【IS】例えばこんな生活は。
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
例えばこんな苦労人は労わるべきだろ
前書き
なんか練習投稿してる意味が分からなくなってきたので、そろそろ普通の投稿にしようかと思ってます。
反対がないようなら、一度非公開にしたうえで色々細かい所を調整して再公開、ということになります。
10月2日
あの大げんかの後、なんか分からないけどジェーンが鞘を納めたのでこの騒乱は一先ずの決着を見た。ああ、怖かった・・・精神的な疲れからか、夕ご飯の時にちょっと箒ちゃんに気を使わせてしまった。今日くらいは甘えさせてもらってもいいんじゃない?とオウカが言うのでお言葉に甘えて・・・甘えすぎてなんか色々とお世話されてしまった。恥ずかしい。
さすがにこんなに甘えるのは悪いかと思って、次の休みにご飯を奢る約束をした。でも・・・ちょっと不安だ。
10月3日
目が覚めると目の前に煌めく銀髪を纏った頭部がこてんと転がっていた。
ラウラ姉が久しぶりにじゃれて来たのかと思って確認すると、クロエちゃんの方だった。キーちゃん曰くラウラが寝相で絡みついてきて身の危険を感じたから俺とジェーンの間に避難してきたそうだ。可哀想に、ゆっくり休んでいていいんだよ・・・
それにしても見れば見るほどラウラ姉にそっくりだ。年齢的には彼女の方が上だからクロエ姉と呼ぶべきだろうかと訊いてみたが、ややこしいから普通に呼んでほしいと言われた。了解いたしました。
ついでにキーちゃんについてもちょっと。
キーちゃんの性格はちょっとファリンに似ていて、クロエちゃんを守ってあげたい想いの強い子だ。ただ違うのは、キーちゃんの機能は元々クロエちゃんを補助することに特化している事だ。元々クロエちゃんは体に多くの問題を抱えていて、普通に生きていくために「生体同期型IS」として改造されたキーちゃんの助けが必要だったらしい。
つまり、言ってしまえば介護士として訓練された人が実際に介護することになって、自分の力が人に役立つのが嬉しいという感覚のようだ。だからといって彼女とクロエちゃんの間に存在する絆は浅いものではないのだけれど。
『もう何か月ぶりか分からぬな!本当に久しいぞ、キー!』
『主に出会えたようで何よりです、ツバキ』
・・・ついでに、面識があったためかツバキと仲良しのようだ。
10月4日
ここ最近、色々とあって忘れかけていた。出来ればそのまま忘れたいくらいの気分だったんだけど、やっぱり人間はなかなか物事を忘れられない物だ。
オウカがまた人間形態でじゃれついてくる。それに付き合って一緒に遊んだりもする。それはとても楽しいし、オウカと一緒にいる事が当たり前みたいに思っていた。だからこそ―――遊び終わってから不意に、余計な考えが頭を過ってしまう。
(何かを書いて消した後がある)
どうして今更そんなこと考えてしまうんだろうか。やっぱり俺は・・・
やめよう。カエルフォルダでも覗いて、余計な事は忘れよう。
・・・日記、オウカに盗み見とかされてないかな?見ないでって言ってあるけど、もうオウカは単独行動が可能だし。オウカが好奇心に負けたら終わりかも。
10月5日
ジェーンが元の姿よりさらに成長したことによってロリジェーンは終了した訳だが、髪を伸ばして身長も高いジェーンというのはそれはそれで目を引く。今度は周囲がジェーンの事をお姉ちゃん扱いして頭をなでたりするように要求するようになり、気苦労が絶えないようだ。
更に、何と疲れたらロリジェーンになってエネルギー消費を抑えるという訳の分からない機能まで手に入れてしまい、完全にみんなの玩具扱いである。もう何が何だか分からないが、結局ロリジェーンの保護者は俺に決められているらしい。あ、こらのほほんさん!ジェーンの身体を撫でまわしちゃいけません!ジェーンが嫌がってるでしょ!
まったく、最近ちょっと変なんじゃないの?クラスのマイナスイオン担当の面影はどこ行っちゃったのさ。なあ、のほほんさん!いつでもどこでもマイペースでいようって誓い合ったあの日の約束は嘘だったのか!?と熱く語ると、のほほんさんは悪い夢から醒めたようにはっとなって「わたしはしょうきにもどった!」と叫んで固い握手を交わしてくれた。
と同時にもう一方の手でジェーンのお尻を触ろうとしたので天誅を下したけど。
10月6日
なんだか、こうして一緒の部屋にいると本当にみんな家族みたいだ。考えてみればラウラ姉もジェーンもクロエちゃんも血の繋がった親がいない。そう考えれば、皆やっぱり心の底では家族を欲しているんだろうか。いつぞや母さんの言っていた「で、どの子がうちの家族になるのかしら」発言・・・考えてもいいかもしれない。
俺の男性IS操縦者(実際には違うのだが)としての地位は正直いつまであるのか分からない。それに母さんと弟をこのままずっと政府の監視下に置かれたままにしておいては全然会えないという事態が何年も続くかもしれない。
しかしラウラ姉がウチの養子になればドイツから、ジェーンがうちの養子になればアメリカとS.A.から、そして俺自身は篠ノ之博士とちょっとしたコネがある。つまり・・・これだけのコネがあれば日本政府の保護方針に干渉できるかもしれない。すげぇ。ついでに更識会長にも手伝ってもらおう。
もう普通の生活には戻れないだろうけど、せめて心配はさせたくない。おはようとかいただきますとか、そんな言葉をいつものように交わせる生活を・・・と思うんだが、どうだろう。
とうとうその気になってくれたか! byラウラ
お前が望むなら、どこへでも。 byジェーン
私もついていくよ! byニヒロ(ジェーン代筆)
・・・・・・だからさ、勝手に人の日記見るのをやめてくれないかなぁ?
