FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第192話 グレイVSアンナ
前書き
紺碧の海です☆
今回はグレイVSアンナの激戦が幕を開けます。果たして、勝つのは一体どっちだ―――――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第192話・・・スタート☆
チャ「おぉっと!美術館エリアで、妖精の尻尾のグレイと、銀河の旋律のアンナが激突だーーーーーっ!!」
チャパティ・ローラが映像魔水晶の映像に映し出されたグレイとアンナの姿を見て興奮しながら実況をする。
レビ「初代の作戦通りね。」
ロメ「これも計算通りなのか?」
メイ「はい。」
レビィが呟き、ロメオの問いにメイビスは首を縦に振る。
ウォ「じゃあやっぱ、グレイが勝つんだな。この勝負。」
メイ「それは私にも分かりません。」
マカオ「えっ?」
ワカ「だって、初代の作戦通りなんだろ?」
ウォーレンの言葉にメイビスは首を左右に振る。それを見てマカオは首を傾げ、ワカバがメイビスに問う。
メイ「確かに、グレイとアンナがぶつかるのは私の作戦通り・・・ですが、その作戦の結末は私にも分かりません。グレイに予め伝えております。「アンナを倒す事によって、優勝の道はかなり近づく」と。」
アン「初日以来ですね、こうして2人だけで向かい合うのは。」
大魔闘演舞初日のオープニングゲーム、『浮上板』でグレイとアンナは激突し、最後まで居残っていた。その激戦が、今また、ここで開幕しようとしていた。
グ「邪魔者はいねェ。正々堂々と、勝負が出来るぜ。」
そう言いながら、グレイは攻撃態勢を取った。
メイ「この戦い、正直言うとグレイの方がかなり不利な状況です。」
エル「えっ?何でだ?」
メイビスの言葉に、エルフマンは首を傾げながら問う。
メイ「グレイの魔法はは氷の造形魔法。アンナの魔法は―――――」
グ「いくぞ!アンナ!」
グレイが構えた両手に冷気を溜めたのと、アンナが絵筆を取り出したのが同時だった。
グ「アイスメイク、牢獄ッ!!」
バトルが始まって早々、グレイはアンナを氷の牢獄に閉じ込めた。が、
アン「絵画魔法、炎!」
メイ「(絵画魔法・・・アンナは炎で、氷を融かす事が出来ます。)」
アンナは赤い絵の具の付いた絵筆を素早く動かし、スケッチブックに炎を描くと、煌々と激しく燃え盛る紅蓮の炎が出現し、あっという間に氷の牢獄をドロドロに融かしてしまった。
グレイは「チッ」と小さく舌打ちをすると、再び構えた両手に冷気を溜め、
グ「氷撃の鎚ッ!!」
アンナの頭上に、巨大な氷の鎚を造形し、そのまま振り下ろす。が、
アン「炎!」
再びアンナはスケッチブックに炎を描き、氷の鎚もあっという間にドロドロに融かしてしまった。アンナの頭に降り注ぐのは、水と化した氷。ただの水は、痛くも痒くもない。ただ冷たいだけだ。
グ「くそっ。」
悔しそうに、グレイは歯をグッと噛み締める。
アンナは顔に掛かった濡れた前髪を左手で掃い、銀色の絵の具の付いた絵筆を素早く動かしスケッチブックに絵を描く。
アン「絵画魔法、騎士!」
グレイを取り囲むように出現したのは、銀色に光る鎧に身を包んだ騎士だった。それも1人や2人ではない。ざっと数えて20人くらいはいるだろう。現れた騎士は全員柄の部分に青と金色の飾りが付いた剣と、馬のような模様が刻まれた盾を持っている。中には馬具を着けた馬に乗っている騎士もいる。
アン「騎士達よ、我の指示に従い敵を薙ぎ払えっ!」
アンナはピッと絵筆の先端をグレイに向け騎士達に指示を出す。すると、アンナの指示通り、騎士達は剣を構えグレイに襲いかかって来た。
グ「結局邪魔者いるじゃねェか!」
愚痴を吐きながらも、構えた両手に冷気を溜め、
