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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第五十九話

 
前書き




今話、大部文章や展開が変になってるかも…←


皆様、広い心で読んでやって下さい(ガタガタ←

 

 



『──ハアァァァァァァァッ!』


「っ!ライトニング・シェルっ!」


──僕の目前で振り上げた大剣を勢いよく振り下ろす剣士姿の水精霊『ウンディーネ』。その振り下ろされた大剣からは数発の水の刃が弾き出され、僕は皆の前に立って『ライトニング・シェル』を展開させてそれを防ぐ。


「衛司っ!」


「くっ…流石は大精霊…魔神剣っ!」


水の刃をライトニング・シェルで防ぐ事は出来たが、『水』を司る大精霊というだけあり、刃を防いだ位置のシェルの膜に僅かにヒビが残されており、それに気付いたカノンノが声を上げる。
僕はそれに大丈夫、と答えるようにカノンノの方に一度頷くとウンディーネに向き直り、木刀を振って斬撃『魔神剣』を飛ばす。


『ヌゥ…ハアァァァァァァァっ!』


僕の飛ばした魔神剣に、ウンディーネは再び大剣を振り上げ、振り下ろしをして水の刃を飛ばし、相殺してきた。
…やっぱり簡単に通るわけないか…。


「衛司さん…一体どうすれば…」


「そうだね…それじゃ、シャーリィとカノンノは後方で援護を…メリアは僕と一緒に前衛で…いいかな?」


「うん…了解したよっ!」


「…んっ!」


魔神剣を打ち消し、大剣を構え直すウンディーネの姿に、シャーリィが武器である羽ペンを構えつつも不安そうな表情を聞いてき、僕が視線をウンディーネに向けたままそう指示を出す。
シャーリィとカノンノを後衛においたのは、シャーリィは攻撃魔法の殆どが水属性である為、ウンディーネとの相性が悪いのと、カノンノは今回の作戦の要であるため、出来る限り彼女の体力の消耗は避けたいからだ。


『フゥゥゥゥッ!』


「メリア…初めての精霊戦で主に戦えるのは僕達二人だけど、大丈夫…?」


「…んっ…衛司と一緒なら…大丈夫…っ!」


シャーリィとカノンノを下がらせ、前にでた僕とメリアに威嚇するように低く唸るウンディーネ。その様子を見て木刀を構えたままメリアに聞くと、メリアは短刀を逆手に構えてそう応えた。
やれやれ…そう言われたら…僕も頑張らないとねっ!


「それじゃ…いくよっ!」


「…んっ…!」


『ヌ…ウゥゥゥゥッ!』


僕の声にメリアはコクリと頷き、僕達はほぼ同時にウンディーネに向けて走り出す。ウンディーネは僕達が自分に向かってきたと認識し、構えていた大剣を勢いよく振り上げる。


「そうはさせないよ…魔神剣っ!」


『ヌゥ…ハァッ!』


ウンディーネの行動に僕は再び魔神剣を飛ばすと、ウンディーネはそれを見て再び相殺するために大剣を振り下ろして水の刃を飛ばした。
やっぱり相殺されるか…けどっ!


「メリアっ!」


「……苦無閃…《嵐》…っ!」


僕の声を合図に僕と一緒に走っていたメリアがその場を跳び、大剣を振り下ろしたままのウンディーネに向けて無数の苦無を一斉に投げる。
大剣を振り下ろした直後だ…流石に防ぎきれないはず…っ!


『フゥゥ…ハアァァァァァァァっ!』


「……え…っ!?」


「はぁ…っ!?」


防ぎきれないと思っていた直後、ウンディーネが雄叫びと共に振り下ろした大剣を再度振り上げた瞬間、振り上げた地面から水の壁が吹き上がり苦無を弾き飛ばした。そのまさか過ぎる行動に僕とメリアは思わず驚愕の声をあげてしまう。


『フゥゥゥ…アァァァァァっ!!』


「っ!まず……っ!」


僕達が驚いていた中、ウンディーネは大剣を振り上げたまま突如、僕の目前まで跳び僕に向けてその大剣を振り下ろしてきた。
僕は木刀で防ごうとした瞬間、そのウンディーネの勢いに木刀だけでは防ぎきれないと判断して瞬時に背中から星晶剣を引き抜き、木刀と交差させて大剣を防ぐ。


