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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第八幕その八

「美味なるものです、それて立ち食い蕎麦屋にも置いてあります」
「関西では天かすを入れることは普通だからですね」
「それを入れてもたぬきとは呼びません」
「だから揚げなのですね」
「そうです、しかし京都はまた違いまして」
「あの街ではですか」
 先生は既に見んなと一緒にその京都に行っています、狐さん達との思い出は先生達にとって非常に懐かしいものです。
「どんな風になっているのでしょうか」
「まず油揚げを刻みまして」
 それから、というのです。
「そしておうどんかお蕎麦の上に乗せて」
「それでたぬきでしょうか」
「いえ、そこからあんをかけます」
「それを、というのです」
「あんかけなのです」
「揚げを刻んで乗せて」
「おうどんやお蕎麦にです」
 それが京都のきつねうどん、たぬきそばだというのです。
「西でたぬきうどんがあるのは京都だけです」
「ううむ、それぞれの地域で違うのですね」
「そうです、松山は西なので」
「あれがたぬきそばですね」
 揚げを入れたそれが、というのです。
「そうなのですね」
「そうです、美味しかったですね」
「とても」
 先生も美味しいと感じました、それで加藤さんにも笑顔で答えたのです。
「お蕎麦も好きですが」
「たぬきそばもですね」
「美味しかったです」
 こう答えるのでした。
「満足しました」
「何杯も召し上がられましたし」
「いや、ついついそうしました」
「左様ですか、実は私も」
 彼もだというのです。
「かなり頂きました」
「長老さんは気前のいい方ですね」
「伊達に愛媛の狸さん達の棟梁ではありませんね」
「はい、そうですね」
「二百匹以上の狸さん達の棟梁です」
 それがあの仁左衛門さんです。
「流石にかなりの度量です」
「はい。ただ」
「ただ?」
「日本ではああして狸さんや狐さんも普通に人間世界にいるのですね」
「そこはイギリスと同じでは」
「はい、妖精もまた」 
 イギリスにいるこの人達もです。
「僕達と共にいます」
「そうですね、それでは」
「その辺りは日本とイギリスは似ているでしょうか」
「妖怪変化が人間達と共にいることが」
「ただ日本のああした人達はイギリスの妖精さん達よりも人間的ですが」
 より人間の考えや行動に近いというのです、イギリスの妖精さん達よりも。
「この辺りは文化の違いですね」
「確かに。日本では八百万の神といって」
「森羅万象に神がいますね」
「そうした考えなので」
「妖怪変化もですね」
「あちこちにいまして」
 そして、というのです。
「私達と共にいるのです」
「狸さん達と同じく」
「あの人達が何も言わないとわからないです」 
「普通に人間世界の中で暮らせるのですね」
「はい、そうです」
 まさにというのです。
「長老さん達の様に」
「面白いことですね」
「そうですね、ただ中には怖い妖怪もいますので」
「鬼や土蜘蛛でしょうか」
「はい、他にもいますが」
 そうした怖い妖怪は、というのです。 
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