鎧虫戦記-バグレイダース-
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第2話 アスラ、人間やめるってよ
前書き
どうも 蛹です。
"侵略虫(バグレイダー)"も"鎧人(ガイト)"も出てないじゃん!と思った人へ
すいません。 意外と思った通りに行かないもんなんですよ、何にせよ。
しかしこの話で出演しますのでご安心を!
さぁ第2話 始まります!!
‥‥‥‥なんだオレは寝てたのか?
ドンッ!
耳元で銃声がした。
その音でオレは完全に眼を覚ました。
そこではみんなが奴らと戦っていた。
「寝起きで悪いけど急いで移動してくんねぇかッ!」
ドンッ!ドンッ!
ホークアイが銃で応戦しているが
弱点部分が硬くてなかなか破壊できていないようだ。
アジトに攻め込んできたらしく、屋根が半分くらい無くなっている。
オレは毛布にくるまれて外まで運び出されたらしい。
「チッ。これじゃ弾の無駄使いだぜ‥‥‥
何してんだ!起きたんなら一緒に戦え!」
ドンッ!
オレはすぐに動こうとしたが体にうまく力が入らなかった。
「さすがに3日も寝てると、相当体がなまっちまってるみたいだな」
それを聞いて、アスラは驚いた。
「3日!?オレは3日も寝てたってのか!!?」
そして隣にいたはずのマリーが消えていたので
アスラはホークアイに聞いた。
「マリちゃんはどこにいるんだ?」
ホークアイは"鎧虫"に目線を向けたまま言った。
「オレはお前を守るので精いっぱいだったからな‥‥‥」
ドンッ!
ホークアイは撃ちながら辺りを見回した。
「‥‥!いたぞ!! こっから北に200mぐらいの所にいる!
えべぇ、"侵略虫"に追われてる!急がねぇと‥‥‥」
ホークアイの言葉を聞き終えるより先に
アスラは真っ先にマリーの元へと走った。
「あいつ一直線に向かって‥‥‥つぶされるぞ!
たくっ‥‥‥オレは援護かよッ!!」
ドドンッ!
アスラは走りながら叫んだ。
「マリちゃぁぁ~~んッ!待ってろよぉ~~~!!!」
**********
マリーは走った。ただひたすら、逃げるために走った。
「ひゅ~~ッ待ちなよ嬢ちゃん!
逃げんなってぇ~~~ッ!」
「あの子カワイイし殺すのもったいないからさぁ
持ち帰ってペットにしない?」
「いいねぇ~~ッ」
二人組の"侵略虫"がマリーを追っている。
瓦礫の山の上を、まるでスーパーボールの様に
跳びはねながら移動しているのだが、あんまりあっさり捕まえると
面白くないので、こうやってじわじわ追い込んで行っているのである。
"侵略虫"とは。
本来は人間の姿をしているが
戦闘時には虫を擬人化させたような姿になる。
(虫をそのまま立たせて人間っぽく整えた感じ)
"鎧虫"と同じく“鎧骨格”で体を覆われており
弱点部分が点在している。
弱点部分を破壊しても戦闘能力が落ちるだけで
自重を支えられなくなるほどは弱らない。
部分的にも変身できるらしい。ちなみに
彼らはカナブンのような姿をしている。
「ハッ‥‥ハッ‥‥あっ!」
ガツッ! ドシャッ!
マリーは瓦礫につまずいてこけてしまった。
それを見た2人は顔を見合わせた。
「もうそろそろいいかな?」
「もういいだろ」
2人は建物の壁を蹴って猛スピードでマリーに突っ込んで行った。
「捕まえたぁぁ~~~~!!」
「きゃあああああぁぁぁぁぁ!!!」
マリーはもうだめだ‥‥‥と心の中で思った。
しかし、その瞬間だった。
ガキィィィィィィィィィィィィィン!
1人の男が2人の体を剣で受け止めた。
「誰だテメェは!邪魔すんじゃねえよ!」
その男はつぶやいた。
「オレかい、オレの名は‥‥‥‥‥‥迅さ。」
お前かいッ!!!
あまりの驚きに語りの私がツッコんでしまった。
『いやここは主人公が来るだろッ!
