「銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)」の感想

tukiyomi
tukiyomi
 
コメント
更新お疲れ様です。

確かに門閥貴族にとっては『家名存続』は最優先事項ですしねえ。
リッテンハイム侯爵の醜態をさらしたあの行動も、あの場面で侯爵戦死となれば、リッテンハイム一門をまとめ切れる人材がいなくて一門は空中分解。そこを老獪なブラウンシュバイク公爵に付け込まれること確定ですし。
実際、史実の戦国武将だって戦場でやばくなったら味方見捨てての全力離脱なんてザラにある訳ですし、その点では判断は間違っていなかったのですが、運が悪すぎたとしか。
しかし、ブラウンシュバイク公爵にしろリッテンハイム侯爵にしろ、戦略そのものは間違っていないんですよね。ある意味不幸だったのは、両者の戦略を同時並行できるだけの戦力を貴族連合軍が有しており、戦略のすり合わせをする必要性がなかったということな訳ですが。

ラインハルト旗下の士官達が若年でも少将クラスになっていた理由に納得。
確かに門閥貴族でも何でもない彼らが将官クラスにまで出世するのならば、確固とした後ろ盾がなければ厳しいですし。
一番良い例がOVAのケスラーで、グリンメルスハウゼンの庇護を失ってからは辺境勤務に飛ばされ、帝国領侵攻作戦時には諸提督よりも階級は一段階低いものでしたし。(お蔭で汚れ役押し付けられてしまいましたが)
主人公のエリヤだって若くして中将までに昇進できたのは、本人の努力もさることながら、トリューニヒトの引き立てあっての事ですし。これがなければ、中将になれたとしても相当時間がかかったでしょうしねえ。

しかし「ラインハルトと同じアイディアを持っていてもラインハルトになれるとは限らない」というのは、未来知識の限界を端的に表した言葉ですね。
どれだけ未来知識があっても、今いる人間を納得できるようなバックボーンがなければ鼻で笑われるのがオチですし、何より原作では成功したこともこの世界で成功できるとは限らない訳ですし。

そういった点では、未来知識に拘らなかったことがエリヤの成功の一つのカギだったかもしれないですね。 
作者からの返信
作者からの返信
 
主観的には間違ってなくても、客観的に間違ってることというのは世の中には多いですよね。やってることは間違ってないのに、結果として失敗することも。

異常な出世には異常な背景があるということですね。同盟では派閥や市民感情、帝国では権力者の庇護。ビュコックですら、新米士官時代のシトレの面倒を見たという背景があります。

アイディアがあっても、それを実現する力がなければ成功はしません。英雄の真似事をして成功できる人は、真似事をしなくても英雄になれる人です。おっしゃるとおり、エリヤが成功したのは未来知識を信用せずに、ひたすら努力したからです。