魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Epos34日本語って難しいと思うby異世界組~Interval 3~
†††Sideアリサ†††
フェイトたち異世界組を含めたみんなで初詣の参拝を終えた後、あたしん家に帰って私服に着替えた。そして今は、みんなであたしの部屋に居る。あたし含めて17人(うち2人――アルフとザフィーラは、着替えた後に子犬と狼形態に変身した)の大所帯だけど、あたしの部屋はそれなりの広さを誇っているから、ぎゅうぎゅう詰めにはならないわ。ま、その分座る椅子やソファが足りないから、カーペットに直座りになっちゃうけど。
「――さてと。そんじゃ昼からはどうする? 正月らしいって言えば他にもいくつかあるけど・・・」
カーペットに直座りさせるのもどうかと思って用意したクッションに座ってお喋りしてたなのは達みんなに声を掛ける。すると真っ先に「お正月らしいって言えば・・・・羽根つき? あとすごろくとか」なのはがそう言って、「えっと、凧あげもあるよね。他にも福笑い、とか」次にすずかが人差し指をあごに当てながら言って、最後に「カルタに百人一首、けん玉にだるま落としやな」はやてがそう締めた。
「へぇ~。色々あんだな。・・・て、シャル、お前なにしてんだ?」
ヴィータの視線を追ってみると、シャルがあたしの勉強机――アンティークデスクの側で何かやっていた。デスクの上には確か「それ、学校の宿題よ。あんたも来年からやるんだからね」冬休みの宿題ノートで、シャルはそれを眺めていた。
「そう言えば、なのは達はどうなの、宿題」
「あー、私はある程度終わったよ」
「私も残りは算数ドリルだけ~♪」
なのはとすずかも大半を終えたようだけど、フェイトは「うぅー。国語が終わらないよ・・・」ガクッと肩を落として、アリシアは「わたし、まだ何1つとして終わってなーい♪」って陽気な声でそんなことを言ってのけた。
「アリシア・・・」「「アリシアちゃん・・・」」
「あんたね・・・。始業式まで1週間よ? それまでに終わるの?」
「んー、どうだろ。貰った宿題って、漢字・算数ドリルをそれぞれ5ページ、英語プリント2枚、国語プリント2枚、だったよね。1週間もあれば問題ないと思うけど?」
あたし達はまるで危機感のないアリシアに嘆息していると、「英語の授業があるのか?」ってルシルからそう訊かれて、「今年から必修科目になったんだよ」ってなのはが答えた。今年の3年生から英語の科目が追加された。
「英語はミッド語に似てるからラクショー、とはいかないけど・・・ま、簡単♪」
フェイトとアリシアにとっては多少の文法違いがあるものの、英語は、算数と並ぶ得意科目としてるわ。クラスメイトの中でいっつも頼りにされてるもの。このあたしを差し置いて。あたしだって、アリサ・バニングス、って横文字の名前なのに・・・。
そんなあたし達のやり取りの中、来年4月から聖祥小に通う事になってるはやてが「アリサちゃん。どうゆうもんか見せてもらってもええかな?」ってデスクに置かれた宿題を指さした。もちろん「いいわよ」って頷いたあたしは、すでに終えてた算数ドリルをはやてに手渡した。はやて「おおきに」そう受け取って、ペラペラと捲ってく。
(そう言えばはやてって、ルシルに勉強を教わってたんだっけ。だったらこれくらい簡単なはずよね)
魔導師になって判ったことだけど、魔法の構築や制御はまんま理数系の習得・理解・応用力に懸かってくる。だから今のあたし達は理数系で言えば小学生レベルをとっくに超越してる。だから「なるほど。うん。これくらいなら解るわ」はやても嬉しそうに頷いた。
「ルシル。はやての今の学力ってどんくらいなの?」
「理数系で言えば高校卒業レベルで、算数というよりは数学を学んでもらった。文系は中学二年レベルかな。夜天の書をはやての家で見つけた時、はやても魔法の使い手になると踏んで、理数系に力を入れて教えた」
「おおきにな、ルシル君。ルシル君のおかげや♪」
「どういたしまして、はやて。はやてが弱音も吐かず、俺の授業について来てくれたおかげだよ」
