「銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)」の感想


 
良い点
楽しませて貰ってます。

原作キャラをディスることなく、むしろ良い面を描こうとしているのが楽しくて良いですね。
 
悪い点
ちょっとメアリースー状態で、主人公が有能「過ぎる」のが珠に瑕でしょうか。

過去の知識はあっても、普通の人が頑張った方がテーマ的にあっているような気がします。
 
コメント
かなり暗い未来のハイネセンとか、妙に正しそうなトリューニヒトとか、同情できそうな地球教とかって、主人公の成長と共に評価が変わっていくものですよね?

この評価のまま最後までいくなら、ちょっと首を捻らなきゃならないのですが。

地球教は無差別テロの代わりに麻薬で布教をしていたようだし、その地球教とトリューニヒトは繋がっていて、麻薬密売人達全員が無事に逃げられたって、そういうことですよね? 
作者からの返信
作者からの返信
 
私ぐらいの年齢になると、天才が無能をやっつける話にはあまり痛快さを感じなくなります。強者同士がせめぎ合ってこそ面白いと考えるようになりました。

主人公をあらゆる人物の良い面を理解できる人にするためには、主人公自身が大抵のことをひと通りこなせる能力を持っていなければなりません。たとえば、主人公がドーソンの実務能力に敬意を持っているのも主人公が高い実務能力を持っているからです。実務に通じているがゆえに、ドーソンの仕事ぶりがいかに優れているか、ドーソンのような仕事をすることがいかに難しいかを詳細に説明できます。

ハイネセンの暗い未来は原作の延長上に起こりえるものと想定しています。原作ではハイネセンの未来が暗いことを暗示する記述がいくつもあります。

原作のトリューニヒトが間違って見えるのは、主要人物がことごとく彼に批判的だからですよね。しかし、彼には数十億人の有権者の支持がありました。アイランズのように「あなたには恩義がある。亡国の為政者の汚名を残してほしくない」と諫言するほど忠実な側近もいました。彼が正しいと思って支持した人はみんな騙されているのでしょうか?そんな単純な話ではないと私は考えています。

同情すべき面が何一つない絶対悪は私には描けません。ユリアンが巡礼の途中で出会った純朴な地球教徒はただ嘘を吹きこまれて、麻薬で言いなりになっているだけなのでしょうか。心の救い、あるいは居場所として機能していたがゆえに、ローエングラム朝を向こうに回して二年も戦い続けられたのではないかと私は考えます。

「そういうことですよね?」と言われましても、今の段階では「わからない」と答えるしかありません。ただ、地球教とトリューニヒトが絶対悪として断罪される展開はないと思ってください。彼らが敵に回ることがあっても、絶対悪としての断罪にはなりません。人間と人間の戦いになるでしょう