機神呼嵐デモンベイン
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第一部『I AM PROVIDENCE~魔を断つオバカ伝説の始まりだゾ~』
第2話「夜歩く時は、空から降ってくる女の子とそれを追っかけるキ○ガイに注意すべし」
前書き
どうもです、ちょいと早めに第二話。今回はメインヒロインが登場します。
勿論皆大好きなあのキ○ガイも登場ッ!
では、始まります!
(さて・・・どうするか・・・)
思案する。魔導書ってのは道端にホイホイ転がっているものじゃあない。かつて在籍していたミスカトニック大学に行けば、秘密図書館に山のようにある。・・・が、貸し出しは勿論禁止となっている。おまけに関係者以外閲覧禁止なのだ。
大学辞めて部外者となったオラには到底入れるものではない。
「アーミッティジの爺ちゃんに頼み込めば・・・良いと思うけど。正直どんな顔して会えばいいかわかんないゾ」
ならば、最後の手段として図書館に忍び込んで何冊か失敬・・・。をしようと考えたが、止めた。番犬に食い殺されたくないし。という事は、考えられるのは一つ。
「足で稼ぐしかないか・・・」
-何でも屋、聞き込み中・・・。
「・・・つ、疲れたゾ」
赤く燃える太陽が沈みかけた頃、オラはため息をつきながら裏路地を歩いていた。・・・成果?ああ、ねぇよンなもん。
「ま、そう簡単に見つかる訳ないよね」
オカルト系の奴なら見つかるが魔導書となるとさっぱりである。・・・まぁ、すぐに見つかるとは思ってないさ。ハハッ(泣)さて、日も暮れてきたので、さぁ帰ろうとしたその時だ。
「あれ?・・・こんなのあったかな?」
ふと、来る時には気づかなかった古書店を見かけた。
「こんなんあったっけ?・・・まぁいいや、ココを最後にするゾ」
そういって、オラは中に入って行ったのだった。
―店内
「ほうほう、これは見事なものですな」
中に入ってみると意外と広かった。そして、この本棚の量・・・下手をすればミスカトニック大学の図書館と互角・・・それ以上の多さだ。
「・・・おや?」
「ん?・・・!?」
声がしたので振り返る。その視線の先には眼鏡の女性が居た。オラの体に電流走る。その女の姿は・・・余りにも美しすぎたからだ。艶やかな黒い髪、美しく輝く赤い瞳。そして・・・極めつけは・・・。
(で・・・でかァァァァァァァァァァァァァァァい!説明不要ッッッ!!!!!)
その豊満すぎるバストである。・・・下手すりゃライカさんの上を行くそのデカイオパーイ・・・、彼女が着用している胸元が盛大に開いたスーツでかなり際立っている。・・・あ、アカン鼻血が・・・。
「お客さんかい?・・・って、鼻血出てるけどどうかしたの?」
「あ~、どうも。これは、ちょっとおねいさんが魅力的過ぎて・・・」
急いで鼻血を拭きながらオラは女性にそういう。
「ははっ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。・・・っと、自己紹介と行こうじゃないか。僕の名はナイア、この古書店の店長だよ。どうぞごひいきに」
「ナイアさんか、オラは野原神之介だゾ」
「ふぅん、野原神之介・・・か。さてと・・・どんな本をお探しかな?結構多いからね、良ければ僕も手伝うよ」
お互い自己紹介をしながら、ナイアさんはオラの名前を聞いて、愉快そうな怪訝そうな表情を浮かべながらもオラに言った。彼女の申し出は本当にありがたい。これほどの本があったら、マジで日を跨いでしまいそうな気がする。
「おおー、ナイアさんふともも。・・・でも、マジで多いッすね・・・」
「それを言うなら太っ腹じゃあないかな神之介君?・・・それにしても中々いい品揃えだろう?ちょっとばかし無節操に集めすぎたけど」
やんわりとツッコミを入れながらオラに言うナイアさん。・・・言われてみれば確かにそうかもしれない。
「オラが探してるのはちょっと特殊なモノなんだけど・・・」
「例えば、力のある魔導書とか?」
「うん。・・・って何で知ってんの!?」
驚きの視線をナイアさんに向ける。そんなオラを見て、ナイアさんはくすりと笑いながら、
