃が強く俺たちは勢いで海に落ちた。
「時間。帰投する」
それを最後に俺は意識を失った。
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