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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第五幕その七

「動物園も松山じゃがあそこから出ることはないからのう」
「あの動物園が彼等のお家だからですね」
「別によいのじゃ。しかしのう」
「イギリスから来られたカワウソさん達はですね」
「この松山に家を置いてじゃ」
 そしてというのです。
「松山だけでなくあちこちで遊んだりするからのう」
「狸さん達ともお会いすることもありますね」
「そこが気になるのじゃ」
 どうにもというのです。
「イギリスからのカワウソ達とわし等は上手くやっていけるか」
「そのことがですね」
「わからぬのじゃ」
「お国が違うからですね」
「そうそう、実は種族が違うのも気になるが」
「そのことはですね」
「何度も言うがわし等はかつてはカワウソさん達とは付き合いがあった」
 ニホンカワウソが普通にあちこちで見られた頃はです、四国この愛媛の狸さん達もカワウソさん達とお付き合いがあったのです。
 だからです、長老さんも狸とカワウソの違いは気にはしていてもそれ程ではないのです。やっぱり気になることは。
「日本とイギリスじゃ」
「二つの国の違いですね」
「幸い先生もイギリスから来られた方じゃしな」
「この問題の解決が出来ると」
「そう思ってお聞きしておるのじゃよ」
 長老さんは真剣に考えているお顔です、そのうえでの言葉です。
「どうすればよいかとな」
「ですからまずはです」
「わし等の話を聞いてか」
「そしてカワウソさん達のお話も聞いて」
「それからじゃな」
「どうすべきか考えようと思っています」
「わし等も話し合いをすべきか」
 先生のお話を聞いてでした、そのうえで。
 長老さんは考えているお顔のままで先生にこうも言いました。
「カワウソさん達と」
「そのことは必要があれば」
「そうすればよいか」
「はい、まずはです」
「先生にお話を聞いてもらうか」
「狸さん達のお考えを」
「わかった、ではな」
 ここまで聞いてでした、長老さんは決めたお顔になってでした。
 そうしてです、先生にこう答えました。
「まずは今夜にでも」
「今夜ですか」
「うむ、道後温泉に来てくれるか」
「それで温泉で、ですね」
「湯に入りながら一緒に話をしようぞ」
 これが長老さんの提案でした。
「皆も集めて来る」
「狸さん達もですか」
「愛媛のな」
 松山だけでなく、というのです。
「今からすぐに集めるからのう」
では大勢で」
「うむ、話をしようぞ」
 その道後温泉でというのです、こうしてまずは今夜先生は狸さん達とお話することを決めたのでした。そうしてです。
 そのことを決めてです、長老さんは先生に言いました。
「それではな」
「はい、今夜ですね」
「道後温泉に来て欲しい、では今はじゃ」
 長老さんはお団子を食べてお茶を飲んでからです。 
 先生と加藤さんにです、微笑んでこうお話しました。
「ではこの店のお金はわしが払っておく」
「いえ、それは」
 加藤さんは長老さんの今の言葉に少し驚いて言いました。
「あまりにも」
「いやいや、先生さん達はお客さんじゃ」
「だからですか」
「加藤さんも彼等もじゃ」
 長老さんは微笑んで今も先生の周りにいる動物達を見ました、勿論彼等もお茶やお菓子をとても美味しそうに楽しんでいます。
「だからな」
「それで、ですか」
「うむ、お客さんに払わせる訳にはいかぬ」
 お店で飲んで食べたその代金をというのです。 
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