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転生とらぶる

作者:青竹
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マクロスF
  0734話

 バジュラを生け捕りにしたその翌日。俺は溜息を吐きながらアイランド1の渋谷エリアを歩いていた。目的はシェリルの見舞いに持っていくシュークリームだ。
 バジュラの件やら何やらで忙しく、数日程シェリルの見舞いに行ってなかったのでご機嫌取りに……ってところか。
 そんな風に考えながら、バジュラの事を考える。
 恐らく今頃は生け捕りにしたバジュラを使ってランカの歌の効果とやらを確認しているのだろう。あのキノコやグレイスが動いている事を考えれば、正直今回の実験が成功した方がいいのか、あるいは失敗した方がいいのかは分からない。だが、それでも実験に関してはグラス大統領も注目している筈であり、俺が何かを仕掛けるにしても時期尚早だろう。

「もっとも、恐らくランカが何らかのキーになっているというのは事実だ。そのキーを危険な目に遭わせるような事はしないだろうけど」

 そもそも、俺はアルトがバジュラが攻めてくる原因だと思ってたんだよな。その辺の予想は完全に外れだった訳だが。確かに良く考えてみれば、シェリルのコンサートの時といい、映画撮影の件といい、アルトがいた場所にはランカも同時に存在していた。
 ……アルト、か。S.M.Sのオーナーとやらに呼び出された後から、アルトは妙に気を張っている。どんな話を聞かされたのかは分からないが、色々と無理をしているのも間違い無いだろう。それに、何故かバジュラの死体集めに関してもより積極的になっているし。
 そんな風に考えながら歩き、目的の洋菓子店でシュークリームを購入し、シェリルが入院している病院へと向かう。
 受付で簡単な手続きをして病室へと向かったが……扉を開いた俺が目にしたのは、誰もいない病室だった。

「おいおい、また病院内を散歩でもしてるのか? まぁ、どうせすぐに戻って来るんだろうけど」

 そう判断して病室にあった椅子へと腰を下ろす。しかし……
 5分、10分、20分、30分……1時間。
 それだけ待ってもシェリルが戻って来ていないとなると、さすがにおかしいと感じ始めた。幾ら何でも散歩にしては長すぎないか?
 嫌な予感がしてきた。いや、これは念動力による予感ではなく、どちらかと言えばシェリルとの付き合いがあるからこそだろう。
 勿論シェリルがこのフロンティア船団に来てから、まだ半年程度しか経っていない。だが、それでもこのフロンティア船団の中でシェリルともっとも親しいのは俺だという自覚もあるし、確信もある。
 特に、グレイスが限りなく黒に近い灰色となった現在、今のシェリルが頼るべき人物は少ない。
 あるいは、同じ歌手仲間という事でランカに頼るかもしれないが……いや、それは無いか。今のランカは超時空シンデレラとしての活動や、バジュラについての研究に関しての活動もある。
 となると……嫌な予感しかしないな。取りあえずシュークリームを空間倉庫の中に収納して、病院の中を見て回る。……いない。どこにもいない。
 かと言って病院の関係者にシェリルがいなくなったとかは言えないだろうし。そうなると自分で探すしか無いのか。

「ま、しょうがない。ここまで付き合いが出来たんだから見捨てるなんて真似は出来ないしな」

 溜息を吐き、病室を出る。そのまま以前シェリルが歌って咳き込んだホールへと向かうが、どこにも姿は無い。そのまま屋上や病院の売店、食堂、あるいは休憩所といった場所を歩き回るが、結局数時間くらい探しても病院の中でシェリルを見つける事は出来無かった。
 もしかしてこれって病院の外に出たんじゃないのか? そうだとするとちょっと……いや、かなりシェリルの身が危険だ。
 現在はフロンティア船団出身ということもあってランカが爆発的な人気を誇っている。ギャラクシーネットでもかなりの人気を誇っているが、フロンティア船団はそれ以上の盛り上がりを見せていた。
 恐らくファーストライブがバジュラの襲撃で延期したというのも理由の1つなんだろうが……だが、だからと言ってシェリルの人気が衰えた訳ではない。そしてこれは俺の偏見かもしれないが、芸能人に対する過激なファンというのはどこにでもいる訳で。……そんなファンの前に、気を失っているシェリルがいたとしたら。

「ちっ、また厄介な真似をしてくれる!」

 脳裏に嫌な予感が過ぎるが、それを追い払うかのように街中へと飛び出していくのだった。





「シェ……いや、以前俺と一緒にクレープを買いに来ていた女が来なかったか?」
「いや、今日は見ていないな。どうしたの? 喧嘩?」
「ま、そんなところだ。悪いが急いでるからこれで失礼するぞ」