グ「アイスメイク、氷槍騎兵ッ!!」
無数の氷の槍を造形し、一斉に騎士達に向かって放つ。氷の槍は次々と騎士達の体を貫いていき、騎士達は煙となって消えてゆく。騎士達に当たらなかった氷の槍は、石膏像で出来た白い天使像を破壊していく。
アン「スキアリ!」
グ「!」
騎士達を倒している間に、グレイの背後に周り込んだアンナがスケッチブックに絵を描いていく。
アン「絵画魔法、虎!」
黄色と黒の縦縞が特徴の虎が、鋭く尖った牙を剥き出しにしながらスケッチブックから飛び出しグレイに襲い掛かる。
グ「アイスメイク、盾ッ!!」
構えた両手に冷気を溜め、八方に開いた花のような形の氷の盾を造形して身を守る。が、
アン「炎!」
紅蓮の炎が氷の盾をドロドロに融かしてしまった。
グ「盾が消え・・・・ぐあぁああぁぁああああっ!」
無防備となったグレイに、虎は容赦なく腕を振るい、グレイの体を数十m突き飛ばした。突き飛ばされたグレイの体は天使像を2~3体ほど破壊しながら美術館の壁に激突した。
アンナは黄色い絵の具が付いた絵筆を素早く動かし、スケッチブックに絵を描いていく。
アン「絵画魔法、雷!」
グ「がああああああっ!」
ゴロロロロ!と轟音を立てながら、アンナが描いた雷はグレイに直撃する。
ト「あわわわわぁ・・・」
応援席でグレイとアンナのバトルを見ていたトーヤが頭を抱えながら目を泳がす。
マ「ちょっ・・初代ィ、さっきからグレイ、やられっぱなしじゃん!」
ル「だ、大丈夫・・なのよ、ねぇ・・・?」
マヤとルーシィが、困惑した表情を浮かべながらメイビスに問う。
メイ「先程申したとおり、グレイが勝つかどうかは、私にも分かりません。」
ウェ「じゃあ、どうするんですか・・・?」
ウェンディの問いに、メイビスはしばらく何も言わずに黙っていたが、
メイ「私達はただ、ここから見守っているだけで良いのです。グレイが勝ちたいと望んでいるのならば、ここで応援している、仲間の想いが必ず届くはずです。」
ショ「でも・・・」
メイ「それに昨晩、グレイは私に言ったのです。」
ショールの言葉を遮るように、メイビスがショールの方を振向きながら言葉を紡いだ。
メイ「私に、「仲間の為に、戦わせてくれ」と。」
メイビスの緑色の瞳に、ショールの顔が映る。
メイビスは視線をショールから映像へと戻し、映像に映っているグレイの姿を見て言った。
メ「時に思いは計算を超えます。彼の想いが本物であるならば、グレイは私達に見せてくれるはずです。“勝利”という名の想いを―――。」
荒く呼吸をし、傷だらけになりながらも、天使像を支えにしながら、グレイはよろよろとその場でゆっくりと立ち上がる。
乱れた呼吸を整えた後、顔を少し上げ、黒い瞳で目の前にいるベレー帽を被った少女―――アンナを睨み付ける。
アン「『浮上板』の時も思ったけど、やっぱりしぶといはね。」
まだ立ち上がるグレイを見て、アンナは感嘆の声を漏らすと、赤い絵の具の付いた絵筆を素早く動かし、スケッチブックに絵を描いていく。
アン「これで終わりよっ!絵画魔法、爆炎!」
今までの炎よりも、荒々しく燃え盛る爆炎がグレイの体を包み込んだ。
グ「あああああああああああああっ!」
爆炎の中でグレイは叫ぶ。いくら叫んでも、爆炎は消えない。
アン「ジョニー・メカの手から銀河の旋律を救い出してくれた事に対しては、最強チームの皆さんには深く感謝しております。ですが、大魔闘演舞は別!私達は敵同士!燃え尽きろォォオ!」
グ「あああああああああああああっ!」
ジョニー・メカの件は和解した。しかし、やはり大魔闘演舞ではそんなのお構いなし。
アンナは全力全開でグレイに攻撃を仕掛け続ける。グレイは未だに爆炎の中だ。その時―――、
グ「あああああ・・・つあァ!」
アン「!?」