(自分で書いてるくせに‥‥‥)』
すいません。仕事に戻せていただきます。
「迅さぁぁ~~~~~~ん!」
マリーは迅に泣きついた
迅はマリーの頭をなでると言った。
「頑張ったね、もう大丈夫だよ。さぁ早く向こうへ走るんだ!」
マリーはうなずいて走って行った。
「兄貴!あの子、早くしないと逃げちゃうよ!」
「よし、あの子を追うぞ!」
あとを追おうとしている2人に
迅は剣を振りかざしこう言った。
「通さないよ‥‥。空気を読まずに登場してしまったけど
本当の王子様が彼女のもとにあらわれるまではね‥‥‥。
ていうか君達兄弟だったの?オレにも兄さんがいるけど
あんまり似てないからなぁ~~」
急に世間話を始めた迅だが、2人からは無視されていた。
「その王子様ってのはオレの事かい!」
そう言って兄は迅の上を飛び越えて、マリーを追いかけて行った。
迅も追いかけようとしたが、それを弟が後ろからロックした。
「行かせないよ!」
迅はなぜか全く抵抗しなかった。
**********
「ひゃっはぁぁぁぁ~~~~~~!」
高らかな声を上げながら再び兄はマリーに突っ込んで行った。
マリーはよけようとしたが、とてつもないスピードで
とても間に合いそうにはなかった。
今度こそダメだ、と彼女はあきらめた。
ポタンッ‥‥‥
涙の落ちる音がした。
しかし、そこに再び人影が現れた。
「お、お前!その刀まさか!止まんねぇ!止まんねぇ~~!!」
ズバッ! ドシャシャァァァァッッ!
刀で頭から真っ二つにされた兄は
地面に激突し、そのまま転がって行った‥‥‥。
その少年の持つ刀は世界で一番最初に
人類の絶滅した国でのみ作られていたもので
その切れ味は鉄をも斬り裂くと言われている。
実際、これいよって昔の武士は
相手の着ていた鎧や兜を斬ったとされている。
その名を"日本刀"。それを持つのは世界でただ1人。
「アスラぁぁ~~~~~~~!!」
マリーは思いっきり抱きついた。何か柔らかい物が体に触れた。
とたんにアスラの顔が真っ赤になった。
「だっだっ大丈夫かよ!でっでもオレが来たからにはもう安心らぜッ!」
噛んだ。大事なところで。
しばらくキョトンとしていたマリーだったが、すぐに笑い出した。
アスラもつられて苦笑いをした。
それにより、弟の存在を忘れていた。
「よくも兄貴ををぉぉぉぉぉぉぉッッ!!」
兄と同じ方法で弟は突っ込んできた。
「馬鹿だなぁ。同じやり方じゃ意味がな‥‥‥うっ」
ガランッ
またもや激しい目眩に襲われた。それにより
よろめいた時に刀を落としてしまった。
「しまった‥‥‥‥うぅ‥‥‥」
「アスラッ!しっかりして!」
マリーはアスラの方に気が行って気付いていないようである。
「死ぃぃねええぇぇぇぇぇぇ!!」
弟の貫手が突き出される瞬間、2人は何かに突き飛ばされた。
二人を突き飛ばしたのは――――――――――
ドスッ!!
―――――――迅だった。
脇腹には弟の貫手が深々と突き刺さっていた。
「きっ‥‥きゃああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ジィィィィィィィィィィィィィ~~~~~~~ン!!!」
ズボッ! ドサッ!
弟の腕が勢いよく引き抜かれ、景色が赤く染まった。
迅は大きな音を立てて倒れこんだ
「よ‥‥よかった‥‥‥無事だったようだな‥‥‥グッ‥‥‥‥」
迅は口から血を流していた。内臓をやられたようだ。
「ひゃはははははははぁっ!残念だったなぁ
元"将軍"の迅さんよおぉ!
あんなフラフラのクソガキを守るために
変身する時間を惜しんで来やがるとはなあぁ!
本ッッ当に、馬鹿だぜアンタ」
それを聞いたアスラは怒りにまかせ殴りかかった。
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
「うるせぇよ」
ドッ!
しかし強烈なキックで弾き飛ばされた。
メシャッ!! バキボキボキィッ!!
腹の中身がグシャグシャになった気がした。
「ガハッ‥‥‥クソ‥ォ‥‥‥‥‥」
アスラは腹を押さえながら再び立ち上がった。
「アスラッ!!」
マリーが駆け寄ろうとしている。
それを見た弟は口元を歪ませた。
「お前、アスラっつったなぁ。そんなにあの女が大事か?
そうだっつうんなら‥‥‥‥」
弟は一呼吸おいてつぶやいた。
「あの女から殺すか」
ブチンッ!
アスラの中の何かが切れる音がした。
マリーは歩みを止めた。そこに立つのがいつも見ている姿ではなかったからだ。
"鎧虫"でも、"侵略虫"でもない。しかし、人間でもなかった。
深緑の鎧、真紅の眼を持つ、1人の剣士が立っていた。
容姿はカブトムシに酷似しているように見えた。
弟は目を見開いた。そしてつぶやいた。
「ま‥‥‥まさか‥‥‥"鎧人《ガイト》"‥‥‥‥!?」
後書き
ついに現れた人類の希望"鎧人《ガイト》"。
なぜかその名を知るカナブン弟。
はたしてその戦闘力とは?
次回 第3話 日本刀は大体1kg以上あることを頭に入れておこう お楽しみに!
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