「別に大したことじゃないさ。こんな商売をやってるからか何となく分かるんだ。お客の求める本がね」
「ほうほう、そんなもんなのかな?」
オラの言葉に、ナイアさんは頷きながら続ける。
「特に、魔導書なんて求めている人は特別でね。一目見ただけで分かるんだ。僕は思うんだけどね。魔導書を求める人っていうのは実のところ魔導書に引き寄せられているんじゃないかって。つまり、人が魔導書を選ぶのではなく、魔導書が自らの主人を選ぶってわけさ」
そういって、ナイアさんは近くの本棚から、一冊の本を取り出した。『断罪の書』・・・れっきとした魔導書だ。
「魔導書は魔術師に力を与え、魔術師はそれを行使し、奇蹟を起こす。・・・『ソロモンの大いなる鍵』、『大いなる教書(グラン・グリモア)』、『ドール賛歌』・・・この『断罪の書』だってそうさ。人間が逆立ちしたって遠く及ばない、叡智の結晶。奇跡の産物。・・・そんなとんでもない力を秘めている本なんだ。魂とかが入っていたって不思議じゃないだろう?」
「確かに・・・そうだゾ・・・」
オラも魔導書に触れたから分かる。その感覚を思い出せば大いに納得がいった。
魔導書に宿る念、どす黒い邪念・・・陰鬱な喜び。
・・・そして・・・。ああ、いかん。思い出すだけで気分が悪くなりそうだゾ。アレに耐えられなかったから大学を中退したのに・・・。
何故、今更・・・。
「どうかしたのかい?魔導書の邪気にやられたのかな?」
「あ、いや。ちょっと嫌なこと思い出しちゃっただけだから大丈夫だゾ。とにかく、そこまで分かるなら話が早い。オラに魔導書を譲ってくれないかな?」
ナイアさんの問いに、答えながらオラは魔導書を譲ってくれるよう頼んだ。・・・だが。
「申し訳ないんだけど、それは無理なんだ」
残念そうな顔で断られた。
「何で?お金なら大丈夫だゾ」
「そういう事じゃないんだ神之介君。残念なことにこの店には君が必要とする魔導書がないのさ」
節目がちにそういうナイアさん。
「でも、ナイアさんが持ってんの魔導書じゃん?」
「それはそうだけどこの魔導書は君には合わない。君にはもっと相応しいものがあるんだ」
・・・What?話が変な方向に行ってるんだけど。
「えーっと、オラ頼まれただけだゾ」
「いやいやいや、君はまだ気づいていないだけさ。君は将来、きっと必要とするはずさ。最高の力を持った魔導書を・・・そう、『神』をも召喚するような魔導書をね」
「ナイアさん?おーい、ナイアさーん?」
・・・聞いちゃいねぇ。めちゃくちゃヒートアップしてらっしゃる。
「最高位の魔導書の中には『神』をも召喚できる奴があるのさ。しかもその魔導書の所有者は『神』を自在に操れるんだよ。・・・まぁ、『神』と言っても神の模造品なんだけどね。とにかく、君が必要とするのはきっとそういう魔導書何だと思うよ」
スッキリした表情で、熱弁を終えオラの顔をマジマジと見ながら続ける。
「ああ、楽しみだ。楽しみだよ。神之介君、君が手に入れる魔導書は一体どんなのだろう・・・それはもしかしたらかの『死霊秘法』だったりするかもね・・・」
・・・一言、胸中で呟きたい。・・・訳が分からないよ。
Side Out
儚い街灯に照らされ幾つもの影が躍る。慌しく駆け抜ける幾つもの足音。
「追え!逃がすな!」
「あっちだ!」
時折聞こえる怒声、そして銃声。少女は疾駆する。それは獰猛な猫科動物を思わせる動きであった。風を裂くような速さで少女は走る。
「くっ・・・!」
少女は走りながら毒づく。なんて、なんて不便なこの体。まるで自由の利かない、小さくて弱いこの体・・・。纏わりつく夜の空気すら重い。まるで水の中を進んでいるようだ。
「力を失った今・・・妾を縛る制約の何と重い事か・・・」
情けない・・・。と自嘲気味に呟くと同時に銃声が再び聞こえた。当たらないように回避する。
「っ!?何処へ消えたッ!」
「あそこだ!」
覆面の男達は少女の行方を捜す。男の一人が少女を見かけたときにはすでに曲がり角へと消えている頃だった。
「ふふふ、馬鹿め。あそこは袋小路だ!追い詰めろ!」
ニヤリ。と笑みを浮かべながら(覆面で分かりづらいけど)男達は少女を追う。案の定行き止まりである。だが、少女は慌てずに・・・、
-タタタン!
