東方大冒録
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フォートレス、インファイト、ファンネル、ジェット。(設定に修正あり)
前書き
前回の続きです。
ちなみに、夢想封印「妖」の「妖」は、'あやかし'と読ませます。
暗基の放った夢想封印が、ルーミアのマガイモノに襲い掛かる。しかし、マガイモノは、
「そんなもの、あたらないのだー」
すべてかわされてしまった。
夢想封印はもともとホーミング性能に優れたスペルである。全弾命中して耐えたのならわかるが、まさか全弾かわされるとは思ってもいなかった。
「なん、だと……!?」
「そんな優理亜様に負けた屑巫女のコピースペルなんてくらわないのだー」
「……、あ?」
屑巫女だと?
「ならこいつはどうだ!! 恋符『マスタースパーク ~白暗審判~』!!」
暗基の両腕から2本の極太レーザーが発射されるが、それも、
「だからぁ~」
「そんなのは」
「当たらないって」
「いってんじゃんバカじゃない?」
精一杯の罵倒をくらいながらかわされた。
「ふふ、屑巫女だけならまだしも、屑白黒の真似事もするなんてねぇ~」
「……、は?」
屑白黒だと?
「……、おいふざけんなよてめぇら」
「あれぇ? なんかこの人怒ったよ?」
「大ちゃんきっとあれだよ! あたいたちがサイキョーだから悔しくて怒ってんだよ!!」
「あぁ~なるほどねぇ~」
「ふふふ、じゃあこんなおバカはもう生かしておかなくてもいいよね!」
「うん、やっちゃってよミスティア!」
「はいよー」
なんかホントクソミソに物を言ってくるなぁこいつら。もう許さねぇこいつら。
「……、そうか、お前らそんなに死にたいんだな……?」
最後の確認として、バカルテット+αに確認をする。すると、
「私の、夜雀の力を受けてみよ!!!」
ミスティアが両手を前に突き出した。
「……、肯定と判断。殲滅を開始する」
暗基の中で、何か殺戮兵器が目覚めた。それと同時に、暗基の視界が突然真っ暗になった。
「!?」
しかし、それはすぐになくなった。しかし、ミスティアたちは、
「うまくいったよみんな。さてと、夜盲『真夜中のコーラスマスター』」
「ナイス! じゃ、くらえ! 蛍符『地上の流星』!!」
「行くぞー!! 凍符『パーフェクトフリーズ』!!」
「わたしもなのだー。闇符『ディマーケイション』!」
「わたしはスペカ無いから、これでもくらっちゃって!!」
ここぞとばかりに弾幕を打ちまくってきた。
「うおおおおおお!!!?」
暗基は、弾幕から霊力を感じ取り、何とかではあるがかわせている。そしてかわしているうちに考える余裕が出来たので、能力について少し考えてみる。
(いまミスティアのマガイモノはおれに能力を使ってきたとき、一度夜盲症になりかけたが、こうしておれは普通にあいつらの姿が見えている。しかしあいつらはおれに能力はしっかりと反映されているような反応をしている。ということはつまり……)
暗基が考えていること。それは、自分の能力「ありとあらゆるものを普通とみなす程度の能力」についてだ。ミスティアのマガイモノが夜雀の能力を発揮したとき、自分は夜盲症になりかけた。というかなった。しかし、すぐに解除され、はっきりとバカルテットたちが見えている。そこまではまぁべつに問題はない。しかし、そこからだ。ミスティアのマガイモノたちには、いまだに暗基に能力が聞いているというように見えているようだ。つまり、相手をだましていることになる。
「なるほど……。よくわかった。じゃ、こちらも反撃と行こうか」
すると暗基は先ほど作ったばかりのスペルカードを取り出した。
霊塞『ソウル・フォートレス』
これを唱えたと同時に、暗基は弾幕の嵐をかわすことをやめた。
「よーし、うまくいったねぇ!!」
ミスティアの声と同時に他の4人はうんうんうなづく。暗基がいた場所からは、あまりにも弾幕が激しかったからなのか、砂埃が巻き上がっている。
「やっぱりみんなサイキョーだ! 一番はあたいだけど!!」
「はいはい。わかったわかった」
などと話しているうち、砂埃が消えた。そして、5人から笑顔も消えた。
「あぁ~、いてぇじゃねぇかちくしょーが……」
暗基が、たっていたのだ。しかし、先ほどの姿とは少し違い、身体に青白くゴツイ鎧を装備していた。
「な、なんで!? あたいたちさいきょーのはずだよ!!?」
「あぁ、確かに最強だ。だがお前ら、少し足りないな」
「な、なにがだ!!」
「何がって? そりゃあ、そうだな……」
そういうと、暗基は両腕を前で組んだ。そして、
「ちゃんとした確認、とでも言っておこうか、ね!!」
そう叫び、続けて、
「ダメージ……、開放!!」
続けて叫んだ。すると、暗基が装備していた青白い鎧が突然光り始め、えげつない量の弾幕を展開し、5人に向かって飛んでいく。