『ヌッ…ゥゥゥゥッ!』


「くぅっ…それでも…重…っ!」


振り下ろされた大剣をなんとか防ぐ事ができたが、ウンディーネは僕が防いだことで、防いでいる大剣に更に力を込めてくる。


「衛司さん!援護します…チアリングっ!」


「っと…!ナイスだよ、シャーリィっ!」


ウンディーネに後少しで力負けされかけた瞬間、後方からシャーリィの声が上がり、同時に少しだが身体の力が上昇する──攻撃力上昇魔法『チアリング』がかかった感覚がした。
僕はシャーリィにそう言うと、上昇した力を木刀と星晶剣に込めてウンディーネの大剣を弾き返した。


『ヌゥ…ッ!?』


「この隙に…霧沙雨っ!」


『グッ…ヌゥゥゥゥッ!?』


大剣を弾き返した事にウンディーネは驚愕の表情を見せ、僕は大剣を弾き返した事によってできたウンディーネの隙に木刀と星晶剣の二刀による連続突きを放つ。


「…続ける…鬼炎連脚…」


『グッ…ゥゥゥゥッ!』


僕の放つ霧沙雨を受け僅かに態勢が崩れていくウンディーネ。その勢いを続けるかのように、メリアが瞬時に僕に続けてウンディーネに跳び、炎を纏った連続蹴りをウンディーネに放つ。
霧沙雨を既に受けていたウンディーネはそれに対応する事が出来ず、炎の連続蹴りはウンディーネに直撃する。


「氷結の棺よ、我が敵を包みて凍りつかせ……二人とも、下がってっ!」


「了解っ!」


「…んっ…!」


『ググッ…ヌゥ!?』


度重なる攻撃に体勢の崩れるウンディーネ。それと同時に後方からシャーリィの時と同じようにカノンノの声があがる。僕とメリアはその声を合図に後方に下がると、ウンディーネの上空に巨大な氷の棺が姿を現し、ウンディーネはそれに驚愕の表情を出す。そして今…体勢の崩れているウンディーネにそれを防ぐ間は無かった。


「落ちて…インブレイスエンドっ!」


『ググッ…アァァァァァッ!?』


カノンノの声と共にウンディーネに向けて落ちる氷結の棺。ウンディーネはそれに為す術なく押し潰され…落ちた位置には強烈な冷気によって凍り付いた地面と、それが直撃し、地面同様凍り付いたウンディーネの姿が残った。

「…倒せた…んでしょうか…?」


「あくまで凍ってるだけだからね…。まだジルディアの浸食を止めないと…」


「(…!主、まだですっ!)」


凍り付いたウンディーネの姿にシャーリィがそう言葉を出し、僕はシャーリィの方を向いて言いかけるが、体内のヴォルトの声にウンディーネの方に向き直る。


『───ヌゥゥゥゥ…オォオォォォォォッ!』


突然、凍り付いているウンディーネから雄叫びが上がり出し、それが次第に大きくなった瞬間、ウンディーネの氷にヒビが入り…そしてより一層強い雄叫びと共に様々な色の輪を身体の周りに現したウンディーネが凍り付かせた氷を砕き、現れた。


「なっ…限界突破《オーバーリミッツ》かっ!」


『ヌゥゥゥゥ…アァァァァァッ!』


「…衛司…来る…っ!」


氷を砕いたウンディーネの様子にオーバーリミッツしたと分かり、直後ウンディーネは体勢を低く構えた後、オーバーリミッツで強化されたであろう脚力で此方にむけて一気に跳んでき、メリアの声で僕は直ぐ様ライトニング・シェルを張るために右手を前に出す。


「ライトニング・シェル…──『ヌアァァァァァッ!!』──なっ!?」


ライトニング・シェルを展開は間に合い、ウンディーネの振り下ろしてきた大剣は防いだ…筈であったが、ライトニング・シェルはその防いだ筈の一撃で簡単に砕かれ、そのまさか過ぎる威力に僕は思わず驚愕し、次の対応に遅れてしまった。


『ヌゥゥゥゥ…ォオォォオッ!』


「ぐぅっ!!」


「衛司っ!」


対応の遅れた僕に向けて雄叫びと共に放たれる強力な蹴り。オーバーリミッツで強化されている事もある為かその強力な蹴りは防御の遅れた僕を上空へと打ち上げた。
カノンノから僕を呼ぶ声が上がり、僕は上空でなんとか体勢を戻そうとしたが…その隙をウンディーネは逃がさなかった。