重力を無視し、塀の壁を垂直に走り始めたのだ。何と言う重力無視。男達はあっけに取られるしかなかった。そして・・・、
-バッ!
跳躍。少女の姿が月に照らされる。なびく銀色の髪が輝いていた。
「ここまでくれば大丈夫だろう・・・!?」
宙に浮きながら少女は呟き・・・絶句した。予想外の事態が落下地点で起こっていたからだ。そこにはぼーっと歩く、赤と黄色のジャケットを羽織った青年が・・・。慌てる少女だったが、遅すぎた。・・・間に合わない。
「どけェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!避けるのだァ!!!!」
Side 神之介
古書店を後にしたオラは首をかしげながら道を歩いていた。
「何ていうか・・・狐に化かされた感じだゾ」
現実味を欠けた古書店での一幕。・・・記憶もあいまいで、まるで魔導書に脳みそを蕩かされた感じだ。だけど、ナイアさんの言葉は鮮明で脳裏に焼きついている。
「明日も来て説得を続けようかな?頑張れば手に入るかもしれないし」
そう呟きながら、自宅に帰ろうとした時だった。
「どけェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!避けるのだァ!!!!」
「ん?」
突然叫び声をが聞こえ、キョロキョロと辺りを見回すが誰もいない。一体何処から来てるんだ?
「さっさと避けろといっておる!このうつけがァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
「へ?むすかっ!!?」
上を仰いで気づく。・・・が遅すぎた。そのまま何かに押しつぶされる。
な・・・何だァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!?何が起こったァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!?
急な展開でパニック状態の頭を何とか正常に戻し、目を向けると・・・。
「痛ぅ・・・」
女の子だった。・・・親方ー!空から女の子がー!ってか?これ何てラ○ュタ?
そんな事を考えていると女の子と目が合う。翡翠色の神秘的な瞳。この世の者とは思えない、不可思議な印象がソレにはあった。・・・年齢は、12歳かそんぐらいかな。オラのストライクゾーンには程遠いゾ。腰まで伸ばした銀髪が可愛らしいが・・・。
少女が口を開く。
「汝ェ!何で避けなかった!うつけ!うつけ!うつけ!大うつけ!!!」
いきなり罵倒かよォォォォォォォォォォォォォォ!こいつめっちゃ口悪ッ!?
