転生とらぶる
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マクロスF
0725話
「取りあえずは何とかなったが……後はフォールドパックの性能頼りか」
フォールド空間の中周囲の様子を見回しながら思わず呟く。
まさに超空間と言った様子のフォールド空間の中だけに、周囲は宇宙空間とは違う様子を見せている。同時に、ホワイトスターがある次元の狭間ともまた違っている。
やはりフォールド空間と次元の狭間というのは根本的に違うんだろうな。
そんな風に思いつつ、後ろにいるシェリルへと振り向いて視線を向ける。
「普通ならこういう時にはハンカチでも出すべきなんだろうが……この状態だからな」
「……ふふっ、確かにそうね。心配掛けてごめん。もうあたしは大丈夫だから」
「……まさかグレイスが死ぬとはな。完全に予想外だった」
「ええ、小さい時からずっと一緒にやって来たのに……こんな所でお別れになるなんて」
力の無い様子で笑みを浮かべつつ答えるシェリルだが、俺が驚いているのはそんな理由ではない。俺の中では、半ばグレイスとテムジンが協力関係にあり、シェリルを巻き込んだ反乱を起こしたというのは確定事項になっていた。
そして、グレイス=アンノウンというのも同様に。
だが、そのグレイスはガリア4で疑似ブラックホールに巻き込まれて死んでしまったのだ。そうなると、俺の予想は完全に間違いだったことになる。
つまり、今まで散々グレイスに対して危険だと反応してきた念動力までもが見誤っていたことになる訳だ。
……これまで長年念動力と共に過ごして来たが、念動力が危険の察知をミスるなんてのは正直初めてだ。それだけに、今もどこかでグレイスが生きており何かを企んでいるような感じすらしている。
もっとも、そんな事はシェリルに言える筈も無いけどな。
「とにかく、あのバジュラの群れが向かっているのはフロンティア船団だ。幸い、向こうは戦艦型で速度が遅い」
実際、このフォールド空間の中で俺達より先に突入した筈のバジュラ艦は、既に随分と後ろに置き去りにしている。もっとも、俺が先行できているのは新型のフォールドパックのおかげなんだけどな。
後は、当然VF-25Sの機体性能のおかげというのもある。
考えて見れば当然なんだが、戦艦と戦闘機のどちらの方が速いかと言われれば、当然後者だ。後は、このアドバンテージを最大限に活かす事さえ出来ればいいんだが……
「シェリル、このままだと後それ程掛からないうちにフロンティア船団の近くにデフォールドする筈だ。そうなったら……」
「分かってるわ、すぐに降りればいいんでしょ。これ以上アクセルの足手纏いにはなりたくないから安心して。……その代わり、グレイスの仇をお願い」
「ああ。仇とか何とかは分からないが、それでもバジュラは出来るだけ撃破するよ」
俺の言葉に頷くシェリル。
そのまま数分の沈黙が続き、再び黙っていたシェリルが口を開く。
「でも、いい? 幾らバジュラを倒すって言ってもアクセルは無事に帰ってくるのよ。あたしの前からいなくなったりしたら、絶対に許さないんだから」
その口調は、つい数分前までの沈んだ口調では無い。いつものシェリルらしい、自信に満ちた口調だった。
勿論、この数分でグレイスに対する思いを振り切った訳では無いだろう。だが、今は沈んでいてもしょうがない。とにかく前向きでいるべきだと判断して、無理に装っているのが丸分かりだった。
「ああ、俺は不死身だからな。バジュラ相手に生き残るのはそう難しい話じゃないさ」
「ふふっ、そうね。不死身だったらいいわね」
俺の言葉に、小さく笑みを浮かべて答えるシェリル。元気が戻って来たと思えばいいんだろうけど。
この物理攻撃しかない世界では、俺が本当の意味で不死身……どころか、不老不死だってのはさすがに信じられなかったんだろうな。
いずれ……そう、いずれ恐らく俺の身体の事をシェリルに話すような事にはなるかもしれない。漠然とだが、そんな予感がする。
もっとも、これはいつもの念動力ではなく純粋に俺の勘によるものだ。何しろ、このマクロス世界に来てからの念動力はグレイスの件で大きな間違いを起こしたしな。
まさか、色々な意味で怪しいと思っていたグレイスがガリア4で沈むとは、な。
だが、そうなるとフロンティア政府のキノコに感じているものも間違っているのか? ああ見えて、実は大統領に忠実で真にフロンティア船団の安寧を祈っているとか。
キャサリンがキノコと婚約しているって話だし……念動力について不安が出来てしまった以上、一度話を聞いておいた方がいいのかもしれない。
もっとも、何をやるにしてもまずは今回のバジュラの襲撃をどうにかしてからだが。
「そう言えば、そろそろランカちゃんのファーストコンサートの時間ね」
俺と同じ事を考えていた訳では無いのだろうが、後ろの座席に座っていたシェリルがそう呟く。
「だろうな」
「……ねえ、大丈夫だと思う? バジュラとランカちゃんの関係」
心配そうに口にするシェリルには、恐らく研究所で見たフォトフレームの件が過ぎっているのだろう。本物のランカの両親とランカの3人が映し出されていた映像の件が。
今まで俺が考えていたバジュラの狙いがアルトだというのは、もしかして間違っていたのかもしれない。バジュラと関係が深いのがアルトではなくランカだとしたら……そして、今日はランカのファーストライブ。それがバジュラの襲撃と重なっている? これを偶然の一致と考えてもいいのか?
