万華鏡
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最終話 芝生の上でその九
そうして青空を見上げつつだ、その空と白い雲も見た。そのうえで。
琴乃は四人にだ、こう言ったのだった。
「この一年本当に色々あったね」
「そうよね」
里香がその琴乃に答える。
「入学式から今までね」
「まだもうちょっとあるけれどね」
一年生の時間は、というのだ。
「それでもね」
「殆ど終わりね」
「ええ、あともう少ししたら」
琴乃は空を見上げ微笑みながら述べた。
「私達も二年生ね」
「そうよね、あとちょっとでね」
「そうなるわね、二年生よ」
「どうなるかって思ったけれど」
「一年楽しく過ごせてね」
そしてだというのだ。
「二年生ね」
「そうよね、二年生になってもね」
「楽しくやっていこうな」
美優も話に入って来た、やはり青空を見上げながら。
「二年生になっても」
「うん、絶対にね」
「これからどうなるか不安もあるけれどさ」
美優は微笑みながら不安についても言った。
「それでもな」
「皆いるから」
景子が言って来た、ここで。
「楽しくやれるわよ」
「だよな、あたし達五人がいて」
「部活の二年生の人達がいれくれて」
「部長さんとかな」
「一年の皆もクラスメイトもいてね」
「家族もね」
彩夏は家族のことも話に出した。
「皆いるから」
「だからね」
それで、というのだ。
「これまで通りね」
「楽しくやれるか」
「ええ、絶対にね」
こう言うのだった。
「この一年通りね」
「私よかったわ」
琴乃は笑顔のまま言う。
「皆と出会えてそれで軽音楽部に入って」
「ええ、そうよね」
「私もそう思うわ」
「あたしもだよ」
「私もよ」
四人も琴乃に応えて言う。
「本当にね」
「よかったわ」
「そうよね、あと二年ね」
琴乃は高校時代の話もした。
「皆でたっぷり楽しもうね」
「これからも」
「皆でね」
「それで高校生活が終わっても」
それからもだった。
「皆で楽しくね」
「やっていこうね」
「ずっとね」
それからの話もしたのだった、そうして。
五人で芝生の上から青空を見た、青空は何処までも澄んでいた。
最終話 完
万華鏡 完
2014・6・15
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