「いきなり人が降ってくる事態なんか想定できるかっ!さっさとそこ退きやがれ!!!」
何ていうか理解不能状態だが・・・、とりあえずコイツをどかさねーと・・・。その時、急ブレーキを踏んだ音が・・・。視線をそちらに向けると、一台のリムジンが止まっており、その中からぞろぞろと覆面の男たちが出てきた。全身黒ずくめのスーツに身を包み、妖しさ爆発の覆面・・・。
「ぶ、ブラックロッジ!!?何で!!!?」
「ち、汝の所為で追いつかれたではないかっ!!!」
「人の所為にしてんじゃねーよ!大体、お前がぶつかんなきゃこうはならなかっただろうが!!!」
そんなこんなしているうちに男達はマシンガンをこちらに構えてきている。・・・やばい、口論している場合じゃねぇ・・・。
「クソがァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!オラが何したってんだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!?」
半ばヤケクソになって、女の子を庇うように男達の前に立ちはだかる。・・・そして銃声。
残念、オラの人生はここで終わって・・・、
「・・・・・・・・・・・・・・・アレ?」
なかった。ゆっくりと目を開けるとオラ達と男達の間に淡く光り輝く障壁があった。銃弾はそれに阻まれている。それを出現させたのは・・・、オラの後ろにいる女の子。
こいつ・・・魔術師か!?
「吹き飛べ・・・下郎が!!!!」
「「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!?」」」
女の子が吐き捨て、翳した手を横に振る。たったそれだけの動作だったが、見えない何かが迅り、まるで巨大な手で薙ぎ払われたかのように、構成員たちは体をくの字に曲げながら吹き飛んだ。
これが・・・魔術師の力なのか!?凄いゾ!
オラがそう思っていると、女の子は表情を曇らせながら呟く。
「く・・・力を使いすぎたか・・・」
よく見ると顔色が悪く体中に冷や汗をかいていた。
「だ、大丈夫か!!!?」
「やはり術者なしでは・・・うっ・・・」
倒れそうになる女の子を支える。意外と軽い。
はてさて、どうするか・・・。
「助けてもらったから・・・置き去りになんか出来ないからなぁ・・・」
とりあえず、この子を病院に連れて行ったほうがいいだろうか・・・?そんな事を考えていると、変な音が聞こえる。・・・なんというか爆音と呼んだほうがいいのか、騒音と呼んだほうがいいのか?けたたましい音。その方を見てみると・・・、
「ヘーイ!そこの青年ッ!大人しくおとなしくその娘を渡すのであーるっ!」
・・・それを見たオラの思考停止、んでもって現状認識&思考の整理。
Q:それとは何ですか?
A:暴走族が乗るようなバイクに乗った白衣を着ていてエレキギターをかき鳴らす変な男。
オラの思考、更に大混乱。・・・こういった場合、無視したほうが一番なんだろうが・・・、突然の出来事に思考が鈍っていたオラは思わず問いかけてしまった。
「すんません、どちら様?」
「なななななななななな!なァァァァアァァァァァァァんとォ!!!?」
結構ショックだったらしく、信じられないと言った表情でギターをかき鳴らしながら叫んでいた。
「何とッ!!!我輩をッ!一億年に一度の天才科学者と言われたこのドクター・ウェストを知らないとッ!!?何たる無知!無知とは罪ッ!無知とは悲劇ッ!!!」
そういって、悲しそうに腕組みをしながら続ける。
「悲しみに彩られた君の人生は喩えるならばこの手のひらに舞い降りた白い淡雪・・・雪が全てを白く埋め尽くす・・・僕の悲しみも何もかも・・・ゴゴゴゴゴ・・・何?何が起こったの?雪崩れ!!?ギャー!」
・・・どう見ても、本物のキチ○イです。ありがとうございました。・・・マジでえらいのと関わっちまったよオラどないしよ。
「ともあれ青年よ。どうしても我輩の邪魔をすると言うのなら、死して我輩とブラックロッジの糧となるのがモアベターな選択と言えようッ!貴様達の死を乗り越えて、我輩は又一つ大人になった!さらば少年時代!一夏だけの淡い恋心!アイムロックロール!!!」
一通り叫ぶとそのキチ○イは何を考えているのか、バイクに載せられていたギターケースを肩に担ぎ・・・、
「レェーッツ、プレイッ!!!」
シャウトと共に開いたギターケースの穴からロケット弾が・・・。どういう原理なんだよそれ。
「何じゃそりゃァァァァァァァァァァァァァァァァアァァアァァ!!!!!」
こっちもシャウトしながら女の子を担ぎ逃げ出す。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
「どああああああああああああっ!!!?」
直後に爆発の衝撃と爆風に煽られ、オラの体が宙に舞った。とっさに女の子を庇い、地面を転がる。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!