笑顔で見つめ合う2人に「はい、ごちそうさま」あたしは手を合わせた。とここで、「ねえ、ルシル。わたしにも勉強を教えてよ」シャルがそう言って挙手(若干膨れっ面だったのは言うまでもないわね)。すると「あ、わたしも!」アリシアまで手を挙げてそんなことを言いだし始めた。異世界組にとって一番の苦手科目は国語みたいで、フェイトもアリシアも、そしてドリルを見たシャルも「ムズっ!」国語がダメみたいだわ。
「まぁ、構わないが。とは言え、君たちが苦手なのは国語だけだろ? あれは復習を繰り返して覚えるしかないぞ。反復学習だ」
とは言いつつ、ルシルはちゃんとあたし達の教科書を使って、フェイトとアリシア、シャルに国語・社会の授業を行った。正直、学校で習うより解り易かったわ。ルシルって先生になると大成しそう。みんなでルシルの授業を受けて、その後は「さぁ。簡単な小テストだ」そう言ってルシルは、「我が手に携えしは確かなる幻想」そう詠唱。その手に現れたのはあたし、なのは、すずか、フェイト、アリシア、はやて、6人分のプリント。
「国語と英語と社会の小テストプリントだ」
自慢げに言うルシルに「それ、ルシル君が作ったの?」なのはがそう訊くと、「とある高校入試問題のレベルを下げたモノだ」なんて言い出した。どっからそんなモンを持ってきたのかって気になったから、「どうしたの、それ?」って訊いてみた。そしたら「企業秘密だ」なんて誤魔化してきた。
「さて。これからはやて、なのは、アリサ、すずか、フェイト、アリシアに、俺が用意した小テストを受けてもらう。ただ受けてもらっただけじゃ受ける君たちには面白くはないだろうから、総合得点で1位だった優勝者には褒美をあげよう」
ルシルがそう言った途端、「なんでもいいの!?」シャルが真っ先に食い付いた。興奮気味なシャルに「俺に出来ることであれば」なんて、調子に乗らせそうなほどの太っ腹な返答を言ってのけたルシル。
「よっしゃぁぁーーー! 言質、言質取ったからね!」
ヒャッホーって具合に小躍りしてるシャルを見て、「あの、ルシル君。本当に良いの?」すずかがボソッと訊ねると、「シャルちゃん、本気になったらまずいかもだよ?」なのはもそう確認した。フェイトも頷く事で賛同。はやては不安げにルシルを見詰めたまま。
「問題ないよ。・・・さてテスト中でのルールを設ける。1つ。念話などの魔法の使用を禁止。2つ。私語厳禁。3つ。カンニングしたら即アウトで、罰ゲームを受けてもらう。1つ目と2つ目のルールを破ったら、総合得点――1教科50点満点だから150点だな。そこから10点ずつ引いていく。総合得点が50点を切ったら・・・もれなく罰ゲームだ。全員が50点を切ってもアウト」
「結構大きいわね、マイナス10点って。でもま、仮にもテストなんだから私語をするつもりはないわ」
「カンニングはダメだよね。うん、判ってる!」
というわけであたし達は、あたしの部屋から応接室へ移動。あたしの部屋に留まる他のみんなにはテレビゲームや読書なんかで時間を潰すようにお願い。ヴィータなんかはテレビゲームに食いついていたわね。今度、ハードとソフトを貸してあげよう。
応接室に着くと、あたし達はカンニングをしないように部屋の四方八方に分かれて、雑誌を積んで作った簡易机の前にスタンバイ。そしてルシルがまず1枚目のプリントをあたし達に配って、「制限時間は30分。用意・・・始め!」時間制限を設けてから開始の合図をした。ペラッと捲ると、英文が視界に入った。最初は英語ってわけね。
(上等じゃない。全テスト満点を取って、取って・・・。ルシルに何をさせようかしら・・・?)
優勝者特権のルシルへのお願いを考える。なんていうか、どうもあたしはルシルを女装させて遊びたい気持ちがあるのよね。これからもちょくちょくルシルで遊ばせてもらおうかしら。そんなイタズラ心に若干の戸惑い、そして高揚を抱きながら問題を解いていく。
(お? 今度は英文を訳すのね)
英単語や英文作成をサクサク済ませた後、そんな問題があたしを待ち構えていた。でも楽勝よね、きっと。
問:以下の英文を訳せ
Mary:Who are you ?
Nancy:I am your mother.
Mary:Oh, really ?
メアリー:あなたは誰ですか?
ナンシー:私はあなたの母です。
メアリー:えぇ~、本当に?
