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とある異世界の交差物語(クロスオーバー)

作者:鉄龍王
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第4話 鬼の少女、現状を把握する

 
前書き
次の話を投稿します。試行錯誤で打ち込んでいたら結構長くなりました。よかったら読んでください 

 
救急車が現場に到着した時には男は再び気を失い、そのまま病院に運ばれた。少女と上条、御坂の3人はそのまま同行した。

土方の手術を任されたのはいつも上条が世話になっているカエル顔の医者。“冥土帰し(ヘブン・キャンセラー)”と呼ばれるスゴ腕の医者で上条は彼を信頼し、その結果を御坂と千鶴と共に待っていた。少女は体を震わせながらも、祈るように手を合わせ、男の無事を願った。

しかしその間、上条と御坂はどうしても少女に聞かなければいけなかった。此処、学園都市はセキュリティーが厳しく、特別な手続きやIDが無ければ入ることが出来ない場所だ。しかも彼女もそうだが、土方と呼ばれた男の恰好も古いときた。さらに2人の……特にあの男の姿は傷だらけで血も流れていた。まるで『戦場で戦って受けた傷』にしか見えなかったのだ。

とりあえず上条と御坂は自己紹介していない事に気付き、声をかけた。
「そ、そういえば自己紹介がまだだったな…俺は上条当麻。こっちはビリビリ」

「ビリビリ言うな!っと、ごめんなさい…私は御坂美琴。このバカとは腐れ縁でね。それで、貴女の名前は?」

御坂にバカ呼ばわりされて若干へこんでいる上条だが、少女の言葉を待った。

そこで少女も初めてまだ名乗っていない事に気付き
「も、申し遅れました。私は土方陸軍奉行並の小姓を務めます、雪村千鶴と申します。この度は敵であるはずの私たちを……土方さんを助けていただき、本当に…本当に、ありがとうございます……!」

千鶴は頭を下げながら涙を流し、声を震わせ、上条と御坂に感謝の言葉を贈った。

上条は右手で頬をポリポリかきながら聞かなければならない事を聞いた

「え~っと、それは構わないけど、ひとつ聞いていいか?」

「は…はい。なんでしょうか?」
千鶴は少し首をかしげながら上条の質問を聞いた。


「その土方さんって、まさかとは思うけど……」

上条と御坂はバツが悪そうな顔で互いの顔を見ながらためらった。2人の頭の中は『ありえない』の言葉を占めていたからだ。“土方”という苗字や“陸軍奉行並”という肩書きに上条はともかく御坂は聞き覚えがあった。

「あの“新選組”で“鬼の副長”って恐れられた“土方歳三”なんて……言わないよな?」

上条と御坂は徐々に冷や汗を流しながら確認をとる。『どうか違うように』と顔に出ていた。

対する千鶴は『何を言っているんだ?』という表情でこう答えた。
「はい、その土方さんですが………」

「「…………」」

上条も御坂も言葉を発することが出来なかった。当然だ……歴史上の人物が今、自分の目の前に現れたなど誰が信じる?少なくとも自分は絶対信じない。しかし、こうして目の前に現れてしかもその小姓と名乗る少女の目は嘘をついている様には見えなかった。

そして千鶴も上条たちに疑問をぶつけた。

「あの…それより此処は何処なんですか?私たちは確かに函館にいたのに…こんな建物は函館に無かったし、見たことありません……」

「「…………」」

上条と御坂は互いを見つめ合い、上条は頭をガシガシかきながら千鶴の疑問に答えた。

「あ~~…雪村って言ったか?お前の質問に答える前に俺の質問に答えてくれ」

「は、はい…」

千鶴は少し引き気味に上条の質問を聞いた。

「まず一つ。お前はその土方さんと一緒に函館で戦っていたんだな」

「はい、その通りです…」

千鶴はおずおずと答えた

「それじゃあ、今は“何年何月”だ?」

「え?今は“明治2年5月”ですよ?」

千鶴は再び『何を言っているんだ?』という表情で上条を見つめた


上条は頭を右手でガリガリ掻きながら確信を得た表情で千鶴にこう答えた
「はっきり言って答えるが、此処はお前等がいた時代より100年以上未来の世界だ。土方歳三って名前も歴史上の人物として語られたほどだ。そして此処は東京『学園都市』……雪村から見て未来の江戸の世界だ」

その言葉を聞いた瞬間、千鶴は眼を大きく見開き『え…?』と呟いた

「う…嘘ですよね?そんな、100年以上も未来なんて…」

千鶴が体が小刻みに震え、うろたえたまま目の前の現実を認められなかった。しかしそれは長く続かなかった。

ガー……

手術室の扉が開き、カエル顔の医者…冥土返し(ヘブンキャンセラー)が出て来たのだ。

「ふー…手術は無事終了だよ」

上条たち3人。特に千鶴はいの一番にカエル顔の医者に詰め寄った。
「先生!あのひとは…「土方さんは……土方さんは大丈夫ですか!?」…お、おい…」
普段はおとなしい千鶴が上条を押しのけ、カエル顔の医者に詰めりよりながら土方の無事を確認した。

カエル顔の医者は落ち着いた表情でこう答えた。

「大丈夫。手術は無事成功だよ。彼の体に撃ち込まれた弾丸は全て摘出したし、ここへ来る前にしたという君の応急処置のおかげで峠は越えたよ。今は麻酔で寝かせているから、あとは眼が覚めるのを待つだけだ」