その直後、キチ○イの周りの覆面男がマシンガンを掃射。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」
現状を言葉で表現するなら、阿鼻叫喚・地獄絵図だ。近くにいた通行人たちは悲鳴をあげながら逃げていく。オラも、必死で逃げ回る。
「追えっ!追うのであるっ!全ては我らがブラックロッジとそしてこのドクターウェストの偉業のためであーる!」
アレもブラックロッジの一員んんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!?裏社会の人材不足はそれほどまでに深刻化してやがんのかァァァァァァァァァ!!!?オラとしては職安に求人募集を出す事をオススメしたいゾ!マジで!!!
「ってか・・・オラが何をしたァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
半ばキレ気味でシャウトしながらオラは逃げて行ったのだった。
「こ、ここまでくれば大丈夫か・・・?」
息を切らせながら、追っ手の気配がないことを確認し、女の子を地面に下ろす。
どっかの路地裏っぽいが・・・随分遠くまで来たもんだ。かなりわき目もふらず走ったからなぁ。・・・しかし、何でこんな目に・・・?
「この子を追っかけてきた見たいだけど・・・」
そういって、オラは女の子を見る。冷や汗は相変わらずだが、顔色はだいぶ良くなっている。
「しっかし・・・この子魔術師かな・・・?もしそうなら本物に会うとは思っても見なかったゾ」
先ほどの女の子の行動を見て呟く。空から降ってきたり、障壁張ったり、人を吹っ飛ばしたり。あれは魔術の力だ。もし、魔術師ならばこの子の神秘的な雰囲気もブラックロッジに追われているのも納得がいく。
「んっ・・・」
お?起きたようだ。
「よお、気がついたか?」
「ここは・・・?」
ムクリと起き上がりながら女の子がオラに言う。
「さぁ?逃げるのに必死だったからわかんないゾ」
「・・・汝が妾を?」
「うん。・・・一応助けてもらったからな。置き去りにしたら後味が悪いし」
「そうか・・・礼を言う。・・・っ」
女の子の体がまた倒れそうになったので支えてやる。
「大丈夫か?さっきから体の調子が悪いみたいだけど」
「・・・術者なしで無茶をしたからな・・・、構成を維持できなくなっているようだ・・・」
そういって力なく笑い、それに・・・。と続ける。
「アイオーンまで失っては不様としか言いようがない」
はい、また訳の分からん単語が出てきたよー。コンチクショー。もう全力で置いてかれまくってます。
「ん~、まぁとりあえず病院に行った方がいいんじゃない?」
「大丈夫だ・・・心配をかけたな・・・む?」
ふと、女の子の目がオラの顔をじっと見る。透き通るような翡翠の瞳だ。
「あの~、オラの顔に何か?」
「汝・・・、暗い闇の匂いがする。・・・魔術師か?」
驚いた、魔術師ってのはそんな事も分かるのか?そんな驚愕はさておき、オラは返事をする。
「残念だけど、少し違うゾ。オラは昔魔術を齧っただけ。さっきの力見たけど魔術師なんだろ?アンタ」
「違う」
・・・え?どゆ事?