(ちょっと待ちなさい。記憶が飛んでんの?メアリー。それとも生き別れの果ての再会?)
Michael:My finger was cut by knife. Please pass me the medicine case.
Mary:I’m sorry, I can’t. Now I am reading a book.
マイケル:指をナイフで切ってしまいました。薬箱を持ってきてくれませんか。
メアリー:すいません、出来ません。今、私は本を読んでいます。
(何してんのよ!? メアリー! 友達が指を切ってるって言ってんのに、何スルーしてんの!? 馬鹿なの!?)
「ぷふ・・・うふふ・・・」
「はい、アリシア。マイナス10点」
「ええーー!? なんで!?」
「私語厳禁のルール違反。テスト中は静粛に」
「そんなぁ~~~」
そんなやり取りを背中で聴く。笑ってもアウト(まぁ、実際に学校でテスト中に笑うなんてダメだろうけど)なルシルのテスト。なんか嫌な予感がするわね。
Mary:Is my name Hajime Saito ?
Sayaka:No. Your name is Mary.
メアリー:私の名前は斎藤一でしょうか?
さやか:いいえ。あなたの名前はメアリーです。
(メアリー!やっぱりあんたは馬鹿だったのね。自分の名前はおろか性別に国籍すら訊ねなきゃ判らないってどういうわけ!? というか斎藤一!? 新撰組を良く知ってるわね、メアリー!)
Sam:Hello ?
Mary:Hello, this is Mary speaking. Are you Jack?
Sam:No. I’m Sam.
Mary:Oh Jack, why are you absent from school today ? Can you come to school tomorrow, can’t you?
サム:もしもし?
メアリー:もしもし、メアリーです。ジャックですか?
サム:いいえ、私はサムです。
メアリー:おお、ジャック、何で今日は学校を休んだの? 明日は来られるよね?
「っ!(サム、ちゃんと名乗ってるじゃない! 話を聞きなさいよ、メアリー! さっきもそうだけど馬鹿なの!? ていうか馬鹿でしかないわよ!!)」
「ふふ・・・」「はふ・・・!」
「すずか、フェイト。マイナス10点」
こんな感じの英文を訳せって問題に問題があるわよ、いやホントに。部屋の中央に居るルシルに振り向いてキッと睨み付けると、「アリサ、カンニング。マイナス10点」ルシルが理不尽なことを言い放ってきた。
「はあ!? カンニングなんかしてないでしょ!」
思わず立ち上がって反論する。
「さらにマイナス10点」
「ちょっ! あたし、なのは達のプリントなんて覗き見てないでしょうが!」
「テスト中に他の子へと振り向いた、立ち上った。あと私語厳禁。ほら、ルール違反。これ以上立っていると、強制アウトだぞ?」
「っく。あんた、初めから優勝者を出す気なんか・・・!」
ニタリと笑うルシルに、してやられた、って思った。コイツ、何かを企んでる。ちょっと待って。罰ゲーム、って言ってたっけ。それを狙って、あたし達の自爆を誘うためにこんなふざけた問題を作ったのね。
Jack :I don’t want to lend the car to Mary.
Risa :Why ?
Jack :Because Mary hasn’t returned the car ever.
Risa :I see.
ジャック:私はメアリーに車を貸したくない。
リサ:なぜですか?
ジャック:なぜなら、彼女は車を返した事がないんだ。
リサ:判ります。
(ホントに何してるのよ!? メアリー! リサも、判ります、じゃなくて何かメアリーに言ってやりなさいよ! ジャックもジャックで全然危機感持ってないし! これがアメリカなの!?)
Mary:My car was broken by someone.
メアリー:私の車は誰かに壊された。
(それジャックの車じゃないの!? 絶対そうでしょ! なに勝手に自分の車にしてんの! 犯罪ギリギリ一歩・・・アウト! でもだから車をジャックに返せなかった事なのかしら・・・? あーもう! なんなのメアリー! こんな面倒な子知らない!)
Mary:I tried to smile, but I couldn’t.
メアリー:私は笑おうとしましたが、出来ませんでした。
(もう笑うしかないって事なの!? 笑えなくて当然だっつうの! つうかまず先にジャックに謝りなさいよメアリー)
Sayaka:Is this a car?
Mary:No. It’s a needless junk.
さやか:これは車ですか?