土方の無事を知った千鶴はその場で崩れ落ち、ポロポロと涙を流した。しかしそれは悲しみではなく、喜びの涙だった。

「あ、ありがとうございます!本当に…本当に、ありがとうございます!!よかった…本当によかった……土方さん…あの人まで死んでしまったら私、私…うっ…うぅっ…」

今まで何も話さなかった御坂が千鶴の傍まで近づき、声をかけた。

「よかったですね、雪村さん。私でよかったら力になるから、何でも言ってね」

「ハイ!ありがとうございます!!御坂さん!!」

千鶴は涙を流しながら頭を何度も下げ、御坂に感謝の言葉を送った。御坂は気恥ずかしそうに頬をポリポリかきながら誤魔化した

「ううん、気にしないで。私のことは美琴でいいですよ。雪村さん」

「それじゃ、私のことは千鶴って呼んで、美琴ちゃん」

「あはは…それより、雪村さ…あ、いやっ千鶴さんって歳いくつなんですか?私は14です。千鶴さんって見た限り、15、6歳みたいですけど…」

「あぁ、それは俺も気になった。雪村って何歳なんだ?ちなみに俺は16だ」

「私ですか?…私は18歳ですけど…」
千鶴が普通に己の年齢を答え、「それが何か?」と聞こうとした瞬間、上条と御坂は信じられないような眼差しで「「嘘ぉ!?」」と叫んでしまった。しかし、それがいけなかった。



ピシッ------



一瞬のうちに周りの空気が凍り付いたような感覚が上条と御坂を襲った。そして何故か千鶴の周りからドス黒い邪気のような空気がにじみ出て、ブツブツと何かを呟き始めた

「ふふふ……そうですよね。わたし14の頃から背は殆ど伸びないし、胸も大きくならないし、いくらあの時私が男装していたからって永倉さんや平助君から男扱いされるし初対面の時は平助君にガキ扱いされるし、沖田さんは私を弄りまくるし、何かと『殺すよ?』と脅してくるし、斉藤さんは無関心を貫くし、私ってそんなに女としての魅力が無いのかな?ねぇどう思います?上条さん、美琴ちゃん。私ってそんなに女としての魅力はないですか?…………」


千鶴が若干壊れ気味になり、どんどん彼女の眼が死んだ魚のような眼と変わり、あんなに綺麗だった黒髪も何故か段々傷んでいき、そのまま上条と御坂に詰め寄る。

二人は後悔した。とんでもない地雷を踏んでしまったと……

しかも幻覚なのか千鶴の髪が徐々に銀色に変わり、額には2本の角が生えているように見えてきた。おまけに彼女の後ろには巨大な鬼のオーラが見えてきた。

御坂は完全に戦意喪失し、もはや悲鳴しか声を出せなくなっていた。学園都市で7人しかいない超能力者(レベル5)の第3位にして多少なりと場数を踏んできた彼女を此処まで怯ませる千鶴はかなりの大物かもしれない

「うふふふふふ……」

「ひいぃぃぃぃぃぃっ!!」

対して上条は何とかこの場の打開策を考えていた。彼の場合は御坂以上に魔術師や超能力者、さらには聖人を相手に戦って生き残った男。しかも天然のほめ殺しのセリフを出し、精神的に弱っている時に気障なセリフで落とすのがこの男、上条当麻だ。

余談だが、彼が気障なセリフを吐く時は己の本心を込めて喋っている為、これで落ちない女は居ないため、多くの女性が彼に好意を寄せているのは自明の理…………………………………………………………………後ろから刺されてしまえ!このハーレム野郎!!ケッ

「今何か、大変失礼なことを言われたような……ってそれより落ち着け雪村!いや雪村様!!此処は病院!今土方さんの他に多くの病人が寝てるから!絶対安静の人もいるから!な!?な!?」

上条は決死の覚悟で千鶴を説得していたが、彼女の耳に届いていないのか
「うふふふふ。何をそんなにあわてているんですか上条さん。私はただ貴方たちに私は女としての魅力があるかどうか聞いているだけですよ?それで?どうなんですか?上条さん…?」

「い、いや…その…」


一種のバーサーカー状態に陥った千鶴が二人に襲いかかるのも時間の問題かと思われたが、此処で救いの声が響いた。


「あー君達、ここは病院だからね。話くらい自由だが、もう時間も遅いんだし他の患者さんに迷惑が掛かるから程々にね」

今まで“我関せず”の姿勢で仕事に集中していた先生が3人(特に千鶴)に注意を促した。彼にとっては何気ない一言だったが、2人にとっては彼が救いの神に見えたそうだ。しかし千鶴の目の前でそんな事も言えるわけもないのであえて黙ることにした

そして千鶴も事の状況に気付き、先生に謝罪する。

「す、すみませんでした!私ったら……」

謝罪する千鶴だったが、此処で先生からある驚きの事実が発表される。

「いや、わかってくれたら構わないよ。ところで……君は雪村千鶴といったね…」

「は、はい…」

千鶴は相手が医者の為か少々緊張した表情でカエル顔の医者の話を聞いた。

「君はさっき『自分は18歳』と言ったけど、君の体を調べたら何故か君の肉体年齢が“15歳”と結果が出たんだよ」


「「「……………………………………………」」」

上条、御坂そして千鶴の3人が目を点にしながら暫くの沈黙。さらに……

「それから土方君の体を調べたけど、雪村君の話通りなら彼の年齢は35歳だよね?」

「は、はい…そうですが…」

茫然としている千鶴たち3人にカエル顔の医者は真実という爆弾を投下した

「彼の肉体年齢……若返っているみたいで25歳だよ」

「「「…………………………………………………………………………………………」」」

千鶴の3人は目を点にしながら沈黙が続き、そして……

「「「えええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇっ!!?」」」

悲鳴に近い3人の驚いた声が病院内を響かせた




 
 

 
後書き
次の話ができる予定は全くありません。それどもこの話に最後まで読んでいただけたら幸いです。どうかよろしくお願いします 
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