『自分:第1章』

良いお客さんに出会えたのは初日やから？

後は､意地汚い､あさましい客が８割。
別料金払うから本番って。
それ援助やし。
オプション料金貰ってないのに無理強いする客。
入浴拒否する客。
真性包茎やのにゴム装着拒否する客。
部屋入ったら複数居たり。
売上金と財布の金も盗む客。

何回か警察沙汰にもなった。
オッチャンが助けに来たことも。
オッチャンは毎日来てくれてた。

客層が悪くなったのは女の子の質も悪くなってるからって言う。
本番目的､援助目的の女も多い。
ｾｸｷｬﾊﾞの時と似てる。


取り立てが来る度に稼ぎ全額渡してる。
ﾌｪﾘｰ代と御飯代が無くなる。
渡すお金は封筒に。
隠し持っとくのはブラの中に。
取り立ては気まぐれ。
でも､払う代わりに､身内には関わるな､手を出すなって約束した。
もう少しで払い終わる。


今迄散々汚い世界は見てきたつもりやったけど､風俗もカナリ汚い。
嫌んなる。
逃げたい。
もっと堕ちたい。
逝きたい。
消えたい。
また悪い癖が出た。
ズシャッ!と切る。
落ち着く。
病気や。
キショイ。
異常や。
...せや､元から異常やん自分。
何言うてんの今更。
ごっつ笑える。
『普通』にはなれん。


帰ったら母親面した奴に会うし､憎しみも半端なく募る一方。
情緒不安定に拍車。

酔う度に『あんたは産むつもり無かったんやで～』って愚痴る。

マジうっとい。
殴りたい。
逝かしたい。
事故に見せかける？
風呂で溺れさす？
精神が腐ってた。
心は泥まみれの汚物。


挿入したいが為に必死な獣にも吐き気する。
でも､そんな存在に触れることでしか稼げれん。
無力で哀れで汚物の自分が情けない。
逝きたくて耐えれん。
救いは無い。


ごく僅かな大事な存在からも記憶ごと全部自分を消して欲しい。
『愛』か『情』か知らんけど､其れを感じる度に苦しい。

この頃､人格障害再発。
歪み狂ってた。
記憶はある。

生きるのが苦痛。
辛い。
難しい。


街で見かける若い子達は無防備に笑ってる。
綺麗で可愛い。
汚れてなんか無い。
幸せそうに見える。
楽しそうに見える。

疎み､羨み､憎み､悔しくなる。
自分だけが歪んだ世界にいるようで...
なんで？なんで？って...
『普通』に生きたかった。
『普通』に産まれて『普通』の家庭で育って『普通』の感覚で...って...


愛される為に産まれてきた？
そんな戯れ言を本気で言う奴は殺したくなる。


じゃあ愛されんかった子は？
何の為に産まれた？
何の為に生きる？
生きる意味無いやん。
存在価値無いやん。

愛なんか幻想。
愛なんか夢。
愛なんか...。
愛が欲しい...
愛を知りたい...

でも､もう､手遅れ。
愛を受けるには遅過ぎる。
愛は産まれた時に貰うモノ。

後付けの愛は無価値。



複数の自分が居る。
頭の中､鏡の向こう､葛藤して闘って混乱する。
狂いだす。
自分の中の自分が自分を殺してく。
全ての人格が凶暴化する。
抑えが効かん。
記憶も無くなり闇に堕ちる。


いつかの昔に犯した罪は他のどの人格でも無く自分自身。

怖い。
自分が。

生きるのが。