ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第四幕その七
「イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズの」
「四つの地域の四つの民族ですね」
「その通りです、かつては四つの国家でしたし」
「そちらの国旗にも表されている」
「その通りです」
お蕎麦を天麩羅と一緒に食べつつです、先生は明るいお顔で加藤さんにお話するのでした。
「ユニオンジャックは合わさった国旗です」
「イングランド、スコットランド、アイスランドが」
「ウェールズは入っていませんが」
それでもだというのです。
「それぞれの地域が合わさったものがです」
「お国の国旗ですね」
「その国旗にも出ている様に」
「イギリスは四つの民族から成り立っていますね」
「もっと言えばです」
先生は加藤さんにイギリスの民族事情についてさらにお話します。
「貴族は民族が違います」
「平民とはですね」
「その辺りがまた複雑でして」
「欧州では貴族と平民はですね」
「民族が違います」
「婚姻もしませんし」
「はい、混血も殆どないですし」
このお話にもなるのでした。
「階級によって民族が違うのです」
「地域だけでなく」
「スペインでも今の王家は」
「ブルボン家ですね」
「その前はハプルブルク家でした」
「ハプスブルク家はスイスにルーツがありましたね」
加藤さんもお蕎麦を食べつつ先生に応えます、二人の周りにいる動物達もお蕎麦は誰もが食べられるので楽しんでいます。
「ゲルマン系と言っていいですね」
「そうなりますね」
「そしてブルボン家はフランスの王家ですから」
「やはりスペインの平民とはです」
「民族が違いますね」
「そうなります」
まさにそうだというのです。
「それはイギリスでもです」
「階級によっても民族が違う」
「日本でも公家や武士がいましたが」
「民族は同じです」
加藤さんは先生にこのことははっきりと言いました。
「大和民族です」
「そうですね、階級といいますか身分は違っても」
「民族が同じであることは変わらないです」
「そこが日本とイギリスでは本当に違いますね」
「大きな違いですね」
「その通りですね」
しみじみとして言う先生でした。
「イギリスについて考えるうえでこのことは」
「かなり重要ですね」
「そして日本についても」
「はい、このことはです」
「重要ですね」
日本の民族事情も、というのです。
「まことに」
「はい、そしてです」
「その同じ民族の中でもですね」
「文化圏があります」
日本においてはとお話する加藤さんでした。
「ドイツと同じでしょうか」
「ドイツですか」
「いえ、ドイツは」
「はい、あれで実は」
先生は今度はドイツについて加藤さんにお話しました。
「多民族的です」
「同じゲルマンであっても」
「東のプロイセンはプロイセンで」
「東方のスラブ民族と混血していますね」
「そして南部のバイエルン辺りもです」
かつてはバイエルンも国でした。
「フランスの影響があり北部もです」
「ベネルクスやデンマークと」
「今は別の国ですがオーストリアはさらにです」
「混血していますね」
「同じドイツ、神聖ローマ帝国といいましても」
「混血していますね」
「私はそう見ています」
先生は学者としてお話するのでした。
「ですから日本の様に同じ民族の中での文化圏かといいますと」
「違いますか」
「ドイツもまた」
「そうなのですか」
「ドイツには私も何度か行っています」
先生は知的な微笑みで先生にお話します。
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