ゼロの使い魔ー紅の書ー
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戦場
「クー遅いわ・・・・」
レンは部屋の窓越しから外を眺めていた。
怪我をしてたらどうしよう、心配で胸が
張り裂けそうな気持ちになる。
どうかーー無事に帰ってきますように。
手を合わせて祈るしかできない自分が、
はがゆくて打ち拉がれる。
こんなことなら無理にでも、着いていけば
よかった。
自責の念に絡みとられてく、やっぱり私は
クーが好き。
こんな形で再認識したくなかった。
自分のせえで、クーに何かあったら
自分を許せなくなる。
私にできること、ないのかしら・・
ベットに無力に倒れこみ身体を丸め寝転ぶ、
瞳には透明な雫が溜まっていった。
◇◇◇
ニューキャッスルの前に立ち、
クーの帰りを待ち続けるウェールズ。
「嫌なことを任せてしまったな・・」
念話であんなことを任せるなんて、自分に
嫌気が指す。
だがーー
必要なことだ、不確定要素は
減らさねばならない。
この戦いの被害を少しでも、減らす為には
情報が不可欠だ。
しかしーー
私はクーの優しさと強さに、甘えているだけ
で、なにもしていない・・
己の情けなさが心に染みゆき、ウェールズ
自身を縛りつけた。
突然。風がふき抜けていく、私はこの風を
知っているーー
暖かくて力強く、可能性を信じさせてくれる。
クーの風だーー帰ってきたのだ。
空を見上げた先に、クーの姿が見えた。
◇◇◇
ニューキャッスルの上空に着くと、ウェールズが
立っているのが、見える。
下を向いていて、こちらにまだ、気づいていない
ようだ。
(さっきは、嫌な態度で接してしまった。
ウェールズは悪くないというのに・・)
間接的には何人かを死に追いやって、
きたかもしれない、だが・・
クーは直接、人を殺した経験はなく。
言い知れぬ感情が膨らんでいて。
自分のことで一杯一杯になり、ウェールズの立場を
考えずに悪態をついてしまったのだ。
(謝らないとな・・)
タイミングよくウェールズが顔を上げる。
クーが上空に浮遊しているのに、
気がついたようだ。
ウェールズの近付き、フライをといた。
「無事でよかった・・」
心からそう感じているんだろう、変わらない
笑顔が絶望に浸りかけていたクーの想いを
引き戻した。
「っ・・・・ウェールズ! さっきは悪かった! このとおりだ!!」
次の瞬間。
即座に膝をつき、頭を地につけて許しを乞いた。
これだけでは気がすまないが、やらないよりは
マシである。
「クー! どうした!? いったい、顔を上げてくれ・・」
何やってるんだ?鳩が豆鉄砲を食らったかのような、
たじたじとした反応だった。
「あのさ、倒した奴連れてきてくれって言われたとき、酷い態度だったろ? だからーー」
「なんだ、そんなことか・・」
まったく気にしてないような態度で、大きく
肩の力を抜き息を吐く。
「そんなことっーー」
反論しようとするが、遮られた。
「仲間だと言ったのはお前だぞ・・クー」
構わないけど、ウェールズらしかぬ言葉を
聞いたような、気のせいか・・?
「ウェールズ、いまさ、お前って・・」
「言ってはダメだったか?」
首を傾げながら、まずかったか?と・・
どうやら、間違いではないようだ。
「構わないよ、いや・・むしろいいな!!」
手を差し出すウェールズに掴まり、
勢いよく立ち上がる。
◇◇◇
「クーの風を感じるーー」
間違いない外から感じた、この感覚をたがえる
ことはない。
暖かくて日溜まりのような、優しい風だから。
でもーー
いつもと少し違う気がするのは、なんでだろう?
レンは違和感を覚え、いても立ってもいられず、
クーを求め歩きだす。
無意識に足をはやく動かしていた。
言い知れない不安にかられて。
クーのいる外に急いだ。
次の瞬間。地響きのような空間を揺らす衝撃が走る。
「・・・・なに?」
突然のことで対応しきれずに、目を疑った。
少こし前の壁が跡形もなく弾けとび、
硝煙があたりを覆う。
幸いどこも怪我はなく問題ない。
そしてーー
このような攻撃をする勢力は1つ。
貴族派・・レコンキスタしか考えられない。
「クーにはやく合流しないと・・」
急いでその場を後にして、クーの場所に
走りだした。
後書き
短いけどパート分けて書いて見ました。どうでしょうか?感想下さいな。
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