メアリー:いいえ。これは必要ないガラクタです。
(ジャックの車をついにガラクタ呼ばわり! しかもメアリー、若干開き直ってる感じがするし! そこまで言うほどに破壊されたって、犯人は随分と恨みを持ってるわよね!?)
「「「ぶふっ・・・!」」」
「なのは、フェイト、シャル。10点マイナス」
Mary:I'm sorry Jack.
メアリー:ごめんなさいジャック。
(お、ようやく謝ったみたいねメアリー)
Mary:Please receive it in indemnification for me.
メアリー:私の償いとして受け取ってください。
(え? 何だろう・・・。やっぱり新車かしらね・・・?)
Jack :What is it ?
Mary:It is a helicopter.
Jack :Oh ! You are foolish!
Mary:No. I am Mary.
ジャック:何かな?
メアリー:ヘリコプターです。
ジャック:おう! あなたは馬鹿ですね!
メアリー:いいえ。私はメアリーです。
「ぶふっ!(ありえないんですけどぉぉぉぉぉーーーーっ! 何なのこの馬鹿すぎる会話は!!? ヘリ買うお金があるなら車を買いなさいよメアリーッ!! ジャックもついにメアリーを馬鹿呼ばわりだしさ! もうダメだわ。声に出してツッコみたい!)」
「「「「「「ぶはっ!」」」」」」
「アリサ、はやて、なのは、すずか、フェイト、アリシア、シャル。10点マイナス」
Mary:I had a lot of money, but I spent all my money. I'm in deep trouble.
メアリー:私はたくさんのお金を持っていましたが、全部使い切りました。とても困りました。
(メアリーはやっぱり馬鹿だわぁぁぁーーーー!)
「ぷっ! ふふ、くふふ・・・!」「ふはっ・・・!」
「アリシア、シャル。マイナス10点」
Sayaka:Mary is cleaning the toilet .Should I help her?
Jack:No, you should not.
Sayaka:OK. Let’s go to the date.
Jack:Yes. Let’s go!
さやか:メアリーがトイレを掃除しています。私は手伝うべきでしょうか?
ジャック:いいえ。あなたはやらなくていいです。
さやか:判りました。デートへ行きましょう。
ジャック:はい。行きましょう!
(メアリーがぼっちにされちゃってるぅぅーーー! あー、でもなんかジャックの気持ちを解っちゃうし! イライラする・・・!)
Mary:I won’t go to today’s lesson, because I have to go home early to watch TV.
Teacher:Really ? If you don’t go, I won’t go, either.
メアリー:私は今日の授業に出ません。何故なら早く家に帰ってテレビを観なければならないから。
先生:本当ですか? あなたが行かないなら、私も行きません。
(教師! あんた、教師でしょうが! なに生徒のサボりに乗って、あんたもサボろうとしてんのよ!・・・て、ようやく終わったわね・・・)
変なところで終わった英文を訳す問題。なんかもう「はぁぁぁ・・・」溜息しか出て来ないわ。あたしが真っ先に溜息を漏らすと、なのは達も一斉に溜息を漏らした。そして30分が経って、「はい、そこまで。もう喋っても良いぞ」ってルシルが英語の小テストの終わりを告げた瞬間。
「「「メアリィィィーーーーーーーーーーッッ!!」」」
あたしとシャルとアリシアは叫んだ。それからあたし達は国語に社会の小テストを受けた。英語に比べればまともだったけど、ルシルがあたし達のプリントを回収し終えた時に浮かべた妙な笑みが気になった。
†††Sideアリサ⇒ルシリオン†††