そんな風に思っているのはシェリルも同様だったのだろう。やがてコックピット内は沈黙に満ち……その時がやってくる。
「デフォールドするぞ。シェリル、何があっても大丈夫なようにしっかり掴まっておけ!」
「ええ!」
シェリルが頷いたその瞬間、VF-25Sはフォールド空間を抜けてデフォールドする。そう、フロンティア船団からそれ程離れていない位置、それも進行方向に。
「マクロス・クォーター、聞こえているか。こちらスカル4、アクセル・アルマー少尉だ。聞こえていたら至急応答を頼む」
周囲を確認しつつも、フロンティア船団の一番先頭にいるマクロス・クォーターへと通信を送る。
PMCであるS.M.Sがこの位置にいるのは不幸中の幸いだったな。
『こちらデルタ1。スカル4、アクセル少尉ですか?』
数秒のタイムラグの後、戻って来る通信。この声は確かラム・ホアだったか。
『アクセル少尉、何故ここに? 確かガリア4での反乱に巻き込まれたと』
「ああ、だが話は後だ。すぐに新統合軍に迎撃の準備をするように伝えてくれ。S.M.Sも同様だ。バジュラ艦が来るぞ。それもとんでもない量が」
『アクセル少尉、それは事実かね?』
ラムに代わり、ジェフリーが通信に出る。人を介していては間に合わないと思ったのだろう。この辺、長年軍人をやってきただけの事はあるな。
「そうだ。ガリア4にバジュラが潜んでいた。で、そのバジュラがフォールドでこっちに向かっている。俺は幸いフォールドパックがあったおかげで奴等よりも先回り出来たが、すぐに追ってくるぞ」
『……了解した。すぐにフロンティア政府と新統合軍に連絡をする。S.M.Sも全機出撃用意。アクセル少尉、君もフォールドパックでは戦闘がしにくいだろう。いつものトルネードパックを用意しておくから、すぐクォーターに着艦したまえ』
「了解した。それと、俺の機体にはシェリル・ノームが同乗している。取りあえずクォーターに避難させたいんだが?」
『勿論構わない。すぐに手配をしよう』
「それともう1つ。こっちを先に言うべきだったな。今回の敵は、バジュラ艦が大量に存在している。更に女王級ともいえるようなバジュラが乗っている超大型のバジュラ艦もいる。まともな武装ではちょっと勝ち目が無いだろう。反応弾の使用を上に申し入れて欲しい」
『……』
さすがにそれは即答出来なかったのだろう。これまでとは違って沈黙が帰ってくる。
だが、バジュラにガリア4を破壊するような疑似ブラックホールを作り出すという攻撃手段があると判明した以上、先制攻撃で反応弾を撃ち込むというのがベストだ。
機首をマクロス・クォーターへと向けて移動しながら、ジェフリーへと通信を送る。
「重ねて告げる。ガリア4はバジュラが生み出したと思われる疑似ブラックホールによって消滅した。残っていたとしても、それはかつてガリア4と呼ばれていた残骸だけだろう。故に、そのような手段がフロンティア船団に使われる前に先制攻撃をするべきだ。もしあの疑似ブラックホールをフロンティア船団に使われたりしたら、文字通りの意味で皆殺しになるぞ」
『……ガリア4が、消滅? アクセル少尉、それは本当の事ですか? 何か証拠は?』
ジェフリーとの会話に割り込んできたのは、オズマの元恋人でもあるキャサリン。いや、ミハエルの言葉によると焼けぼっくいに火がついたとか、つきそうだとかいってたから、元か現かは不明だが。
とにかく、反応弾を使うには地球にいる新統合軍の許可がいる以上、大統領の娘であるキャサリンが口を出すというのは悪い選択じゃない筈だ。
そう判断し、機体に残っていたガリア4消滅の映像データをマクロス・クォーターへと向けて送る。
「ガリア4消滅の映像データを送った。それを見て判断してくれ。そろそろ着艦するから、トルネードパックに換装する用意を頼む」
『これは……了解した。すぐに反応弾の使用を提案しよう。……アクセル少尉、よく無事に戻ってきたな』
「何、これでもシェリルの護衛だしな。もっとも、幾らかの目標は達成出来なかったが」
特にゲートを設置出来なかったというのは非常に痛い。惑星のほぼ全てを疑似ブラックホールに食われたガリア4にゲートを設置するというのは不可能だしな。
そんな事を考えている間に、俺の機体は無事マクロス・クォーターへと着艦して格納庫へと入っていく。