アンナは目の前の光景を目の当たりにして息を呑んだ。衝撃的すぎて、驚嘆の声も出ない。
アン「(う・・嘘・・・)」
グ「ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」
服が所々破れ、体の至るところに火傷をしており、顔を上に上げて荒く呼吸をしているグレイは、もう爆炎の中にはいない。なぜなら―――、
アン「(爆炎が・・凍り、付いて・・・)」
グレイの周りには、ゆらゆらと揺らめいている爆炎が凍り付いていたのだ。氷は雫を1滴も垂らす事無く爆炎を氷漬けにしていた。
アン「ど・・どうなってるの・・・?何で、炎が・・凍り、付いて・・・?」
まだ目を見開きっ放しのアンナは歯切れ悪くグレイに問う。
グレイはしばらく、乱れた呼吸を整える為に何も言わずにいたが、呼吸を整え落ち着きを取り戻すと口を開いた。
グ「俺は、竜の炎の熱さを、実感してるからな。それと―――」
そこまで言って一旦言葉を区切ると、グレイは口角を上げて微笑むと、
グ「敵じゃなくて、ライバルな。」
破れた服を脱ぎ捨てた。
チャ「脱いだーーーっ!脱いだ脱いだ脱いだっ!脱いだーーーーーっ!」
両腕を上下に激しく振りながらチャパティ・ローラが実況をする。
観客席でも、子連れの母親は子の目を隠したり、頬を染めたりする観客も大勢いた。
ハ&フ「あ、脱いだっ!」
シャ「脱いだわね。」
ハッピーとフレイが同時に言い、シャルルも目を細くしながら呟いた。
エ「やっと脱いだか。」
ナ「今回は脱ぐの遅かったな、グレイ。」
リョ「まぁこれで、グレイの本気モード突入って事だな。」
別々の場所で映像魔水晶の映像を見ていたナツ、エルザ、リョウも呟く。
ユ「グレイ、頑張って。」
もちろんユモも、映像に映るグレイを見て祈るように胸の前で手を組んだ。
アン「(・・計算外だわ・・・まさか、炎を凍らせちゃうなんて・・・・何て魔力なの・・・!)」
アンナは未だに驚きを隠せず、服を脱ぎ本気モードに突入したグレイから1歩遠ざかった。
アン「(もうグレイさんには、炎は効かない・・・)」
グ「今度はこっちからいくぜっ!アイスメイク、戦斧ッ!!」
アン「ひゃっ!」
氷の斧を造形し、アンナに向かって振るう。アンナも間一髪のところで避けたが、左頬が掠り血が流れた。
アン「(造形の速さが、さっきよりも速くなってる・・・!)」
通常の造形魔道士より、グレイの造形する速さは飛び抜けているが、服を脱いで本気モードに突入した今のグレイの造形の速さはその倍以上になっている。
グ「氷雪砲ッ!!」
氷の大砲から砲弾が放たれた。
アンナは銀色の絵の具の付いた絵筆を素早く動かし、スケッチブックに絵を描いていく。
アン「絵画魔法、盾!」
アンナの体よりも大きい銀色の盾が出現し、氷の砲弾を受け止めた。が―――・・・バキッと盾にヒビが入った。
アン「造形の速さだけでなく、技の威力も上がっているのっ!?」
アンナが驚嘆の声を上げている間にも、盾は氷の砲弾の威力には敵わず、バキ、バキバキッとヒビが次々と入っていく。
そして遂に、氷の砲弾の威力に負けた盾は粉々に砕け散ってしまった。
アン「キャアアァアァアアアッ!」
もちろん、氷の砲弾はアンナの体に直撃した。アンナの体は天使像を2~3体ほど破壊しながら美術館の壁に激突した。
グ「妖精の尻尾の紋章を刻んでるからには、同じ相手に二度はやられねェ。」
傷だらけのグレイの右胸に刻まれている、紺色の妖精の尻尾の紋章。それはグレイが、妖精の尻尾の一員である事を証明している証。
アン「私も・・一度勝った相手に、二度目は負けるなんて・・・銀河の旋律の紋章を刻んでるのに、恥ずかしいし名折れだわ。」
よろめきながらも、アンナもゆっくりと立ち上がりグレイと向かい打つ。