俺を女装させた恨みを晴らすべく始めた小テスト。まずは英語で笑いを誘ってやった。国語と社会だが、まぁ、日本に住んでるはやて、なのはとアリサとすずかにとってはそう難しくなかっただろうな。問題は、異世界出身組であるフェイトとアリシアとシャル。ちょっと授業をしたくらいですぐに頭が良くなるわけでもなく。
(標的にするべきアリサ、アリシア、シャルの巻き込んでしまったフェイトには申し訳なかったな・・・)
心の内でフェイトに、そしてはやて、なのは、すずかに謝りつつ「採点が終わったぞ」応接室のソファでくつろいでいる彼女たちへ歩み寄る。そして「さて。これより、君たちの回答を解説していこうと思う」空間モニターを展開して、そこに先ほど受けさせた小テストのプリントを表示させるつもりだ。
「ちなみに、この解説中に笑ったらマイナス10点だ」
そう言うと、「やっぱあんた、優勝者を出すつもりがないのね!?」とアリサが噛み付いてきた。が、「人に解答に笑われるなんて嫌だろ? というか、君は笑うつもりなのか?」と返す。するとアリサは「いいわよ、笑わないし」そう言って若干膨れた。俺は採点中、いくつかの解答に吹き出しそうになったり、ツッコみを入れたくなったりした。俺でもそうだったんだから、きっと笑いに緩そうなアリサやシャル、アリシアは引っかかるだろう。
「まずは社会から。アリシア。まずは君の解答を見てもらおう」
「うえ!?・・・あー、うん」
「問:1549年、日本にキリスト教を布教しに来た人物を答えよ、という問題だが。アリシア、君はこの問いに対して何て答えた?」
「え?・・・えっと・・・、ちゃんと答えたよ?」
小首を傾げるアリシアに「では、見てみようか」と言って、モニターに彼女の解答プリントを表示させる。
「フランソワ・ザミエル。・・・って、誰?」
「「ぷふ・・・」」
「アリシア、アリサ。10点マイナス!」
書いた本人であるアリシア、そして笑わないと豪語していたアリサが小さくだが吹いた。容赦なくアウト宣言を伝えると、「あぅー」と目を><にするアリシアと、「しまった」と悔しげに唸るアリサ。そんな中でシャルが若干笑みを零していたため、「同じ問題で、シャル」と名指し。
「ええ!? わたし!?」
「そう、君だ。さぁ、君はこの問題に対してどう答えたか・・・」
今度はシャルのプリントを表示させて、「サンフランシスコ・サミエル」とシャルの解答を口に出す。なのは達が「惜しい」と残念がる。シャルのこの解答に笑いは起きなかったからすぐさま「じゃあ答えは? なのは」と正解していたなのはの名を呼ぶ。
「え? あ、うん。答えは、フランシスコ・ザビエル、です」
「正解。では次だ。問:目安箱を設置するなど、享保の改革を行った徳川八代将軍の名前は何というか、という問題だが。・・・シャル」
「なぬっ、またわたし!?・・・えっと・・・」
うんうん唸るシャル。そんな彼女に思い出させる為にその解答欄を表示させて、「徳○新之助」と声に出す。すると、「そうそう、徳田新○助! ラ~ララ~ララ~ララ~ラ~ラ~ラ~ララ~♪のやつ!」シャルがソファから立ち上って、とある時代劇ドラマのテーマ曲を歌いだした。
「えっ、違うの!? わたしもそうなんだけど!」
シャルもアリシアと同じ間違いをしていた。なのは達が苦笑している中、「フェイト。君はどう答えた?」と訊ねると、「えっと、徳川吉宗・・・?」と自身なさげに答えてくれた。そんな彼女に「正解だ」と微笑みを向ける。ホッとしているフェイトに「やったね」とハイタッチを交わすなのは達。
「次だ。問:イスラム教の開祖であり、アラビア半島に国家を立ち上げた人物を答えよ」
「これは簡単! バフォメットでしょ♪」
「違う。悪魔の名前だ、それ。そんな名前、どこで覚えた? まぁ、確かにバフォメットの名の由来は正解であるマホメットだが・・・」
「うっそぉーーん!」
「「「「「ぷふ・・・!」」」」」
自信満々に答えたシャルにそうツッコみを入れ、それにショックを受けたシャルを見たはやて、なのは、すずか、フェイト、アリシアが吹き出したのを確認。アリサだけは耐えたな。即座に彼女たちに「マイナス10点」と宣告。順調に点数を引けている事に満足しながら、「次だ」と先へ進む。
