雲は遠くて
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26章 TOP 5入り・祝賀パーティー (2)
26章 TOP 5入り・祝賀パーティー (2)
「知っているわ。わたしも 雑誌で、そんな記事を
読んだことあるもの…」
美樹は、無意識に、陽斗の手を 握っている。
「雑誌といえば、美樹ちゃんのグレイス・ガールズや
クラッシュ・ビートへの、雑誌の取材の申し込みが、
すごいらしいじゃん!」
「そうらしいわよね…。わたしなんかも、突然、
写真撮られたりすること、あったもの、最近。
どこかの雑誌社の人らしいけど。
でも、すべての取材は、モリカワ・ミュージックが
窓口になっていて、ほとんど、すべて
お断りしているみたいだから、
わたしたちの生活は、ほとんど、いままでどおりの
平穏なんだけどね。
これも、モリカワの お蔭なのかしら…」
そういうと、美樹は 陽斗を 見て 微笑む。
「モリカワって会社は、ほんとに、良心的だよ。
美樹ちゃんは、よく知らないと思うけど、
おれたち、一応 プロ になっている、
ミュージシャンやアーティストの収入って、
大きく 分けて、2つあるんだけどね。
ひとつは、アーティスト印税という、実演家に、
与えられる印税。
もうひとつは、著作権 使用料といって、
コンポーザー、つまり、作曲者や 作詞者に
与えられる 著作権 印税があるんだよね。
ザックリ いって、この2つになるんだよ。
たとえば、そのアーティスト印税なんかは、
普通、1%から、多くても 3% くらいしか、
もらえない契約が多らしいんだ。
それを、モリカワでは、5% くれるという契約だから、
すごいというか、画期的だよね」
「それって良心的だわよね。著作権使用料というのは、
営利を 目的として、楽曲を使用したり、
歌詞や楽譜などを引用するときに、著作権者に
支払うとかいう、その使用料のことなんでしょう?
音楽 ビジネスって、権利 ビジネス ともいわれているくらい、
権利というか、利権というか、お金に対して、
シビア(過酷)なんだって、姉の美咲ちゃんがいってたわ。
なんか、いろいろと 難しいわよね。
わたし、法律的なことは 苦手だから…。
お姉ちゃんの、美咲ちゃんのように、
弁護士には、絶対、なれないわ!」
そういって 美樹が 声を出して わらうと、陽斗もわらった。
「だいじょうぶだよ。美樹ちゃんには、もっと、ほかの、
才能があるんだから!あっはっは。
ところでさ、グレイス・ガールズや、クラッシュ・ビートや、
クラッシュ・ビートのアルバム作りに
参加させてもらった、おれにもだけど、
お金が どのくらい、口座に 振り 込まれるか、
おれ、ザックリ、計算してみたんだ」
「ええ!?…うっそ!」
「まあ、お金なんて、そのために、音楽やってるんじゃないけどね。
まあ、気になって計算したんだ。そしてたらね、
作詞作曲は、すべて、バンドのメンバー全員というか、
楽曲つくりに 参加した メンバー全員に、という 契約で、
計算したんだけど、アルバムとシングルが、ともに6万枚くらい、
いまのところ売れてるじゃん。そしたらね、
グレイス・ガールズの場合、1317万円くらいを、
メンバーの5人と 岡昇くんの、
6人で、平等にわける 計算になるんだけど。そしたらね、
ひとり、219万くらいの収入になったかな。
ちょっとすごい 金額だよね。それも、まだ1カ月くらいなんだから、
売り上げは、まだまだ 伸びると 考えると、
まだまだ、収入は 増えると 思うなぁ!」
「そうなんだ。うれしいような、なんか、びっくりよね。
これも、モリカワや、会社のスタッフや、たくさんのみなさんの
お蔭よね」
「メジャー・デビューしたばかりで、ヒットチャートを 盛り上げて、
どうせ、一発だろう?なんて陰口をいう ヤツもいるけど
これは、みんなの 才能と 努力の成果だよね。
モリカワ・ミュージックも、社運を 賭けて、
おれたちの、CDの制作や製造、あと、小売店への営業や
新聞、テレビ、ラジオなどの、メディアへの、
プロモーション( 販売 促進 )を行ってきたんだし…」
そんな話をしながら、美樹と陽斗は、ライブ・レストラン・ビートの、
入り口に 着く。レストランは、静かに 陽光を 浴びる
樹木に 囲まれている。
≪つづく≫
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