『ヌゥゥゥゥアァァァァァッ!』


「くっ…ライトニング・シェルゥッ!!」


大剣を地面に突き刺し、地面をすくい上げるようにウンディーネが大剣を奮うと、その地面から僕に向けて水で造られた小さな竜が五つほど放たれ、僕はそれに体勢を戻しながらライトニング・シェルを再度展開させて防ぐ。


「このくらいなら…まだ…っ!」


『ヌアァァァァァッ!!』


「っ!うぁあぁぁぁぁぁっ!!」


展開させたライトニング・シェルで五つの水竜を防ぎきったがその直後、ウンディーネが六つ目の水竜を作り上げ、それに乗って水竜と共に僕に向けて大剣を奮ってきた。
既に五つの水竜を防いだ事で薄くなったライトニング・シェルの膜は六つ目の水竜の突撃で破れ、防御の膜のなくなった僕にウンディーネの大剣が完全に直撃した。
自分が『斬られた』という感触と激痛に僕は思わず悲鳴をあげて地面へと叩きつけられる──


「…衛司ぃいぃぃぃっ!」


「ぁぐっ…メリ、ア……っ」


──直前、メリアが叩きつけられる筈だった僕の身体を受け止めてくれた。
メリアは僕の斬られた位置を見るとカノンノとシャーリィの方へと一瞬で跳んだ。


「…カノンノ、シャーリィ…衛司を…っ!」


「っ…は、はい…直ぐに回復を…メリアさんは…」


「……私は…アイツを…っ!」


「──待って、メリア」


受けたダメージのせいか上手く見えないが…僕の傷を見てシャーリィが慌てて僕に回復術をかけだし、メリアは再びウンディーネに向かおうとした時…カノンノがメリアを止めた。


「メリア…私が行くよ」


「…でも…カノンノは…っ!」


カノンノの出した一言にメリアは言いかけるが、カノンノの表情を見てメリアは言葉を止めた。
今の僕にはよく見えないが…ただ分かったのは…あのカノンノが明らかに『怒っていた』。


「ぅっ…カノン…ノ…っ」


「大丈夫だよ衛司。私…絶対成功させるから」


僕の方を見てカノンノはニッコリと笑いそう告げると、彼女は自分の周りに様々な色の輪…ウンディーネ同様『オーバーリミッツ』を発動させた。


『ヌゥゥゥゥ…ッ!』


「ウンディーネ…アナタのせいじゃないって分かってるけど…今は…本気で行くよっ!」


既にオーバーリミッツの効力が切れたウンディーネはカノンノの姿を見て警戒を高め、カノンノはそれに対して静かにそう言うと、ウンディーネに向けて上昇した脚力で接近した。


『ハアァァァァァァァッ!』


「やあぁぁぁぁぁぁぁっ!」


接近するカノンノに水の刃を飛ばすウンディーネ。だがカノンノはその水の刃に怯むどころか手にする大剣の一振りで水の刃の一つを弾き飛ばし、そのまま一気にウンディーネの懐に飛び込んだ。


「獅子…戦吼っ!」


『グゥッ!?』


跳び膝蹴りの形でカノンノの膝から放たれる獅子の闘気。それを懐に受けウンディーネは吹き飛ぶが…カノンノは止まらない。


「更に…フラッシュティアっ!」


『ゥグッ…アァァァァァッ!』


オーバーリミッツによって詠唱をほぼ破棄して吹き飛んだウンディーネに続けて地面から光の陣を出現させ、ウンディーネを捕らえ衝撃を起こすカノンノ。
度重なる攻撃に声を上げるウンディーネ。そのウンディーネに向け、光の陣が消えた瞬間カノンノは再び一気にウンディーネの懐に飛び込み、右手を空へと向けて掲げる。


「これで終わりにするよ、ウンディーネ。永遠という瞬間の中に…響いて、私の…愛の鼓動っ!」


右手を掲げたままゆっくりと目を閉じて言葉を出していくカノンノ。その声に答えるかのようにカノンノの周りに光が集まりだし…彼女の髪飾りを表す紅葉のような魔力が彼女の周りを舞い踊る。
その独特な景色に、姿に…シャーリィの回復術によって戻りだした視覚で…彼女はソレにみとれてしまった。
そして…カノンノは閉じていた目を開け、声を上げた。