「問:世界の三大人種を答えよ。・・・アリシア・・・」
「はーい!・・・コホン。白・黒・抹茶♪」
「上がり・コーヒー・ゆず・さくら♪」
シャルとアリシアが、かの有名なういろう店のCMを唄ったら、「ぷふっ」はやて、なのは、アリサ、すずか、フェイトが吹き出したため「10点マイナス」と彼女たちに宣告。「いぇーい♪」とシャルとアリシアがハイタッチを交わしているが、問題に間違えている時点で点数を引かれている事を忘れるなよ。
「えー、正解だが・・・、はやて」
「うん。白色人種、黒色人種、黄色人種です」
「そう。正解だ。ういろう色の人種が居たらビックリだぞ」
「「えええーーー」」
不変不満を漏らすシャルとアリシアだが、真面目に答えない君たちが悪い。
「ほら、次だ。問:ソ連では1985年に〔 〕が共産党書記長に就任しました。〔 〕に入る人名を答えよ。なお、ファミリーネームだけでも可。これは・・・フェイト」
「ええ!? わ、私!?・・・えっと・・・ストロガノフ・・・?」
「「美味しく頂きましたぁ~♪ ☆3つ♪」」
フェイトの誤答を聴いた瞬間、またもシャルとアリシアが練習したかのようにそんなことを言った。すると「っく・・・!」アリサが吹き出すのを見逃さなかった俺は「アリサ。10点マイナス!」と宣告。
「ちょっ、待ちなさいよ! 今のはフェイトの解答に笑ったんじゃなくて、シャルとアリシアの――」
「諦めなよ、アリサ」
「そうだよ、アリサ」
「あんた達の所為でしょうが!!」
ポンとアリサの肩に手を置くシャルとアリシアに、アリサがうがぁーと吼えた。確かに今のは可哀想か。だが訂正はしない。解答に、ではなく解説中に笑ったら、だ。どの道アウトだからな。
「それじゃあ正解を・・・、すずか」
「あ、はい。ゴルバチョフ、です」
「うん、正解だ。フェイト。ストロガノフは料理名だな。まぁ、空欄にせずに埋めようという心意気は買おう」
「うぅ、ありがとう、ルシル」
「ああ。・・・では次。問:日本三大名園を挙げなさい。・・・シャル」
「ヤー。市川○、永谷○、伊藤○! ふっふん♪」
「「「「ぷふっ!」」」」
「はやて、なのは、アリサ、すずか。10点マイナス」
シャルの解答に笑ってしまった彼女たちの点数を引く。採点時、実は俺も笑ってしまった。小首を傾げている異世界出身組のフェイトとアリシアには伝わらなかったようだな。
「えー、正解は・・・、なのは」
「あ、うん。兼六園、後楽園、偕楽園、です」
「正解だ。シャル、君のは全部社名だ。それでは次。問:太平洋戦争終結後、独占的な経済力を分散させるためにGHQによって解体された四大財閥を答えなさい。アリシア」
「三千院、西澤、中川、道明寺!!」
「ぷはっ・・・!」
「アリサ。10点マイナス」
「ルシル! あんた、さっきからあたしを、ううん、シャルとアリシアを含めた3人をターゲットにしてない!?」
さすがに勘付かれるか。だが「気の所為だろ?」とすっ呆ける。ジーっと半眼で睨んでくるアリサの視線を受けながら、「アリシアちゃん、今の答えってもしかして・・・」となのはとアリシアの会話を聞く。
「うん。ぜーんぶクラスメイトに貸してもらった本に出て来るやつ♪ えっと、ハヤテ○ごとく、ケ○ロ軍曹、こ○亀、花より○子ってやつ。ルシルがさっき言ってたでしょ? 空欄にするより埋める努力をするのは良いって。だから埋めたんだよ♪」
というわけらしい。アリシアは順調に他の子供たちと友情を築いているようだ。俺は「フェイト。偉いな。君は正解だった。正解はなんだった?」とフェイトに微笑みかける。
「良かった・・・。三井、三菱、住友、安田、だよ」
はやて達に拍手されたフェイトは「あぅ、ありがとう」テレながらも優しい微笑みを浮かべた。フェイトの笑顔を見る度、かつて俺を――ルシリオンを好きだと言ってくれた彼女を思い出す。あれから1万年以上も経過しているが、残った分身体は幸せにその生涯を終えただろうか。
(いやきっと・・・幸せに満ち溢れていたに違いない。そうだろう・・・?)
