『自分:第1章』
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『興信所』
『ユウから聞いてたんですか?』
『悪いとは思たけど、シッカリ向き合う為に素性を調べさして貰た。興信所と施設にも行って話してきた。』
『...そっか。うん、ほら、ごっつ普通の世界が逆に解らんのよ。歪みまくった価値観や考えやし根性悪い。ユウには何のプラスにもならん。普通の人は自分みたいな種類の人間を避ける。関わりたぁないのが本音やろ思う。数日間の疑似家族は幸せでした。愛溢れる料理も感動でした。有り難う御座います。明日戻ります。』
まくしたてるように涙を堪えて言った。
こんな幸せ知ったら、こんな愛に触れたら、離れたくなくなる...お母さんの愛情が辛い。
いつの間にか弱くて情けない、どうしようもない奴になってしもた。
気付けば堪えてたはずの涙はボトボトボトボト...
お母さんは何も言わず暫く背中をさすってくれた。
涙拭いてくれた。
頭撫でてくれた。
で、落ち着いた頃に話し出した。
『あんね、追い出そうとか関わりたくないとか、そんな簡単に言えるなら最初から泊めたりせん。私達はアンタを放っとけん。バカ息子が守りたい想う彼女なら、親として出来る限り尽くす。いろんな話聞いて、アイツ関係なく守りたくなったのもホンマや。』
涙が止まらんかった。
『私、娘欲しかったんよ。アンタが長女や思て可愛いんかもしれん。』
幸せすぎて怖い。
必死で伝えた。
『あほっ!何言うてんの!』
お母さんも照れてた。
笑ってた。
うん、幸せ。
幸せってこうゆう形もあるんやな。
こんな家庭に産まれたかった。
来週、お父さんの休みに合わせて私も休むから一緒に行くよって。
女相には連絡してるらしい。
『ちゃんとアンタ達が頑張れるように条件提示する。アンタらも本気で頑張らないかんのんで。戻ったら、二度と脱走は許さん。今のうちにチャント話すべき事は話して、大事な時間を過ごしなさい。』
ユウに、お母さんと話したことを話した。
お母さんからも聞いてたらしい。
『条件って何やろ』
『想像つかへんよな』
『携帯返して貰うとか?』
『絶対無理!ないわ』
『ある意味、楽しみ』
『えらい余裕やん。ユウ淋しいとかホンマに思てないやろ。沈んどったとかゆんも嘘なんやろ』
『んなことないわ!毎日淋しくてアコギ弾きまくりよったわ!』
『それ楽しそうやし。何弾けるようになったん?弾いてや!』
『おうっ!じゃあ明日マサんちで!』
『うん!』
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