「冥王来訪」の感想


 
良い点
歴史の勉強になります。強制収容所と経済を組み合わせるベリアとスターリンの悪辣な行為によって偽物の繁栄が無理矢理に作られた事が解り面白いです。
 
コメント
ソ連の首脳陣が顔を青くしてますよね。マサキが武家首脳陣に何をするか楽しみにします、アイリスとマサキの出逢いも楽しみです。 
作者からの返信
作者からの返信
 
ご感想有難う御座います。

>偽りの繁栄
ソ連は1917年の革命の時点で人口の大部分が文盲(もんもう)の農民と言う西欧社会から比べて立ち遅れた社会でした。
一応、レーニングラードやモスクワには近代的な学術研究の設備や企業もありましたが大部分が17世紀から18世紀のような生活をしていました。
18世紀以降獲得したシベリアの原野は大部分が手付かずの原野で、人口もウラル山脈の西側にあるヨーロッパロシアに比べて少なく、慢性的に労働力不足に悩んでいました。
(これは、ロシア連邦になった今日も解決されていません)

 長い歴史を通じてロシアは囚人や捕虜の活用で僻地開発をするのですが、大規模な利用は20世紀のロシア革命以後と思われがちですが、その萌芽は19世紀の中ごろに既にみられます。
19世紀の半ばに始まった過激な革命運動『ナロードニキ』の活動家をロマノフ朝はシベリアに送り込みます。
そこでシベリアの開発を手伝わせるのですが、過酷な自然環境下での暮らしは、当時発達し始めた欧米のメディアに取り上げられ、国際世論からの非難を受けるほどでした。
(例を上げれば、樺太千島交換条約で得た樺太には、ポーランドからの2万人の政治犯が送られて、大変な苦境にあった事は当時から問題視されていました)


 ソ連政権は、革命以後、シベリアの開発に乗り出しますが、人口過疎地域の開発は容易ではありません。
そこで政争や粛清で捕らえた反体制派や政治犯をシベリアの開発に利用するシステムを作り上げました。
前段階として1930年代のモスクワ地下鉄の建設や白海(はくかい)運河の建設で囚人の利用の実績を得た後、経済的な利益が出る様な制度として整備しました。
 1939年のポーランド侵攻による大規模な捕虜獲得で味を占めたスターリンは、世界大戦に参加することによって漁夫の利を得て、大規模な捕虜収容所の建設とその奴隷労働力の活用を秘密警察NKVDに指示します。
 およそ全世界で1000万人近い人間が拉致されたシベリア抑留の悲劇は、世界大戦とともに始まったと言っても過言ではありません。
シベリア鉄道の第二路線であるバム鉄道は、満洲から連れ去らわれた日本人が宿舎も無いシベリアの原野で薄い天幕の中で過ごし、過酷な自然環境で斃れながら作り上げたものです。

(本編では説明がくどくなると思い、感想欄に詳細を書かせていただきました。)

>マサキが武家首脳陣に何をするか
予定としては、武家の上層部に会う話は、欧州から帰ってからにしようと思っています。
今後の展開をお待ちください。