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仮面ライダー龍騎【13 people of another】

作者:Миса
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Part One.
First chapter.
  第8話

「はい、朝ごはんできましたよ」
「おお!なんか、久しぶりにまともな朝飯が我が家に!」

次の日の朝、結局ナナは芳樹と亮平の家に泊まることになった。
ナナは世話になっているのだからと家事を全部することになった 。そのおかげで二人は課題に専念することができるのだ。
芳樹はナナが持ってきた朝食を見て歓喜をあげる。メニューはいたってシンプルで、目玉焼きとベーコン、食パンにスープと男子大学生の二人にとってファミレス以外で食べる久しぶりの朝食だった。

「冷蔵庫、中身があんまり無かったんで量は少ないですけど」
「ううん!全然大丈夫、むしろありがとう」
「ナナくんは料理が得意だな〜」
「城戸さんには負けますけど」
「あの人と比べるのがおかしいぞナナ」
「あの人は同じ人間じゃないから」

じゃあいったい城戸さんは何者なんだよ、とナナは心の中でツッコミを入れた。
三人は軽く手を合わせ朝食を食べ始める。
朝食を食べ終えた二人は大学へ行く用意をする。

「あ、そうだナナくん」
「はい、なんですか?」
「あと少しで俺たちも夏休みだから、どこか一緒に遊びに行こう!」
「いいんですか?」
「うん、ナナくんはどこか行きたい場所あるか?」
「……考えておいてもいいですか?」
「いいよ、ゆっくり考えていてくれ」
「亮平、早く行こうぜ」
「待ってくれよ芳樹!」

亮平は慌てて靴を履いて外へ出ようとする。

「亮平さん、芳樹さん!」
「?」
「どうしたナナ」
「あ……ぇと、いってらっしゃい!」
「おう、行って来ます」
「行って来るよ」

ナナは二人に手を振る。
バタンと閉じられた扉を見てナナは悲しそうな顔をする。

「………俺に、あの人達を殺せるだろうか……」

ナナは自身の手を見つめる。その手はフルフルと震えていた。


怖いのか?


目を閉じてナナは何も考えないようにする。
途端にやって来るのは洞窟の中のような暗闇。

「こんなに明るい場所なら、出て来なければ良かった」

ずっと、洞窟の中であの人の影を追い続けていれば良かった。

キィーン…

ポツリと呟くとあの音がやってきた。



───…



「お前が王蛇?」

王蛇の目の前には茶色のライダー、仮面ライダーインペラーがそこにいた。

「だったらどうなんだ?」
「いやね、デッキをくれた奴が話していたからさ。まず、この戦いを知るためにお前と戦えってさ」
「……成る程な」

王蛇はインペラーから視線をそらす。
あの男は、この男を生贄にするつもりなのだろう。なかなか進まない戦闘(バトル)を早く終わらせるために、戦いの感覚を王蛇に思い出させるために。

王蛇はインペラーと向き合い、牙召杖(ベノバイザー)を取り出した。



そんな二人の戦いに気がついたのは亮平だった。
近々開催されるファッションコンテストの準備をするために街へ買い物をしていた亮平の目の前の鏡に王蛇とインペラーが戦う姿を見たのだ。
戦いの状況はもちろん王蛇が圧倒的に有利だった。
亮平はすぐにライアに変身しミラーワールドへと入る。


ミラーワールドに来ると王蛇とインペラーはライアを見る。

「キミは、始めて会うライダーだな」
「だったら?」
「……なんで、ライダーになった?」
「願いを叶えるためだろ?当たり前」
「そうか、なら俺はお前を見逃す理由がなくなった」

ライアはインペラーとすぐに抗戦しようとするが王蛇はそれを止める。

「こいつは俺の獲物だ、邪魔をするな」
「それなら、三人でやるか?」
「賛成」

三人は睨み合い、次の瞬間に同時に攻撃を繰り出した。



───…



「油島さーん?」

三人が戦っている時、芳樹は油島の家を尋ねていた。
なぜここに来たかというと、ナナのことだ。昨日ナナが何故か怒り、その理由をここに来ればわかるだろうと思い来たのだ。

「インターホン鳴らしても出て来ないし……仕事かな?」

しかしドアはすんなりと芳樹の侵入を許可してしまった。

「ぶ、不用心だな……」

家の中に入ると、そこにはベッドで寝ずにソファに寝ている油島がいた。しかもスーツ姿のままだ。

「ゆ、油島さん?いたのかよ!」
「あー………その声は……桑元か?」
「あ、はい。そうですよ……って起きてたんですか?」
「さっき、お前が入ってきた時に」

油島は起き上がると芳樹を部屋の奥へと案内しテーブルに座らせると、油島は冷蔵庫へと向かった。

「麦茶でいいか?」
「はい、お構いなく……」

麦茶の入ったコップを芳樹の目の前に置く。

「あの、ナナの事なんですけど」
「あれか?あれは、完全に俺が悪い……ってかおふくろを思い出したよ」
「え?」

油島はぽりぽりと頬をかくと、ゆっくりと話し始めた。

「どんな奴だって、飯作った後にいらないなんて言われたら怒るだろ?がんばって作ったんだから」
「……確かに…そうなんですか?」
「ましてや、俺は読川が晩飯を作る時間帯を知ってるんだ、連絡くらいしてやるのが筋だろ?」
「まあ、そう言われてみれば」
「そう考えると、おふくろの気持ちがよくわかったよ。俺なんか、ロクに部屋の掃除もしなかったのに、おふくろが善意で掃除をしてくれたのにそれを咎めたこともあったし……」