「なっ!? カウンター!!?」
霊塞『ソウル・フォートレス』。それはまさに攻撃を防ぎつつ、反撃する要塞のごとく。自分が受けるダメージを1/50まで減らし、本来受けるはずのダメージ×10倍のパワーで弾幕を相手に打ち込むカウンタースペルである。ちなみに放たれた弾幕は、夢想封印「妖」よりも優れ、敵に当たるまで追尾し続ける。
「うわわわわ!!!?」
「みんな避けて!!」
「「「わかってるよ!!」」」
全員必死に回避を試みるようだが、このスペルの追尾性能をなめてもらっては困る。
「むぎゃー!!」
「うあぁー!!」
チルノ、大妖精、ミスティアは何とか回避できているようだが、ルーミア、リグルのマガイモノは、回避できずもろに被弾する。そのまま近くの木まで吹っ飛ばされ、そいつらはそのまま意識を失った。
「……、ふん」
まったく、口だけとはこのことか。そう思いつつ暗基はチルノのほうを向く。
「ぬぬぬぬ~!! もう許さ」
ない、とチルノが言おうとした瞬間、
チルノの目の前に、暗基が迫っていた。
手足に赤い霊力をまといながら。
「!!?」
「霊拳『ソウル・インファイト』!!」
スペルを唱え、暗基はチルノに思いっきりアッパーをブチかます。すると、まさに「バキィ!!」という効果音が正しいであろう。そんな音を出して、チルノの頭の一部が吹っ飛んだ。
「あ……、が……?」
一瞬何が起こったのかまるでわかっていないのか、チルノが固まった。そして、
「くたばれマガイモノ!!」
「!!!」
チルノに正拳突きを食らわせ、チルノは粉々になった。
「あ……、ち、チルノちゃん……?」
「……、だめだ! 逃げよう大ちゃん!! こいつには勝てない!!!」
ミスティアがさすがに危険だと思ったのか、大妖精の腕をつかんで空を飛んで逃げようとする。しかし、それはすでに遅かった。
「逃がさねぇよマガイモノ」
相手を威圧するかのような低い声を、あのスペルカードを取り出しながらだす。そして、スペルを放った。
霊爆『ソウル・ファンネル』
無数のファンネルが暗基の周りに浮かび上がる。その間もミスティアは少しでも遠くへ逃げようと飛び続けている。
「……、いけ、ファンネル。おれの仲間を侮辱した、あいつらを粉々にしろ!!!」
そう叫ぶと、ファンネルたちがミスティアたちのところへ超高速で飛んで行き、
「!!!!!」
「!!!!!」
ファンネルは、ミスティアと大妖精に叫ぶ暇を与えなかった。
「ふぅ、終わりっと」
戦いを終えた暗基は、また疲れたと、その場に座り込んだ。
「とりあえず今は怒りのままにあいつらボコボコにしたけど、次は冷静に戦わないとなぁ……」
とつぶやくと、
「零、初戦闘お疲れ様。なかなか怖いところあるのね」
紫が現れた。
「見てたのか?」
「えぇ。それはそれは楽しませてもらったわ」
「そりゃよかった。ところでなんか用事か?」
「えぇ、貴方の仕事、まだ終わっていないのよ」
そういうと紫はまた白い紙を渡してきた。今度の紙は、スペルカードのように小さなものではなく、見た感じA5サイズの紙だ。
「これに、マガイモノを封印してちょうだい」
「封印?」
「えぇ。ただ倒しても、倒した残骸はしばらくするとまた形を成して、復活する習性があるようなの。だから、この紙に封印してもらいたいの」
「あぁ……。で、どうやって使うんだ?」
「霊力を解放すれば、封印できるわ。貴方の能力に合わせた封印の札だから」
「わかった。やってみよう」
暗基は紙の霊力を開放した。すると、粉々にしたチルノ、そこらへんで気絶してたルーミアとリグル。そして先ほどファンネルで集中砲火した大妖精、ミスティアの残骸が、瞬く間に吸収されていく。
「……、うん。これでバッチリね」
紫が感心、感心、というように腕を組んでうんうんとうなずく。
「なぁ紫、こうして封印したのはいいが、本物はどうなるんだ?」
「あぁ、周りを見てみなさい?」
「?」
暗基は紫に言われるがままあたりを見渡す。そこにはルーミアが身に着けていたと思われる胸のリボン、チルノの大きなリボン、大妖精のリボン、リグルのマント、ミスティアの帽子が落ちていた。
「なんだ? というかミスティアの帽子と大妖精のリボンどっから出てきた!?」
「私が回収したのよ」
「お、おぉ……」
仕事の早いことで……。とか思っていると、突然道具たちが光りだした。
「うわっ!?」
そしてそこから、少しずつ、さっきまで見ていたやつらの形が出来ていく。
「こ、これはつまり、マガイモノが持っていたと?」
「えぇ。霊夢の祈祷棒と魔理沙の八卦炉は、ぎりぎりで確保できたんだけれどね」
そして、光り終わると同時に、やっぱりさっきまで見ていたやつらが現れた。
「うぅ……?」
「こ、ここは……?」