グ「俺的には、そろそろ終わらせたいところなんだけどよォ。」
アン「あら、奇遇ね。私も丁度同じ事を思ってたの。」
グ「なら、決まりだな。」
アン「えぇ。」
グレイが構えた両手に冷気を溜め、アンナが黒い絵の具の付いた絵筆を素早く動かし始めたのが同時だった。
グ「アイスメイク、槍騎兵ッ!!大槌兵ッ!!円盤ッ!!」
アン「絵画魔法、狼!大蛇!竜!」
氷の槍、氷の大槌兵、氷の円盤と、黒い毛並みの狼、蛇行しながら進む大蛇、黒い鱗の竜が正面衝突し、ドゴゴゴゴゴォォォン!という激しい爆発音が美術館に響き渡る。
グ「くっ・・・!」
片手で庇いながら、グレイは顔を顰める。
美術館内は煙に包まれ、辺りが全く見えない。すぐ近くにいるはずのアンナの姿も、グレイの位置からは―――――見えた。
グ「!?」
煙の中から顔に擦り傷などを負ったアンナが飛び出して来た。唐突の事だったので、グレイはほんの一瞬だけ怯んでしまった。その一瞬の隙に、アンナは茶色い絵の具の付いた絵筆をものすごい速さで動かし、スケッチブックに絵を描いていく。
アン「絵画魔法、礫!泥!」
グレイの四方八方に無数の礫が出現し、一斉にグレイに向かって飛んできた。
グ「うっ・・がっ!はぐっ!な、何だ・・これ・・・?」
無数の礫はグレイを閉じ込めるように集結し、更にその上から泥も降り注いでくる。
あっという間にグレイは礫と泥の山によって閉じ込められた。
アン「ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ、ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」
絵筆を構えた体勢のまま、アンナは肩で大きく息をする。
アン「(や・・厄介すぎる・・・初日も、かなり手強くて苦戦したけど・・・ここまでとは・・・・)」
アンナは視線をグレイを閉じ込めている礫と泥の山に移す。
アン「(これで少し・・時間を、稼げば・・・!)」
そんなアンナの考えも、呆気なく終わってしまった。
礫と泥の山にヒビが入り、1秒も経たないうちに、グレイが姿を現した。礫の破片と、なぜか氷の欠片が辺りに飛び散る。
アン「そんな・・・!ど、どうやって・・・?」
至近距離で攻撃を仕掛けようとするグレイに、アンナが最後の問い掛けをする。
その問いにグレイは、口角を上げて小さく微笑むと、
グ「割れないものは凍らせて、凍らせた部分に強烈な蹴りをお見舞いする。」
クロスさせた腕に、絶対零度の冷気を溜める。
グ「(そうだろ?氷上の舞姫?)」
クロスさせた腕を広げるのと同時に、両手に巨大な2本の氷の剣を構えた。
グ「氷魔剣ッ!!」
巨大な2本の氷の剣でアンナの腹部を斬りつけた。
アン「うああぁあぁああぁぁああああっ!」
斬られたアンナの腹部が凍りつき、ドサッと音を立てて床に倒れこんだのと同時にパキィン!と音を立てて氷も割れた。アンナは気を失い、戦闘不能。
チャ「銀河の旋律のアンナが倒れたーーーーーっ!勝ったのはグレイ!妖精の尻尾のグレイ・フルバスターだぁーーーーーっ!!」
観全「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
大歓声が沸き起こる。
ピッと音を立てて妖精の尻尾のポイント数に1ポイント追加される。
これでメンバーが5人残っているのは妖精の尻尾だけとなった。
後書き
第192話終了しました☆
最後は原作同様、氷魔剣で締めてみました。
さーてさて、初代の計算通りならば、次回はいったい誰と誰が激突するのでしょうか?
そこのところも含めて、楽しみに待ってて下さ~い☆
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