油島は懐かしそうに顔を歪める。

「ただ、このままだと非常にヤバイ」
「はい?」

次の瞬間、油島はいつになく真剣な顔に変わった。

「ヤバイんだよ、家事は全部読川がやってくれてたし……俺は家事なんてとてもじゃねぇけどできないし……」
「つまり、ナナがいないと油島さんは……」
「死ぬ自信はあるな」

油島は何故か自信に満ち満ちた顔をしていた。



──────────



「…………っくそ」

ナナは芳樹と亮平に貸して貰った合鍵を使って家の外へ出ていた。

「仮面ライダーインペラー、か……めんどくさい」

ナナはとあるビルの屋上で街を見下ろしていた。
びゅうびゅうと吹く風を身体で感じながら、先程の戦いを思い出す。

ナナはインペラーの【Final Vent】で深手を負った。
単純に油断していた。
多数のレイヨウ型モンスターが一斉に攻撃した後、最後をインペラーが左足で飛び膝蹴りを決めて止めを刺す【ドライブディバイダー 5000AP】をまともに受けてしまったのだ。

このまま帰るといろいろとヤバイと判断したナナはミラーワールドからこの屋上へやって来たのだ。

「へぇ、あんたが仮面ライダー王蛇なんだな」

後ろから声が聞こえ、ナナは振り返る。
そこにはニヤニヤと笑う男が立っていた。

「誰だ、お前」

男はナナが座っている隣に座る。

「仮面ライダーインペラー、よろしく!」
「インペラー?」
「さっき戦っただろ?覚えてないのか?」
「いや、覚えてはいるけど」
「俺は植原(うえはら)数馬(かずま)。それにしても、高校生?だろ、お前」

ナナは植原数馬と名乗るこの男といて無性にイライラして来た。

「こんな所に何の用?早く帰れよ」
「釣れないなぁ……俺はお前の味方だってのに」
「味方?」
「そう、味方!目的は一緒だろ?ライダーを倒して願いを叶える……お前もそのつもりなんだろ?」

………味方?何を言っているんだ、この男は……このライダーの世界に味方なんているわけがないだろ。
味方なんていない。結局はみんな敵、あの人達もみんなみんな敵なんだ、だからそれまでずっとライダーを殺し続けた。
そうだ、味方だと思わせておけばいい。そうすれば、自分の手を汚さずにあの人達を殺せるかもしれない。

ナナは一瞬でそう判断した。
彼は良くも悪くも、優しい……それなのに人一倍戦いを求めている。
今、ナナは堂々と王蛇に変身することができない、だからそれまでこの男に……。ナナはそう思っていた。
だが、一番のところは自分で戦いたい。そして、いち早く浅倉威を生き返らせたい。最近では特にそう思うようになった。理由は、亮平や芳樹、油島と日ノ岡のせいだ。ナナはこの感情を浅倉威以外に向けた事はなかった、だからこそナナは戸惑い、焦り始めたのだ。

自分が自分でなくなってしまうような気がしたから……。

「………植原だっけ?お前は何を願うつもりなんだ?」
「俺を苔にした奴らをこの世から消し去る」
「………」
「俺が言ったんだ、お前も言えよ。あと名前も」

ナナはしばらく考えた後に口を開いた。

「願いは、とある人を生き返らせること……名前は、読川ナナ」




「あのモンスター多すぎる!」

亮平はインペラーの契約モンスターであるギガゼール、その他のゼール系モンスターから逃げ、ミラーワールドから帰ってきたところだ。

亮平は一息つくと空を見上げる。
雲ひとつない空を見て亮平は大学へ戻るために足を運んだ。


──…


「ナナくん!」
「は、はい?」
「次はこれを着て!」

芳樹と亮平の家に帰ってきたナナはすぐに亮平の着せ替え人形と化していた。
ナナはそれに戸惑いながらも亮平の言われた通り、次から次へと服を着せ替えていく。

「読川くんドンマイ」
「俺らは優雅にこの着せ替えショーを楽しむさ」
「ちきしょう」

ナナの気など梅雨知らず、亮平はまだ着せ替えショーを続けるつもりでいるらしい。
「イマイチ」と亮平は頭を抱える。

「ナナくん、何か好きな物はない!?」
「す、好きな物、ですか?」
「そう、好きな物!」

ナナはしばらく考えるとある一つの答えを出した。

「えっと………ヘビ、が好きです」
「ヘビ?」
「はい、カッコいいし…….強そうだし、俺もともと爬虫類とか好きで、サイフの中とかヘビの皮入ってるし、それくらいすきなんで………」

亮平の手がプルプルと震える。

「採用!」

怒られると身構えていたナナはあっけらかんとした。
そして亮平は勢い良く紙に何かをガリガリと描き始めた。

「芳樹!そこのボタン箱取って!」
「え?ああ…ハイハイ……」
「イケる!これ、絶対にイケる!」

もう止まらなくなってしまった亮平を見て三人はただただ固まるしかなかった。

「よし今日はこのまま徹夜だ!」
「いや、ちゃんと寝てくださいよ!」





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後書き
今回は文章量が少なく、大変申し訳ありませんでした。
次回はちゃんと書きます! 
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