10月7日
篠ノ之博士が学園の整備室を改造し始めたと聞いて見に行ってみたら、なんかエライ物を作っていた。最近大人しいと思ったらこんな事してたの?しかも数日前のしおらしい顔が打って変ってものすごく生き生きしてるんだけど。
全く新しいIS・・・名付けて「超IS」。ネーミングがドストレートすぎんよそれ。・・・既に学園の整備課を教師も含めて支配下に置いてしまったリューガさん、その腹心としてメカ魂の波動に覚醒した簪ちゃん、そしてIS開発の母ご本人である束さんの3人による共同開発だ。嫌な予感しかしない。
「さあ世界よ、括目せよ・・・!ゾルダークの力を思い知るがいい!!」
「それが、これこそが私たちの力作――そして、私の人生で初めての共同作成IS!!」
「そして、世界初の、”第5世代IS”・・・!!」
「「「日緋色打鉄ッ!!」」」
どっかぁぁぁぁぁんッ!!と言う爆発音とともに姿を現したのは・・・
な、なんじゃありゃあああああ!?
でかい!説明超必要っ!!10メートルくらいある!というか天井高すぎだろここ!巨大ISの中心にいるあれは簪ちゃんとフタバだけど、その二人の身体が更にパワードスーツを着用しているのか!?
超でかい足!超でかい腕!超でかい角付きの頭!超でかい推進系!おまけにデカすぎて何やらエンジン積んで自家発電してるっぽい!!こ・・・・・・これはアカン!最早スーパーロボットの類やで!!
というかまずいぞ。競技用ISの域を完全に超えてしまったぞ。・・・え?出撃する!?
ぱっぱかぱーん♪ぱかぱっぱっぱっぱかぱっぱっぱーん♪と妙に軽快な音楽と共に整備室が―――いや、校舎そのものが発進台として開いていく。誰にも気づかれずに改造されてたのか?唖然とする俺を尻目に整備課たちはいっせいに腕を振り上げて歓喜の雄叫びを上げている。そしてゆっくりと日緋色打鉄がカタパルトに乗り。ウィーン・・・ガコン!と固定され――
「総員、対衝撃防御ッ!耳塞げぇぇぇーーー!!」
「「「サンダーバー・・・じゃなくて日緋色打鉄! 発 進 !! 」」」
「カンザシ・・・・・・行きますッ!!」
そして巨体はものすごい勢いでカタパルトから打ち上げられる。巨体が唸るぞ空飛ぶぞ、と言わんばかりにフタバと簪ちゃんはもうもうとIS粒子をばらまきながら空へと・・・
旅立って行った・・・・・・
箒ちゃんは姉の元気そうな姿に喜びを抱き、楯無さんは妹の旅立ちに号泣し・・・そして織斑先生は事態についていけずに泡を吹いて倒れた。
せ・・・・・・先生ーーーーーーッ!?!?
10月8日
一日中おりむーと一緒に先生を介護した。
弟と癒しオーラの組み合わせによる新たな治療法・・・とかなんとか。甲斐あってか午後には大分回復していた。俺がいる意味あるのかと疑問に思ったが、おりむーだと逆に弱いところを見せたくないらしい。それが証拠におりむーが席を外したタイミングでちょくちょく弱音を漏らしていた。
そういう所はちょっと母さんに似ているかも。――父さんが死んで間もないころの母さんに。明らかに強がってた母さんを見て、俺は何を思ったか父さんの代わりにならなきゃって思って・・・・・・
親の代わりなんて、なろうと思ってなれるものじゃなかった。そう思ったという話をしたら、先生は「お前も私と同類か」と小さく苦笑した。
・・・それはそうと、クラスメートの皆さんが「今度倒れたら私も介護して!」と要求してくるのは何でだ。そんなに面倒見てもらえるのが羨ましいのか?しかし「この2人に看護されたら別の意味で昇天しそう」っていうのも意味わかんないよな。
「オウカ、意味わかる?」
『ゴエモンに付きっきりでカンビョー・・・メンテナンスみたいなもの?をしてもらう・・・・・・かぁ。何だかちょっとハズカシイかも』
「つまり、恥ずかし過ぎて憤死?」
よく分からないが、結局簪ちゃんは夕方を背に帰ってきた。何故か若干の戦闘痕が残っているけど何と戦ったんだろう。きっとあのIS、学園の守護神みたいな存在になるんじゃなかろうか。
ページ上へ戻る