 何度かシェリルと共に来たクレープ屋にそう声を掛け、その場を去る。 
 シェリルを探し始めてから数時間。既に夕方を通り越して夜になりつつある中、俺はまだシェリルを見つけ出す事が出来ていなかった。
 くそっ、まさかアイランド1から出たりは……いや、待て。そうか、現在この船団の中でシェリルが頼る事が出来ると思っていたグレイスはシェリルを病院に縛り付けている。すると、次点に来るのは誰だ? 自意識過剰でなければ、恐らく俺だろう。そして、もしシェリルが俺を頼ってきているとしたら……S.M.Sに向かうか!?
 携帯に関しては、シェリルの使っているマイク型のものがそもそも病室に置きっぱなしなっていた為に連絡の取りようがない。
 行方を眩ますにしても、せめて携帯を持っていって欲しかった。……いや、インプラント処理をしているグレイスの能力を思えば、携帯を持って移動していればすぐに居場所を見つけられてしまうから、それを嫌ったのかもしれないな。
 そんな風に考えながら、S.M.Sへの帰り道を急いで公園の中を通り過ぎ……ようとしたところで、ピタリと足を止める。
 視界の先、ベンチの背に寄り掛かっている1人の女の姿を発見したからだ。一応外に出るという事で変装のつもりなのか、いつか見た帽子とサングラスを身につけいる。だが、ストロベリーブロンドのその髪が誰のものなのかは見間違えようが無かった。即ちそれは……・

「おい、シェリル! いないと思ったらこんな場所にいたのか!」

 そう。俺が探し求めていたシェリル・ノームだったのだから。
 意識が朦朧としている様子のシェリル。……本当に、もし変な奴にこんなシェリルが見つかっていたらと思うと、ぞっとするな。

「何よ。……あたしは、平気。歌えるわ。あたしはシェリル、シェリル・ノームなんだから……」

 こんな時にも歌、か。つくづく音楽の申し子とでも呼ぶべき女だ。

「ほら、とにかく病室に戻るぞ」
「嫌っ!」

 俺がそう口にした時のシェリルの反応は劇的だった。シェリルの肩に触れていた手を思いきり弾き飛ばしたのだから。
 身体が弱っている病人とは思えない程の力で。
 にしても、病院は駄目か。医者から検査結果は問題ないのに、それでも入院しているように言われたのが堪えたのか?

「なら、ホテルは……」
「ホテルも嫌! あたしは閉じ込められたくないの!」

 ホテルも駄目、か。
 意識が朦朧としている状態でも拒否をしてくるんだから、心底嫌なのだろう。

「あたしは……歌を……」

 最後にそう呟き、それ以降は完全に気を失ったのかピクリともしなくなる。
 ……さて、どうするか。あの医者の事を考えると、確かにこのまま病院に戻すのは危険だろう。見るからに何らかの病気を罹っているにも関わらず、検査の結果身体に異常はないの一点張りだったからな。そうすると、グレイスの手が回っていると思われるホテルも同様の理由で却下。
 にしても、グレイスからのシェリルに対するフォローが無いってのはどうなんだろうな。ここまで一緒にやって来たんだし、シェリル・ノームという名前と肩書きはグレイスにとっても有用な筈だ。いや、ブレラ・スターンという戦力を手に入れたのを考えるとそうでもないのか? 
 それでもシェリルを切り捨てる意味は何だ? ……切り捨てる? 切り捨てる必要が出来た? 何故? それはつまり、より有用な何かを見つけたから……か?

「ん……アクセル……」

 考えに熱中していたが、シェリルの声で我に返る。
 にしても、どうしたもんかな。病院もホテルも無理となると、どこか他のホテル……いや、そうなるとシェリル・ノームが来たって時点で騒ぎになるか。となると、やっぱり……

「俺の宿舎しかない、か」

 ただ、宿舎も宿舎で気を失っているシェリルを運んでいるのを誰かに見られる訳にもいかない。となると運ばれる手段が限られている訳で。
 気を失っているシェリルを横抱きにして抱き上げ、その身体の熱さに微かに眉を顰める。熱が出ているな。
 ともあれ、シェリルを横抱きにしたまま公園の木に紛れ、一応周囲にこっちを見ているカメラの類がないかをスライムで確認してから影のゲートを作成。そこに沈みこみ……次の瞬間には宿舎にある俺の部屋へと到着していたのだった。
 この距離を転移しただけだというのに、がくっと減っているSPに眉を顰める。

