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エンジェルボイス

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第二章


第二章

 彼はだ。さらにであった。
「よし、やるぞ!」
 いきり立った叫びであった。
「今からな。部活頑張るぞ!」
「っておい」
「声聞いたらテンションあがったな」
「百パーセントが百五十パーセントになったぞ」
 つまり一・五倍になったのだ。
「まさかと思うけれどな」
「こいつ、彼女にな」
「惚れたか?」
「まさかな」
 皆こう考えた。そしてだ。
 その証拠にだ。彼はだ。
 理恵のその声を聞くと何時でもだった。急にテンションがあがり元気になる。まるでドーピングをしたようにだ。そうなるのだった。
 そんな彼を見てだ。周囲は呆れ果てた。そしてこう言うのだった。
「そんなにあれならな」
「そうだよな、本人に会えばいいのにな」
「同じ一年だし」
「しかもクラスもわかってるしな」
 実は徹のクラスと理恵のクラスは隣同士だったりする。
「けれどあいつまだクラスまでは知らないみたいだぞ」
「じゃあ教えてやるか」
「ああ、そうしてやるか」
 皆ここでは親切心を出した。それで、であった。
 彼にだ。理恵のことを話すのだった。
「えっ、隣のクラスの娘か」
「ああ、そこにいるからな」
「まあ気が向いたら会いに行ったらどうだ?」
「そうしたらどうだよ」
 皆彼にこう勧めるのだった。
「あの娘の声、気に入ってるんだよな」
「だったらな。行けよ」
「それからは御前次第だけれどな」
「わかった」
 また熱い声で頷く。
「それじゃあな」
「っていうか知らなかったのかよ」
「声にもう夢中ってか」
「それで素顔に会ったらどうなるか」
「こりゃまずいか?」
 皆彼がまさに夢見る状態なのを察して述べた。
「幻滅するってあるからな」
「素顔を見てな」
「そうなったらどうなるか」
「まずいぞ、これ」
「若し落ち込んで野球にその影響が出たら」
 彼はエースなのだ。それも超高校級の。
「うちの部活負けるな」
「甲子園も夢じゃなかったのにな」
「それがあいつが駄目になったら」
「どうするんだよ」
 その心配も浮上する程の状況になろうとしていた。しかしであった。
 彼はその隣のクラスに行き理恵と会った。そうしてこう言うのであった。
「いやあ、声もいいけれど」
「本人もか」
「本人さんも気に入ったんだな」
「可愛いよな」
 実際にこう言うのだった。
「小柄で楚々としててさ」
「まあ確かにな」
「外見も悪くないな」
「可愛いよな」
「そうだよな」
 周りもそのことを認める。理恵は確かに小柄であり華奢な身体つきをしている。色白でやや面長の顔をしていて眉は多少薄い。アーモンド型の目は少しだけつり上がり気味になっている。その目は奥二重だ。黒い髪を伸ばしたうえで後ろで上にあげてまとめカールも作っている。そうした外見である。制服がよく似合う。
 
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