「これが私の…ラブ・ビートっ!!」


『グ…ゥゥッ…アァァァァァッ!!?』


カノンノの言葉によって彼女を中心にして巻き起こる強力な魔力の衝撃波の渦。それを自分の懐から受けたウンディーネはその衝撃波の渦へと巻き込まれ…悲鳴のような雄叫びと共に地面へと叩き付けられた。
度重なる攻撃と最後の衝撃波の渦により、地面に叩き付けられたウンディーネは再び立ち上がりことはなく…戦闘不能となり…そしてそれを合図にするかのように、カノンノの両手が光り出し…『ディセンダーの力』が発動された。


辺りが光に包まれていく中…僕は場違いながらも静かに思った。


…なるべくカノンノは怒らせないようにしよう、と。



─────────────────────




──視界全てを包んでいたディセンダーの力の輝きが徐々に収まっていき、視界が戻ると目に映ったものは…目前にそそり立つキバ以外、先程までジルディアの世界に浸食されていた大地と、倒れていた二人…そして倒れているウンディーネが元の状態に戻っている姿であった。


「凄い…元に…皆元に戻ってるっ!」


「やった…成功したんだ…っ!」


周りの景色を見回し、元に戻っている事に声を上げるシャーリィと、その言葉で改めて自分が成功させたことを認識して声を出すカノンノ。
良かった…本当に成功したんだ…。


「……衛司…この二人…」


「この二人って…!この人達は…っ!」


不意に、メリアが倒れていた二人を確認していると僕を呼び、僕はメリアとその二人を見ると思わず声を上げてしまった。
その独特的な揃いの服装と、嫌に頭に残っていた二人の顔。見間違うこと等ない…この二人は以前…僕達が闘ったラザリスの力を受けた『暁の従者』の二人組だっ!
見たところ二人とも生きてはいるみたいだけど…先程までジルディアの世界の影響を受けていた為か酷く衰弱していた。


「……どうする…?」


「勿論…二人とも助けるよ。放ってなんていけないからね…っと」

「(主…よければウンディーネの方も…連れて行って構わないでしょうか?)」


二人の容態を見てメリアは静かに聞いてくると僕はメリアにそう答え、片方の暁の従者の人を背負った。
メリアは僕のそれを見てしばらくもう片方の暁の従者を見ると、僕と同じように背中に背負い始め、それに合わせるように僕の中のヴォルトがそう聞いてきた。

見ると、ウンディーネは確かに元の姿に戻ってはいるが、従者の二人同様ジルディアの浸食を受け、尚且つ先程までの戦闘もあってかいまだに目を覚まさず倒れたままで居た。


「…流石に倒れたままでおいていくのもアレだし…いくら治したとは言えまた浸食の影響を受けるかもしれないからね。うん…一旦彼女も連れて行こう」


「(ありがとうございます…。では、彼女は私が連れて行きましょう)」


「うん。…よし、それじゃあ皆、成功の報告もあるしバンエルティア号に戻ろう」


僕の返答を聞いてヴォルトはそう言うと、僕の身体から現れウンディーネを抱え上げた。
僕はヴォルトのその様子を確認すると皆に向けてそう言い、皆はそれに頷いて出口に向けて歩き出した。

『ディセンダーの力』の転写。それが成功し、僕達はジルディアへの、ラザリスへの対策手段の一つが出来たのだった。


ただ…その時…僕は気づいていなかった。



僕の腰に納めた『世界樹の木刀』が僅かに…本当に僅かに……。



───『ピシリ』と音を立てた事に…。








 
 

 
後書き





──以上、第五十九話、如何だったでしょうか?

…うん、こんな内容でごめん←



【暴走ウンディーネ】
自分でもビックリするぐらい勝手に大剣振り回してくれた←
本当ならインブレイスエンドで終わる予定だったんだぜ?←

因みに今回は戦闘不能後浄化では気絶したままバンエルティア号搬送になりました。



【キレたカノンノ】
ビックリするぐら(ry←
大人しい女の子って、一度怒らせるとヤバいんだよっていう話←
後、彼女の秘奥義である『アンチェインド・ノート』ってこんな感じの描写でいいのかな…不安だわ。

因みに『愛の鼓動~…』は勝手に私が想像してつけてみた←


【木刀】
一応伏線。切り離されてるとはいえ、この木刀も一応『世界樹』から作られたものですからね…。
因みにこの『ピシリ』に衛司が気付かなかったのは本当に僅かすぎる程の音だからと認識していただければ良いかと…。
無理やりですみません;;


次回はウンディーネや従者との会話にならます。


よければ感想、ご意見等宜しくお願いします+

 
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