「なんか体が元に戻っているのだー」
「なんで? 私たち偽者に……?」
「あれ? 元に戻ってる……?」
それぞれこんな反応をする。それに対し紫が声をかける。
「みんな気分はどうかしら?」
「あっ! スキマ!! なんでこんなとこにいるの!?」
「いろいろとあってね。それより、この子が貴方たちを元に戻してくれたのよ。感謝しなさい?」
「んあ?」
紫がそういうと暗基を指差す。それをチルノはじめバカルテット+αが見る。
「うお! 人間だ!」
「男の子じゃん!!」
「おー、男の子だ!」
「うまそうなのだー」
バカルテットがまたそれぞれ暗基に興味を示している。そこから、大妖精が一歩前に出てきて、暗基に話しかける。
「あ、あの……、あなたが、私たちを元に戻してくれたのですか?」
「ま、まぁ、形はそうなるな……」
「そ、そうなんですか……。まぁ、形はどうであれ、ありがとうございました!! 私たち、もしかしてあのまま偽者に封印されたままになっていたかもしれないところを……!」
「いやいや、そんなすげぇことをやったわけじゃないさ。腹が立ったから偽者をぶったおした。それだけだよ」
「それでもです! 本当に、ありがとうございました!!!」
大妖精は頭を下げて礼を言う。チルノたちも大妖精の姿を見てなのかはわからないが、
「ま、まぁ、今回はサイキョーのあたいがやらかしちゃったとこを助けてくれて、あ、ありがとう……」
「ありがとうなのだー。私の恩人なら、食べるわけにはいかないのだー」
「ありがとう! 今度、私の歌を聞かせてあげるね! あと、屋台もやってるんだ! 今度食べに来てよ! サービスするから!」
「ちゃっかり自分と店の宣伝してるよこの人……。まぁ、ありがとう。本当に助かったよ。こんど、いろんな虫の事教えてあげるね」
など、自分なりのお礼なのだろう、を言ってきた。
「へへっ、まぁまた何かあったらおれを頼ってくれ」
「はい! あの、あなたのお名前は……?」
「おれは暗基零。暗基優理亜の弟さ。よろしく」
自分が優理亜の弟であると言うと、さらに大妖精やバカルテットは盛り上がった。
そしてしばらく談笑を楽しんでいた。
「「「「「またねー!!」」」」」
「おう! 気をつけろよー!!」
チルノたちがいなくなって、少し寂しくなった森の中。
「ふふ、貴方って小さい子が好きなのかしら?」
「あぁ、子供は好きだよ。将来の夢は保育士とか、学校の先生だからな」
「あら、そうなの? それじゃあ、いつかハクタクの教師のところでも話をするといいかもしれないわね。今はマガイモノになってしまっているけど」
おそらく紫が言っているのは上白沢慧音のことだろう。確かにあの人は寺子屋の教師をやっている設定だったはずだし、何かと面白い話しが聞けるかもしれない。
「そうだな。おれが元に戻してやらないとな……」
そう暗基がつぶやいた。
「さて、歩くの疲れたし、新しいスペルを」
「歩くのが疲れたから新しいスペルをって、どんなノリよそれ……」
「まぁ、いいじゃねぇか」
暗基はそういいながら白紙のスペルカードを取り出し、また何かを念じこむ。
「よし。霊翔『ソウル・ジェット』。早速発動だ!!」
暗基が今作ったスペルを早速唱える。すると、暗基の背中に、黄色い霊力の、バックパックのようなものが現れた。
「これで飛べるはず」
そして暗基は飛べ、と念じながら霊力を開放した。すると、暗基の望みどおり、空を飛ぶことが出来た。
「へぇ、そんなことも出来るのね、なかなかだわ」
「ありがとな。じゃ、ちょっと紅魔館まで飛ばすわ」
「ちょっとまって。今渡した封印のお札は大切に持っていてね。その一枚しかないから」
「おう、わかった!」
「それじゃ、いってらっしゃい」
「おう、そんじゃ、暗基零、出撃だ!」
そして暗基は高速で飛んでいった。
「がんばってね。零。私たちの希望さん」
誰もいなくなったその場所に、紫はひとつつぶやいた。
後書き
ということでバカルテットとのお話は終わりです。
一応、ものすごく簡単なスペル説明(ソウル系)。
フォートレスは簡単に言うとカウンター。
インファイトは文字通り接近戦に特化した身体強化スペル。
ジェットは空を飛ぶことが出来るスペル。場合によっては空を飛ぶだけではなく攻撃することも出来る。
ファンネルは、ガOOO見てる人ならわかるだろう、ビット兵器をイメージしたオールレンジスペル。
(暗基が念じれば、攻撃だけでなくガードや近接戦闘のための簡単な武器にすることも出来る)
↑この設定は使うかわかりませんが。
次回、美鈴戦にでもしましょうか。
(1/5更新・マガイモノの習性をしばらくすると復活するに修正。)
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