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『自分:第1章』

作者:零那
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『セクキャバ』

店長が来た。
『おっ、話したんか?美香は若いけど長いしプロや♪美香見て覚えて!あ、うちはセクキャバや!お触り有りのキャバ!解る?』

『なんとなく解りました。』

選んだ服見て店長が渋る。
『コレかぁ~...ん~...チョット、ブラ外してみて!俺が選ぶ!』

えっ!!

『触らんから安心して。恥ずかしいやろうけど、慣れてもらうしかないから...仕事やし割り切って!頑張って!』

屈辱。
でもやるしかない。
本番や無くて良かったやん。
ヌキが無くて良かったやん。
潔く...!!

店長が零那に合う服を選んでくれた。
スケスケばっかりだったけど、慣れるまでって特別に色の濃いスケて無いのを出してくれた。

『コレが優しさの限界。頑張ってねっ♪』

感謝。


接客の流れを教わった。
指入れもサービスのうちらしく、消毒シートの使い方、タイミングも教わった。


『店での名前、源氏名を決めて、コレに書いて名刺完成させといて。』

悩んでたら美香さんが来た。
『こんな女なりたい、こんな人間なりたいって、自分に無いモノを持った人を想像したら?
それを演じるの♪
自分じゃない誰かになれる時間が仕事してる間の時間。
私は楽しいよ♪』

自分に無いモノ多いわ。
解らん。
とにかく女らしさがない。
冷酷非道。
我が道を行く。
などなど...。
悪いとこならナンボでも出てくる。

自分の性能と反対の女。
殆どの女が反対ちゃうかな?
自分みたいなクソ女やか滅多に居らんのんちゃん。

開店の30分前。
女の子が数人出勤。
この時間に出勤なんや?
美香さんが早かっただけ?
さすがプロ♪
違うなぁやっぱり...

単純に優しい女には憧れる。

『優-ユウ-』に決めた。
名刺書き出したの気付いて美香さんが来る。
名刺見て美香さんは笑う。
しかも爆笑。
なんで―――?

『あんた単純ってかホンマはメッチャ素直な性格の子なんやろうねえ♪』
腹抱えてケラケラ笑う。

笑い終えたら真顔で言った。
『私は美しい香りのする女♪どぉ?綺麗な女も良かったけど麗って字使うと名前負けするしヤメた!』

『美麗とかイケそぉですよ♪』

『うまいこと言うてもエェことないで♪』

無邪気な笑顔がまた可愛い...

美人で気さくで超人気やろな。
ファンになった。
てか惚れた。

店長に名刺持って行ったら、他の女の子たちの所連れて行かれた。
美香さんは違う所。

此の女達、美香さんのこと好き勝手言ってる。
ケバい、乳無し、ヒール高い。

枕しよる、媚び売りよる、客がキショイ。
完全な妬み。
美香さんと直接話したことは無いらしい。
美香さんと話したの自分だけ...?

美香さんはケバくない。
下品でもない。
ただただ美しい。
貴女方ギャルメイクのが汚いよ。

乳のデカさもヒールの高さも関係ない。
足がスラーッと綺麗やから羨ましいん?
あの体型で巨乳のがキショイし。

メイクもヒールも拘りの無いギャル。
美香さんはプロ。
更に美しく魅せる為の拘りは有って当然。
零那も背が低いからヒールは必ず高いのしか履かん。
美香さんも背は高くない。
やから解る。

なんで女ってこんな醜いんやろ。
汚い生物やわ。


ユウには、MJ松山で辞めた時に連絡したけど、ゆっくり話す時間が無くてメールで報告してた。

MJ辞めたことには安心してたけど、セクキャバが妥当な職とも思えんくて辞めてくれって。

でも、零那は『生き抜く術やから』って返すしかなかった。
実際、頼れる場所は無い。
生活を助けてくれる人は居らん。

自分を支えるのは自分。
自分を食べさしてくれるのは自分。
今はホンマ自分しかない。
生きる為。
生き抜く術。
仕方ない。
女で良かった...
なんだかんだ言うても金は作れる。

 
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