「違うって・・・ブラックロッジの連中にやったの、アレ魔術だろ?・・・って」
「魔術師でないと言う事は・・・『本』を持ってないと言う事か。・・・それは良い。この男、かなりの素質を秘めておる。なんとも僥倖だ、ここまで都合のいいと、何者かに踊らされているかもしれないが・・・まあ、構うまい」
「聞けや人の話ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!」
オラの話そっちのけでブツブツ呟いている女の子にツッコミのシャウト。・・・と、そこへ・・・、
♪~♪~♪~
どっからともなくエレキギターの音が響き渡る。
「ふははははははははははは!!!うまく隠れたつもりでもこの大ッ!天ッ!才ッ!!ことドクタァァァァァァァ!ウェェェェェェェストォォォォ!・・・の目を欺く事などインポッシブルなのであるっ!己の愚劣さと無力さ加減を絶妙な匙加減でミックスされた後悔に涙しつつ、神妙にお縄につけぃ!!!」
・・・また出たよ、このキチ○イ。確かにオラの人生の中でこれほどの後悔を味わった試しがねぇ・・・。
「汝の知り合いか?」
「流石にあんなのは知り合いじゃねー」
故郷の春日部には色々と知り合いとかが居るが、あそこまでぶっ飛んだヤツははじめてである。っと、そんな事思ってる場合じゃない。覆面の男達がオラたちの周りを取り囲んでいる。・・・いわゆる一つの大ピンチって奴だ。
「時に人間。汝、名を何と申す」
「おいィィィィイィィィィィィィイィィィィィ!!!何言っちゃってんのォォォォォォォォォォォォォ!!!?早くしないとオラ達蜂の巣だゾぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!さっきのように魔術でヘルプミー!プリーズヘルプミー!!」
空気読めねーのか!?このお嬢さんは!!!?
「いいから答えよ。人間、名は大切だ」
「馬鹿かテメェはァァァァァァァァァァァァァァァァァ!この状況分かって言ってんのかァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!ってか、名を名乗って何とかなんのかよ!?」
「なる!いいから早く答えよ!!!」
そうこうしている間にも死のカウントダウンは少しずつ近づいていっている。
「『書』さえ手に入れればいいのである!さぁ、やっておしまいっ!」
「「「あらほらさっさー!」」」
・・・こうなりゃ覚悟を決めるっきゃねー!ガチギレ気味に叫ぶ。
「オラは神之介!野原神之介だ!!魔術師でもなんでもない只の何でも屋だ!!!名乗ったんだから何とかしやがれ!!!!!」
「そうか、ならば野原神之介!妾は汝と契約する!!!」
契約?What?そう聞こうとしたオラの頭を自分の前に抱き寄せ・・・あれ?唇に儚くやわらかい感触が・・・。ってこれキスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!?お・・・オラのファーストキスが・・・(泣)
「んなっ!!?」
「な、何であるかあの光は!!!何が起きて・・・」
次の瞬間、光の洪水が辺り一帯を白く染め上げる。目も開けられないほどの閃光、白い闇。その中でオラは-
「野原神之介!我が名をしかと心に刻み込め!」
女の子の声を・・・
「我が名は『アル・アジフ』!」
聞いた。
「アブドゥル・アルハザードによって記された、世界最強の魔導書なり!!!」
-久遠に臥したるもの、死する事無く、怪異なる永劫の内には死すら終焉を迎えん-
「な、なんであるか彼奴の格好は!!?」
光が止むと同時に、キチ○イもといドクターウェストの指摘を受け自分の体を見る。・・・オラはぴったりとした黒いボディースーツに全身を包まれていた。そして、それにこれは何だろう・・・背中についてあるのはマントか?いや、羽か?よく見たら魔術文字が浮かび上がっているので魔導書のページだと思う。窓ガラスに自分の顔が映っていたので見てみると・・・。
髪は白銀のように真っ白なロングヘアーとなっていた。・・・ロングヘアーなら問題はないが・・・髪の色が問題だ・・・、爺さんのような真っ白な髪になっているのである。
「・・・何じゃこりゃアァァァァァアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
本日何回目になるだろうか?オラのシャウトが夜のアーカムシティに木霊するのであった・・・。
To Be Countenude・・・。
後書き
いかがだったでしょうか?
次回は、恐るべき破壊ロボと・・・我らが魔を断つ剣の登場となります。デモンベインの雄姿をご覧あれ!
それでは~(0w0)ノシ
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