美しき異形達
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第二十一話 菖蒲の友人その二
「そうするからね」
「わかったわ、しっかりと食べなさいよ」
「わかってるわよ、ざるそば食べて来るから」
「あんた最近ざるそば好きよね」
「あっさりしてて食べやすいからね」
だから食べているというのだ。
「それでなのよ」
「そうなの。まあおそばは身体にいいし」
「食べてもいいわよね」
「ええ、幾らでもね」
そうしてもいいと返す母だった。
「食べなさいね」
「カロリー少ないしね」
「そう、お蕎麦は低カロリーでね」
尚且つ、というのだ。
「しかも栄養価が高いから」
「ダイエットにいいのよね」
「そうよ。それにしてもあんた昔からお蕎麦とかお豆腐好きよね」
「美味しいからね」
「それはいいことね」
「そうよね、ただそれ私だけじゃないじゃない」
ここでだ、姉は菖蒲を見た。そのうえで母ににこりとして言った。
「菖蒲ちゃんも」
「そうそう、あやちゃんもね」
「お母さん、あやちゃんって呼び方は」
「はいはい、嫌なのよね」
「恥ずかしいから」
だから止めて欲しいというのだ。
「それで」
「けれど菖蒲ちゃんでも一緒じゃない?」
「一文字多いだけで」
「そう、同じだと思うけれどお母さんとしては」
「それでもなの」
菖蒲は無表情なままだ、だが。
それでも頬だけは少し赤くさせてそのうえでだ、母に言うのだ。
「そうしたことは」
「そうなのね、じゃあね」
「それはお願い」
「じゃあ言わないわね。とにかくね」
「私もっていうのね」
「菖蒲ちゃんもお蕎麦とかお豆腐好きよね」
「ええ」
その通りだとだ、菖蒲は答えた。
「和食が」
「お魚とかね」
「お魚はやっぱりあれよね」
姉がまたにこにことして言って来た。
「お刺身かお鍋よね」
「お刺身とお酒は」
菖蒲はトーストにブルーベリーのジャムを付けながら姉に応えた・。。
「日本酒よりも」
「白ワインよね」
「日本酒も好きだけれど」
「菖蒲ちゃんもヘルシー志向よね」
「別にそのつもりはないの」
自分としてはというのだ。
「ただね」
「そうした好みなのね」
「姉さんと同じで」
そこは、というのだ。
「あっさりしたのが好きなの」
「あっさりしてる食べものってカロリー少ないからね」
「お蕎麦もお豆腐も」
「必然的にそうなるわね」
「そうね」
菖蒲は姉の言葉にこくりと頷きつつトーストをぱくりと噛んだ。
そうして口の中で噛みつつだ、こうしたことも言った。
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