「銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)」の感想

tukiyomi
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コメント
更新お疲れ様です。

クリスチアン大佐がクーデターに参加した動機が判明。
まあ確かにこれはクーデターに参加するのは道理ですし、クリスチアンがジェシカに嫌悪感を抱くのも道理ですわな。
勿論、クリスチアン大佐が得た情報と分析がすべて正しいかどうかはまだ闇の中ではありますけど。

アラルコングループは既に予備役確定ですか。
確かに思想的にはクーデター予備軍と言っていい彼らは、このまま放置しておくわけにもいきませんし、下手に高い階級を持たせた場合、軍への影響力をさらに強める結果にもなりますからねえ。
後、名誉を散々付与しての予備役ならば、仮に彼らが蜂起しても「何の褒賞もなく叩き出されたのならば同情されるだろうが、充分な褒賞を得ての予備役ならば同情がいきにくい」ことを考慮しているんでしょうねえ。

トリューニヒトの「排除すべきは悪い支持者」「政府に対する忠誠心への重視」という考えは一貫している所ですけど、確かにこれではヤンとの相性は最悪でしょうねえ。ヤンの場合は、民主共和政の理念を犯さない限り、個人の意思を何よりも尊重する姿勢を貫いていますから。
そしてトリューニヒトも、ヤンを潜在的なクーデター指導者と見なしているんでしょうねえ。国家への忠誠心皆無なシェーンコップを重用するだけならまだしも、今回のクーデター事件で「クーデター軍への参加は拒否したけれども、現政権への忠誠も発表せず、反乱軍討伐を行うにも何の政治的アピールも無い」という事実で、ヤンの政治的忠誠心に疑念を抱かせるには十分ですし。
トリューニヒトの本音としては、辺境総軍だけでなくイゼルローン方面軍も解体して、全面的に再編したい所なんでしょうねえ。

しかしトリューニヒトが重視する「軍の政府(国家)への忠誠」って、近代国家の成立過程から考えれば当たり前以外の何物でもないのですが、やはり長い戦乱によって、軍の政府への忠誠心が揺らいで、指揮官と兵卒の個人的信頼関係でつなぎとめている部分が無視できなくなっているのかなあと。
実の所、この問題は同盟よりも帝国の方が深刻なんですよね。
ロイエンタールの反乱なんか、本来ならばロイエンタールが反乱表明した段階で拘束されるのが本筋なんですが、蓋を開けてみればほぼ全軍が彼に従う(兵の本音からして参加理由は「ロイエンタールへの義理」であるので、現政府への反感によるものではないという点で余計に頭が痛い)という、帝国政府の権威を完全に失墜させることになりますし。

しかし最大で6個艦隊を編成するという事は、これに第一艦隊と第五艦隊、第十三艦隊も含めると9個艦隊編制ですか(第三艦隊は辺境総軍の中核になったと仮定して)
原作と比べると大分マシな編制になったのかな。
それでもラグナロックの規模を考えた場合、イゼルローン方面はまだいいとしても、内戦で部隊運用に格段になれた指揮官を指揮するラインハルト相手にするフェザーン方面はきついですねえ。今回のクーデター疑惑で忠誠心疑われる指揮官は、例え能力があっても排除される傾向になることを考えれば猶更。 
作者からの返信
作者からの返信
 
陰謀との戦いの行方は、クリスチアンに真実をもたらした人物の背後にいる「陰謀と戦うある勢力」の動き次第でしょう。もしかしたら、戦う必要すら生じない可能性もあります。

泥をかぶらせる者は厚遇する。これは帝国領遠征前にトリューニヒトが語っていたやり口ですね。

全体主義者のトリューニヒトと個人主義者のヤン。相性は最悪です。
あと、良く勘違いされていることですが、全体主義と独裁はイコールではありません。
民主主義を運営する上では、多分に全体主義的な要素も必要になります。

トリューニヒトの言う国家への忠誠というのは、自分自身のために戦う軍人は必要ないという原作六巻でロックウェルが語った思想に通じるところがあります。しかし、皮肉なもので戦いに強い軍人には往々にして自分自身のために戦う者が多いんですよね。

帝国は大義なき軍隊。皇帝に対する忠誠が指揮官に対する忠誠に置き換えられるのも無理はありません。

原作ではヤン艦隊、第一艦隊、第一四艦隊、第一五艦隊と若干のビュコック直轄部隊。それと比べると、大分マシですね。仮に第一四艦隊や第一五艦隊のような急ごしらえの艦隊を作ったら、もっと増やせます。