とある3人のデート・ア・ライブ
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第四章 炎
第10話 そして
夕方。
狂三「ふう……まだまだ足りませんわね……」
彼女はビルにの屋上にいた。
このビルの中にいる人間全てが意識を失っていた。
『時喰みの城』
狂三の影を踏んでいる人間から時間を吸い上げる力。
先日の戦いで、予想以上に時間を消費した狂三はその補充に来ていたのだ。
一方「だからって、何でこんな堂々とやるンだ?」
一方通行も一緒だった。
狂三「仕方ありませんわ。あの赤い精霊さんのその後も知りたかったですし……」
一方通行の方をゆっくりと振り向きながら言った。
一方「あいつは無事封印に成功した……とだけ言っておくぜ……」
狂三「ふふ……やはりあなたは面白いですわね」
狂三が戦いの時の怖い笑みとはまた違った笑みで言ってきた。
一方「あァ?」
狂三「そう睨まないでくださいまし。……それより、本当にいいんですの?」
一方「何がだ?」
狂三「私とあなたの″約束″……いえ、″取り引き″と言った方が正解ですわね。どちらにしてもその内容のことですわよ」
一方「今の俺にとっては……それで十分だ」
一方通行は狂三から背を向けて、屋上から飛び立つ準備をしている。
狂三「やはりあなたと手を組んで正解でしたわね。ではまたどこかでお会いしましょう」
一方「フン……」
そして、
一方通行は屋上から飛び立ち、自宅へと帰って行った。
令音「……すまなかった」
士道「え……?」
琴里の様子を見に来た時に、急に令音が誤ってきたのだ。あまりにも突然のことに素っ頓狂な声を出してしまった。
士道「ど、どうしたんですか、急に」
令音「今日の件に関しては完全に私の判断ミスだ。そのせいで君たちを危険に晒させてしまった。すまない……」
士道「や、そんな……」
令音の言う判断ミスとは今日のデート自体をするべきではなかったこと。目覚めた時点でキスをさせた方が安全だからだ。
士道はこれに対して好感度のことを言ってきたので、令音がカーソルを操作し、モニターに好感度を示すグラフを表示させた。
その線は、一番上の枠を沿うように真っ直ぐに。
令音「好感度の数値は全く変化していなかったのさ。一度もね。最後に言ってたじゃないか。琴里はおにーちゃんが大好きなのさ」
と令音が言った瞬間、
琴里「う、うわぁぁぁぁッ!!」
背後から琴里に蹴られ、そのまま倒れる。
琴里「そんなの数値ミスよ!」
令音「そんなことはないぞ」
琴里「ラ・ピュセルの限定ミルクシュークリーム10個」
令音「すまないシン、きっと故障だ」
脅されているような気もするが突っ込まないでおこう。
琴里は本来は休むべきなのだが、記憶が新しい内に、作業に取り掛かるらしい。
琴里が出ようとした時、
琴里「ねえ、士道。私の霊力を封印する前に言ったこと……本当?」
士道「ん……あぁ。もちろん大好きだぞ、琴里。妹としてな」
琴里「そっちかぁぁぁぁいッ!」
そして再びドロップキック。
彼女は本当にさっきまで眠っていたのだろうか
士道が立ち上がり、振り返ると、琴里は既に扉の前まで足を進めている。
士道「琴里」
琴里「何よ!?」
士道「そのリボン、最高に似合ってるぞ!」
琴里「……ん。ありがと、おにーちゃん」
と言って、艦橋から出て行った。
令音「シン、ちょっといいかい?」
と令音に急に呼ばれたので、身体ごと振り向いた。
士道「何ですか?」
令音「実はあの時、琴里、十香、四糸乃以外にも霊力反応があったのだよ。何か心当たりはないかい?」
士道「霊力……反応……?」
士道は少し目を見開き、首を傾げた。
そもそも、士道が知っている精霊はその3人を除けば狂三だけだ。
士道「まさか……狂三が近くにいたとか?」
令音「その可能性も考えたのだがね……それは違っていたよ」
士道「……また故障ですか?」
令音「……だといいのだがね」
こうして、今日はお開きになった。
後書き
琴里編、あと一話だけ続きます。
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