そのまま機体を固定し、早速とばかりにトルネードパックへと換装しているのを見ながら、コックピットからシェリルと共に出る。その瞬間……
『アクセル!』
周囲で待機していたVF-25のコックピットから降りてきたオズマ、ミハエル、ルカ、アルトの4人が近付いてきた。
「おいおいおいおい、無事だったのかよ。正直、反乱のニュースを見た時にはもう駄目かと思ったぞ」
茶化すように言いつつも、それでもどこか嬉しそうな様子のミハエル。
「アクセル君、無事だって信じてましたよ。良かったぁ……」
怪我一つ無いアクセルの様子に、安堵の息を吐くルカ。
「ふんっ、まぁ、無事で良かったよ。俺が勝つまでは消えて貰っちゃ困るしな」
照れくさそうに横を向きながら告げるアルト。
「良く無事で戻って来たな。お前なら大丈夫だとは思っていたが、さすがアクセルだ」
真面目な表情で頷くオズマと、四者四様に俺の無事帰還に喜びの声を上げる。クラン達ピクシー小隊の姿が無いのは、ここがスカル小隊の待機場所であり、恐らくピクシー小隊は少し離れた場所で待機している為だろう。
そんな4人に、小さく肩を竦めながら口を開く。
「色々と危ないところだったけどな。ルカの用意してくれたフォールドパックのおかげでどうにかなったよ。……安心しろ、L.A.Iが欲しがりそうなフォールドパックについてのデータは大量にあるから」
「そうですか、良かった。……これであっちの方にもデータの流用が……」
何やら呟くルカ。早速とばかりに自分の考えに沈み込んでいる。
この辺はやっぱりL.A.Iの技術開発部特別顧問といったところか。
「ほら、お前等とにかく落ち着け。それよりもアクセル、バジュラの襲撃があるって話だが、本当なのか?」
「ああ、間違い無い。何しろ、バジュラのフォールドに紛れるようにしてここに来た訳だしな。コンピュータの計算でもしっかりとデフォールド先はこの近辺になっていた」
「……そうか、お前がそこまで言うのなら冗談では済まされないんだろうな」
溜息を吐き、俺の機体へと視線を向けるオズマ。
既に整備員やL.A.Iの技術者によってフォールドパックは取り外されており、お馴染みのトルネードパックを装着済みである。
……さすがに動きが早いな。まぁ、L.A.I側としてはフォールドパックのデータ収集が主な目的なんだろうが。
そう思ったその時、クォーター艦内にアラームが鳴り響く。
『前方にデフォールド反応。アクセル少尉からの情報通り、バジュラと思われます。全機出撃準備をお願いします』
同時に、ラムからの放送にスカル小隊や整備員、L.A.Iの技術者達の足が慌ただしくなる。
それを見ながら、トルネードパック装備となった俺の機体へと向かうと、先程から一言も発していなかったシェリルの姿が。
「……アクセル、ガリア4からあたしを助けてくれてありがとう。それと、死なないでね」
その言葉と共に、頬に触れる柔らかな唇の感触。
それを見ていた周囲の者達が唖然として俺へと視線を向けている。
……まぁ、無理も無い。頬とは言っても、、銀河の妖精のキスシーンなのだから。
「いい、絶対に死んじゃ駄目だからね!」
頬を赤くし、そう叫んで格納庫から走って行くシェリル。その後ろ姿を見送り、更には囃し立ててくるミハエルを始めとした奴等の声を聞きながらコックピットへと乗り込む。
尚、格納庫ではミハエルや整備員達がオズマに怒鳴られていた。ざまあみろ。後でクランに在る事無い事……いや、無い事無い事吹き込んでやる。
そう決意し、コックピットで機体の状態をチェックしていると、ふと何かが無重力に漂ってEX-ギアのバイザーへと当たる。
何気なくそれを手に取り……思わず息を呑む。
そう、それはグレイスがシェリルに渡していた薬。効き目の強さから俺が疑問を抱いた代物だった。
……いや、グレイスが死んだ以上はこの薬を調べても意味は無いか。
溜息を吐き、取りあえず空間倉庫の中に薬を収納し、出撃されるまでの時間を待つ。
それから数分、結局反応弾の使用許可が出ないままに俺は出撃するのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:735
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:656
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