かつての俺に思いを馳せる。さて。感傷に浸るのは後だ。サクッと続きへ行こう。
「では次。問:ユーラシア大陸を走る、世界で一番長い鉄道の名称は何か」
そう言った瞬間、「ゲームで知ってる! 黄道特急!」アリシアが挙手して答えた。ゲームで知った、という時点ですでに間違っていると思えば、やはり答えは間違っていた。解答プリントには堂々と、黄道特急、と書いてある。
「ぷはっ! それバイオハザード0だから!」
「アリサ。マイナス10点」
「うがぁぁぁーーーーッ! アリシアが裏切ってくるぅぅーーーーッ!」
「馬鹿だなぁ、アリシア~。答えは銀河鉄道だよ♪」
「ぷふっ! 馬鹿はあんたよ、シャル! 銀河! すなわち宇宙! 地球を飛び出しちゃってるじゃないの!」
「アリサ。マイナス10点」
「のわぁぁぁーーーーッ! シャルもシャルでボケてくるし!」
アリサがボケにボケを重ねて来るアリシア・シャルコンビの前に発狂寸前。頭をガシガシと両手で掻き乱す。なのは達が「落ち着いて!」と宥めようとするが、アリサは「あたしの点数がぁぁーーー!」と咆えるばかり。そんなアリサを宥めること少し。
「はぁはぁはぁ・・・。ルシル。次、次よ・・・!」
幽鬼のように佇むアリサに「お、おう」俺は応える。社会のテストはこれで切り上げ、次は国語。
「何の手応えも効き目もないことのたとえのことわざ、〔 〕の釘。〔 〕に入る語句を答えよ。ア、アリサ」
まずはアリサの精神ダメージを回復させる為にアリサに答えさせる。すると「へ? あ、あー、糠に釘、よ」アリサは後ろ髪をサッと払いながら堂々と答えてくれた。そんな彼女に「正解だ、アリサ」と微笑んでやると、「と、当然よ!」とテレてそっぽを向いた。
「えー、そんな中で、ふざけた答えを書いた人が居ます。シャル」
「馬鹿な! わたしは確かに、ぬかに釘、って書いたよ!」
納得いかないと言った風に怒鳴るシャルに「ほう。じゃあ見てみようか」と言い、彼女のプリントをモニターに表示。
「ぬこに釘」
「か、と、こ、を間違えちゃったんだね、シャルちゃん」
「うぅー。日本語、むずかすぃ~~」
ヘコんでいるシャルに「あはは。ぬこってなに?」アリシアがにこやかに問う。アリサがその問いに対して「ただの誤字でしょ?」と言いつつ、携帯電話のインターネットを利用して調べ始めた。そして「・・・・」スッとディスプレイから目を逸らした。
「どうしたの? アリサ。・・・あぅ」
「フェイトちゃん?・・・うぅ」
「なのはちゃんまでどうしたの?・・・あ」
「すずかちゃん?・・・なにを見てるん?・・・おおう」
「んー? みんなして何を見て・・・、っ! シャル、ひどいよ・・・」
フェイト、なのは、すずか、アリシアという順でアリサの携帯電話のディスプレイを覗き込み、口を閉ざした。そして最後にシャルが覗きこみ、「ごめーーん、猫さぁぁーーん!」泣いた。そう、ぬこ、とは猫の別称らしい。俺もディスプレイを覗き込む。そこに映っていたのは土鍋に入った仔猫2匹。めっちゃ可愛いんですけど!!!! 俺は本気で思う。猫。その生物こそ神が作りたもうた生命の中で一番愛らしく、可愛い、と。
「えー、この空気をどうにかするために次の問題だ。人は土壇場になって初めて〔 〕をくくる。空欄を埋めてくれ。フェイト」
「うっ! えっと・・・髪・・・?」
「残念。アリシア」
「首!」
「死んでどうする。諦めるなよ、頑張れよ。違う。シャル」
「腕か脚!」
「マジックでもするのか? 土壇場で。違う。・・・はやて」
「うん。腹。腹をくくる、や」
「正解だ。間違っても首をくくると書かないように。先生から呼び出し食らうぞ。それじゃあ次な。走れメロスからの出題。メロスは、どうして自分の命を懸けてまで走ったのだろうか?」
俺が問題を言った途端に「タイトルに、走れ、が付いてるから」とシャルとアリシアの声がダブった。すると「はふっ」誰かが吹き出す。見れば「はやて。10点マイナス」はやてだった。彼女は「あちゃあ、やってしもた・・・」と手を額に乗せてがっかりポーズ。
「うそうそ♪ ホントの答えは、人質になった大切な友人の命を救うため、でしょ?」
シャルが、どうだ参ったか、みたいにウィンクしながら答え直した。俺は「正解だ。やるじゃないか」と拍手しながら次の問題を読み上げる。