「SPが……まぁ、今はいい。とにかくこういう時は1人部屋で助かるよな」

 アルトやミハエルが2人で1部屋なのを考えると、もしそんな状態だったならシェリルを運び込むのにも苦労するだろうし、運び込んだ後も見つからないようにするのは難しいだろう。……って言うか、まず無理だろうな。
 そんな風に思いつつ、シェリルの靴やサングラス、帽子を脱がせてベッドで寝かせる。
 そのままタオルを持ってきて、寝汗を掻いて肌にくっついている服を見るが……さすがにこれを脱がせるのは色々と不味いだろう。代わりに身体を冷やさないよう毛布を5枚程掛けてやる。
 そのまま30分程ベッドで寝ているシェリルの側にいたが、さすがに5枚も重ねた毛布では暑かったのか汗を掻きながらモゾモゾと動いているシェリル。
 その汗を拭おうとタオルを手にシェリルへと近付いたところで……パチリとシェリルの目が開けられる。
 そして、シェリルの前には俺の姿が。一応タオルを持ってはいるけど、眠っているシェリルの視界でそれは分からず。更に言えば毛布の重みが俺に押さえつけられているようにも感じたのだろう。
 結果……

「キャアアアアアアアアアッ!」

 シェリルの口から上がる悲鳴。同時に毛布から抜き出した手が振るわれ……その一撃を、後ろへと1歩退いて回避する。

「アクセルッ! あんた一体あたしに何をしたのよ!? こんな……弱っている女を連れ込んで……」

 ベッドの上で起き上がった為か、毛布は1枚を除いて床へと落ちている。その、唯一残った毛布で身体を覆うように隠しながら俺を睨みつけてくるシェリル。
 そんなシェリルに、溜息を吐きながら持っていたタオルを放り投げる。

「公園で行き倒れていたのを俺が見つけたんだが、覚えてないのか?」
「……え? あ、そう言えば……じゃあ、ここは?」
「S.M.Sにある俺の宿舎だ。倒れているお前が病院は嫌、ホテルは嫌って騒ぐからここまで連れてきたってのに……その礼がこれか?」
「な、何よ。あたしの寝顔を見た代金よ!」
「……くくっ、どうやらもう身体の調子はいいようだな」
「あ、本当。……その、勘違いしてごめんね」
「全く、あまり心配を掛けさせるなよ」

 その言葉を聞いた途端、シェリルの顔に笑顔が浮かぶ。ただし、ニコリではなくニヤリと表現すべき笑みだ。

「へぇ……アクセルってばあたしの事を心配してくれたんだ」
「ああ、当然だろ」
「当然なんだ」
「ああ、当然だ」
「……そう」

 何故か同じ事を2度繰り返し尋ねてきたその言葉に返して、照れかあるいは羞恥でその頬が赤く染まる。そしてどこか潤んだ瞳をこちらへと向け……

『アクセル大尉、任務よ』

 部屋にある映像モニタが起動し、そこにキャサリンの姿が映し出される。
 幸いベッドは見えないようになっているのでシェリルが見つかる心配は無いが、それでも一応声を出さないように合図してから言葉を返す。

「任務? こんな急にか?」
『ええ、緊急のオーダー』

 そう告げてくるキャサリンの表情は真剣そのものだ。いや、ちょっと焦りの色もあるか?

「内容は?」
『ランカちゃんの歌の効果を確かめる為に、バジュラが潜んでいると思われる場所に出撃して貰うわ』
「……待て。ランカの歌については俺達が生け捕りにしたバジュラがいただろ?」

 ランカの名前に息を呑むシェリルを横目に尋ねるが、戻って来た答は無言で首を振るというものだった。

『安全な場所でただ歌っているだけでは効果が無かったの。実際に戦場で歌ってこそ効果を発揮するというのがグレイス・オコナーの進言よ』

 グレイスの名前に、更に息を呑むシェリル。

「それは無茶以外の何ものでもない無いだろ。ランカは民間人だぞ? それを戦場に連れて行って歌えと?」
『歌についてはカナリア中尉の機体に乗せるから、VFよりも安全度は高い筈よ。……これに関しては、上からの直接の命令なの。幾らアクセル大尉に不満があっても覆る事は無いわ』

 上から? 大統領からなら直接そう告げるだろう。となると……キノコとグレイスの進言をグラス大統領は黙認といったところか。

「……しょうがない、了解した。すぐに出撃の準備を整える」
『ええ、お願い。……アクセル大尉、ランカちゃんの事を……お願い』

 その言葉と共に通信が途切れ、部屋には俺とシェリルの沈黙のみが存在していた。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:910
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:691 
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