ソードアート・オンライン 咎人が背負う運命
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
罪に寄り添う少年
前書き
1人の少年が皆を殺した。
死んだプレイヤーの数は計り知れず最低でも死んだプレイヤー1000以上
生き残ったプレイヤーは死を司る剣士と恐怖され命を狙われる生活を送っている。
俺が殺した。
俺が原因で死んだ。
俺のスキルで皆が呪いを受けた。
呪いは全てのSAOプレイヤーに感染し全てのプレイヤーに力を与えた。
最初は呪いを受けた全SAOプレイヤーは希望と思い込み力を振るった。
だが、それが希望では無く呪いと気付く。
「タクト?
寝てるのか?」
コンコンとドアをノックする音、声からして隣に住んでいるキリトだろう。
「起きてるよ」
「そうかなら下で待ってるからな」
「はいはい」
短く返事を返し俺は着替える。
SAOの着替えはとても簡単だ。
仮装ウィンドウを開きアイテム欄から装備をタップすれば自動的に装備される。
俺は自分の愛用の装備をタップし装備をする。
そして準備を整え自分の部屋から退室、階段から下に降りキリトの待つリビングに行く。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
お互いに元気が感じられない挨拶
第一の原因は眠いからだ。
俺とキリトは朝に弱い。
早めに寝ても朝、起きれば眠いしか言えない少年達だ。
「今日は少し早いなキリタク?」
突然の呼び掛け?
人の名前を合体させ省略、聞き覚えの有る声
「おはようございます。
シーンさん」
「おはよう、ございます」
「おはよう少年達!」
元気な声だ。
朝からテンションが高く人の名前を適当に混ぜて楽しむ女性プレイヤー シーン
俺とキリトの住んでいる宿主で優しく心配症で明るい女性だ。
「シーンさん。
今日は面白い情報は売ってますか?」
「面白い情報?
今日は面白いと言うより悲報かな」
シーンは宿の提供者で有りながら情報屋もやっている。
勿論、情報屋が情報を教えるのだから相応の金は掛かるが情報が手に入るなら安い物だ。
「悲報?
もしかして死人が出たとか?」
「当たり。
75層でダンジョン攻略中に四人のパーティーを組んだプレイヤー達が死んだんだって」
「原因は?」
「エクストラスキルの使い過ぎ」
今、現在の仮想世界では死亡確率が最も高い死に方だ。
昔はソロプレイヤーが最も死亡確率が高かったが今は大体のプレイヤーがパーティーを組みダンジョン攻略を行っているので死亡確率は下がっている。
だが、今のソードアート・オンラインではスキルの使い過ぎが死に繋がる。
「そう、ですか」
キリトの顔から笑顔が消えた。
悲しい表情に変わり下を向き顔を隠す。
「なんでお前が悲しむ?
俺が原因でそのパーティーは全滅した。
お前は関係ない」
その75層で死んだプレイヤー達の死亡原因は俺に有る。
俺が生きいるから死んだ。
だからキリトが悲しむ理由は存在しない。
「シーンさん。
情報料、払います」
俺は300コルを自分の金から引き出しシーンに差し出す。
「お金は要らないよ。
こんな情報で商売したら死んだ人達が虚しいだけだ」
シーンは知ってる筈だ。
死んだプレイヤーの死亡原因は全て俺に責任が有ると
でもシーンは知らない振りをする。
理由は解らない。
でもそれが俺には有難い事だった。
「他に何か情報は有りますか?
出来れば明るい情報を」
「有るよ明るい情報。
先日、63層で隠しダンジョンが開放されたらしいのよ」
「隠しダンジョン?」
「何が理由で開放されたか不明だけど
中々、面白いダンジョンみたいで経験値を稼ぐ為に有るダンジョンみたいなの」
経験値を稼ぐ為に有るダンジョン?
聞いた事がないダンジョンだ。
開放理由が不明で先日、急に開放されたステージ
行ってみる価値は十分に有りそうだ。
「有難うシーンさん。
はい、情報料300コル」
「毎度、行くんなら周囲に気お付けて行くんだよ」
忠告に聞こえた。
命を狙われているんだから行くなと言っているように聞こえる。
でも、言わない。
言えないんだ。
「さて、俺は朝飯食ってから出かけるけど
キリトはどうする?」
俺の変わりに落ち込んでいるキリトに話し掛ける。
何時もキリトは俺の罪を自分の罪のように見る。
それが優しさなのか哀れみなのか解らないがお人好し過ぎる。
「あ、ああ。
俺も行くよ」
話は聞いていたようだ。
でも覇気が感じられない。
「あのなキリト。
俺の罪はお前に関係ないんだ。
だからお前が落ち込む必要性は皆無だ」
「解ってる」
キリトはその場から立ち上がり歩き出す。
部屋に戻りアイテムを補充するのだろうが今の状態でキリトと行動するのは危険と俺は考える。
「あの子、いい子だね」
立ち去っさ筈のシーンはキリトが立ち去った瞬間に現れる。
「確かに不真面目じゃないのは確かです。
でも、人の罪に割り込んで来るのがお節介としか言い様が有りません」
「あの子、変わってるからね」
変わってる。
俺から見たら変わりすぎだ。
人が困っていたら助けたくなる。
俺の罪を知りながら手を差し延べようとする。
それがキリトの悪い所だ。
「じゃ、俺は出かけます」
座ってい椅子を元に戻し歩き出す。
一旦、自分の部屋に戻りダンジョン攻略の準備に取り掛かる。
65層のダンジョンならアイテムも少なめでも問題ないと考えられるが新しく出現したエリアとなると準備も念入りに的確に完全に行う。
「さて、行きますか」
ページ上へ戻る