「とても出来るはずのないことをしようとする愚かさのたとえのことわざ、竿竹で〔 〕を打つ。〔 〕に入る語句を答えてくれ。なのは」
「うん。竿竹で星を打つ、です」
「正解だ。で、この問題に対して間違った答えを書いた子が居る。・・・フェイト。アリシア」
名を呼ぶと、「えっ?」フェイトはビクッと肩を跳ねさせた。フェイト、君の解答を見てビックリしたよ。アリシアは「またかぁ~」と若干慣れ始めている所為か残念がってはいない。とりあえずフェイトのプリントをモニターに表示。
「竿竹で頭を打つ。通り魔はいかんな」
「「ぷふっ・・・!」」
「シャル、アリシア。10点マイナス」
フェイトの答えに吹き出した2人から容赦なく点数を引く。続けて「アリシアは、竹竿で尻を打つ。お仕置きとしてもキツイな」と言うと、「ぷふっ」シャルとアリサが吹き出したため「シャル、アリサ。マイナス10点」の点数を引く。
「次な。相手の顔の表情から、その心中を推し量ることのたとえのことわざ、眉を〔 〕。さぁ、空欄に入る言葉はなんだ?・・・シャル」
「・・・眉を削ぐ」
「鬼か。相手の表情と心中は決まって絶望だ」
「「「「ぷっ」」」」
「はやて、なのは、アリサ、すずか。10点マイナス」
フェイトとアリシアは耐えたか。俺は「それじゃあ答えは、なのは」と指定する。すると「あ、はい。眉をひそめる、です」なのははきはきと答えを返してくれた。
「正解だ。それじゃあ次。暗がりで急に肩を叩かれて〔 〕を潰した。空欄に入る言葉を答えよ。・・・アリシア」
「はい! 暗がりで急に肩を叩かれて、叩いてきた人がエッチそうだったからその人の〔目〕を潰しました!」
アリシアがそう答えると、妹であるフェイトを除くはやて達が「ぷふっ」吹き出したため、彼女たち全員の点数を引く。ホント酷いな。
「はぁ。フェイト。君はどう答えた?」
「あ、うん。胆を潰す、かな・・・?」
「大丈夫。それで合っているよ。じゃあ、これで最後だ。今日は〔 〕を割って話し合おう。意味は本心を包み隠さず打ち明けることだが。例に漏れずシャルとアリシアの2人が間違っていた。しかも同じ答えだ。言ってみるか?」
「「頭をかち割って話し合おう」」
シャルとアリシアが先程と同じように声を重ねて答えたためか「ぷふ・・・!」アリサが吹いた。
「アリサ。マイナス10点。にしても猟奇的だな、オイ。確かに包み隠せないよな、考える部位である脳を曝け出せば。・・・というか死ぬ。打ち明ける云々の問題じゃない。即死だ、即死。そもそも、かち割って、って。・・・はやて。答えは?」
「うん。腹を割って、や」
「正解だ」
「腹を割ったら色々出て来るよね。それこそデッドエンドじゃん。ねえ?」
「ねえ?」
小首を傾げ合うシャルとアリシアに「そう深く考えると負けだ。そう言うモノだと納得するしかないんだよ」と言う。俺からしても日本語は色々と難しい。2万年近く存在してきて、理解した言語の中で一番難しいと思う。
さぁ、全ての解説が終わっていざ、点数発表となる。この中で一番の才女であるアリサが盛大に減点稼ぎをしてくれたおかげで、「君たち全員、50点以下。俺のひとり勝ちだ」と宣告することが出来た。
(無関係なはやて達には悪いが、これもルールを設けた上での勝負だ。許せ)
よーし。一体どんな罰ゲームにしてやろうかな。やっぱりアリサ、シャル、アリシアだけは別の罰ゲームだよな。そう俺は彼女たちに与える罰ゲームの内容を考える。
後書き
サルウス・シス。
はい、今話はかつてにじファンで連載していた「ハコにわ生徒会」と「魔法先生ネギま~Nemo fortunam jure accusat~」から持って来ました。英語は「ハコ」の受験テストの内容で、国語と社会は「ハコ」と「ネギま」でのシャルシルのやり取りと、シャル・ネギ・バカレンジャーのやり取りから。
この2つの作品は未だにWordソフトに残っているので、コピペして、なのは達の台詞に書き換えるだけという簡単作業でした。ちなみに、小学3年の社会は当然歴史・地理など学びません。国語もそうですね。今話限りの冒険なのであしからず。
さぁて、今話は楽をしましたから次話で苦しみますか。ネタを探そう、早速。
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