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三人の魔女

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第三章

「それならば」
「この森はだな」
「はい、まさに迷路です」
 そうした場所だというのだ。
「木々が鬱蒼と茂り」
「竜に辿り着けることも」
「それすらも」
「普通では無理です、しかしです」
 老婆はここでガウェイン達にこう言った。
「私の持っているこれがあれば」
「!?それは」
「一体」
 二人は老婆が厚いローブの中から出したものを見た。それは手の平に入る位の大きさの水晶玉だった。
 二人にその水晶玉を見せてだ、老婆は言った。
「この水晶玉は道を教えてくれます、進むべき木と木の間を照らしてくれます」
「だからか」
「その水晶玉を持てば」
「そうです、通れます」
 こう二人に話すのだった。
「この森の中も。ですが」
「それでもだな」
「はい、この水晶玉は魔力を持っていまして」
 それでだというのだ。
「使うには代償が必要です」
「ではその代償は何だ」
 ガウェインがその代償についてだ、老婆に問うた。
「どういったものだ」
「はい、貴方はどうやらかなりの力を持っていますね」
 老婆はガウェインのことは知らない様である。しかし彼のその顔を見て力のことを見抜いた。そのうえで言うのだった。
「ある時になれば力が強くなりますね」
「そのことを知っているのか」
「その時になれば如何なる竜も倒せるまでに」
「ではその力がか」
「はい、この水晶玉を使えば」
 そうすればというのだ。
「森の中を進むことが出来ます」
「しかし力は失うか」
「その水晶玉を使う間は」 
 どうしてもだ、そうなってしまうというのだ。
「そうなります」
「そうか、しかし森は進めるのだな」
「その通りです」
 老婆はガウェインの問いにはっきりと答えた。
「そうなります」
「わかった、森を進めなくては話にならない」
 ガウェインは老婆にすぐに答えた、そしてだった。
 水晶玉を手に入れたうえで老婆と別れた、水晶玉は確かに進むべき木と木の間、鬱蒼としたその中を進めた。だが。
 エレインはそのガウェインにだ、怪訝な顔で言った。
「あの、それを手に入れたのはいいですが」
「それでもだな」
「はい、力を失いました」
 ある時になればその力が増す、ガウェインだけが持っているその力がだ。
「竜を凌ぐ切り札になったかも知れないですが」
「そうだな、しかしだ」
「森を進まなくてはですか」
「そうだ、どうにもならないからな」
 それでだというのだ。
「あえて譲り受けたのだ」
「だからあえて」
「受けたのだ、ではいいな」
「はい、前に進みましょう」
 エレインはガウェインのその決断、己の切り札を犠牲にしてもというそれに内心感嘆しながらも受けた。そしてだった。
 二人は馬に乗りながら森の中を進んでいった、すると。
 また洞窟を見つけた、その時にはまた日が暮れようとしていた。その中を進んでいたのでエレインがガウェインに言った。
「あの、今日も」
「都合がいいな」
「はい、あの中で休みましょう」
「昨日と同じ様にな」
 昨日はあのまま老婆に洞窟の中に泊めてもらったのだ、そうしたのである。 
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