「銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)」の感想


 
コメント
 一つ、気になることが。
 同盟軍、この時点で、『第六次イゼルローン攻防戦の時の、あの小賢しい敵将の正体』を、掴んでいないのでしょうか?

 味方をあれだけ痛い目に合わせた相手のことを、同盟軍の情報部が調べていなかったとしたら、それははっきり言って怠慢。
 一方の帝国軍にとっては、公開情報でなくても、『極秘』というほどの機密情報とは、考えにくい。

 調べれば判った可能性が高そうに思えますが。
 そして、判っていたとすれば、艦隊司令官や作戦参謀は、知らされていてしかるべき。
 エリヤ君の立場では、知らされていなかったとしても、不思議とは思いませんが。
 
作者からの返信
作者からの返信
 
原作の本編一巻において、パエッタ提督はラインハルトを「若くて経験も少ない」と評しています。外伝一巻の第四次ティアマト会戦では、左翼部隊の指揮官がラインハルトであることすら特定出来ていません。小賢しい敵将の存在は把握していても、それがラインハルトであることはわからなかったのでしょう。

帝国と同盟の間には国交がありません。諜報活動は九割が公開情報の分析をもとに行われます。残る一割が非公開情報となります。他国の要人の非公開情報の収集は機密扱いでない情報でも、きわめて困難です。困難を承知で情報部の要員を投入する価値があるとしたら、政府や軍部の最高首脳クラスになるでしょう。実際、同盟でラインハルトの情報が広く知られるようになったと思われるのは、宇宙艦隊司令長官就任以降です。情報部が重点調査対象に指定したのでしょう。

原作の記述を見る限り、同盟が把握している帝国軍人はメルカッツのように相当キャリアが長くて対戦回数も多い人物、あるいは最高権力に近い人物に限られるようです。