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海戦型さんのつぶやき
つぶやき
海戦型
2016年 12月 17日 22時 03分
最近買った漫画とか
ちょっと前から名作と名高い「うしおととら」の完全版を買っていましたが、とうとう全巻揃いました。
素晴らしかったです。何がどう素晴らしいかを語り始めるときりがないので色々とは言いませんが、バラバラだった物語がうしおととらの二人の闘いに収束されていく様は壮観でした。あと鏢さん好きだ。
で。
藤田和日郎さんの代表作が一つの「からくりサーカス」も気になりまくっていますが、昔の漫画なので全然本屋に売っていないため、先生が描いた別の漫画を買いました。
『双亡亭壊すべし』。
現在少年サンデーで連載中の超全力ホラー漫画です。
流石と言うかなんというか、販売中の1,2巻を読み終わった際に抱いた感想が「この漫画、やべぇ」でした。
まず、この漫画の舞台となる幽霊屋敷的な場所『双亡亭』から。
(とはいっても詳細がまだ本編で語られていないのですが)
この手のホラーでは大抵の場合、舞台はどこか閉鎖的な空間で、人にはそれほど知られておらず、周囲には人が住んでいないような場所が選ばれます。また、怪奇現象で人々が閉じ込められたり台風だ何だの被害ですぐに陸の孤島となってしまうとか。何故かと言うと、逃げられないし助けも求められないという閉鎖空間の絶望が押し寄せるからです。
ところがどっこいこの『双亡亭』、割と普通に人が住んでいる場所に存在します。まぁ、普通の都会の中にも見えない怪異が住んでいたりするので、この時点ではちょっと珍しいぐらいなものです。
物語の冒頭ではそんなお化け屋敷と評判の館に面白半分で入り込んだ3人の学生の視点で物語が始まります。男子二人、女子一人。そして速攻で女子が怪異に飲み込まれ、悍ましい光景(ネタバレなので詳しくは語りません)を見た二人は悲鳴を上げる……。
と、これもまたホラーの冒頭で恐怖を掻き立てるためによく出る展開です。大抵の場合、被害者はそのまま怪異に飲まれて行方知れずになったり、脱出したものの精神を病んだり死んだりしてしまいます。或いはその唯一の生き残りが再び怪異と向き合う主人公になったりもしますが……この二人は生き残ったものの心に深い傷を負うパターンを辿ります。
ここまでは、まだ普通の範疇。普通じゃないのはここからです。
なんとこの生き残った二人は、精神的に参るどころか「双亡亭壊すべし!」とさっそくタイトルを回収し怪異に喧嘩売って友達の仇を取る気全開。野郎ぶっこわしてやる!と言わんばかりの二人が双亡亭を壊す為に用意したものは、なんと『自衛隊による空爆』ッ!!
どういうことかって?つまり生き残りの二人はそんな命令をぶっぱなせる「総理大臣」と「防衛大臣」に大出世していたんだよ!!この時点でもう既にぶっ飛びすぎです。
幽霊屋敷対策に私がついつい考えてしまう「火ぃつけちゃえばよくない?」という物騒かつ無謀な思想の斜め上をマッハで突き抜ける爆弾の嵐が双亡亭を襲います。……ちなみにさすがの総理たちも近隣住民の避難は済ませてあるあたり、ホラーにありがちな発狂者みたいになってはいないことが分かります。全国から非難を浴びる事を分かっていて実行しあたり恐ろしくマジではありますが。
そして周辺爆撃で炎に晒される中――当然のように、無傷で、何事もなかったかのようにその場にそびえる双亡亭。ちなみにこの光景は全国生放送されています。ホラーにありがちな閉鎖的環境とは何だったのかと言わんばかりに全力で日本国民にマジもんの怪異を見せつけるという展開の豪快さが凄まじいですね……。
ちなみにこの屋敷、日本政府は昔から存在を知っていたらしく、行方不明者捜索や内部調査の為に何度も警察や機動隊とかを派遣しています。が、中に人を入れるたびに犠牲者や精神に異常を来す人間、そして新たな行方不明者を量産しつづけていた模様。心霊番組の生放送でもカメラが入ったことがあるのですが、なんとカメラに堂々と怪異によって突入した人物が犠牲になる光景が……(例によってネタバレなので説明なし)。
人が駄目ならドローンとか飛ばして確認すればよくね?と最新機器も投入しますが、一定以上内部に入ると映像が途絶えてしまったりで建物の間取りすら不明。ならばもっと凄い衛星写真で確認だ!……と思ったら、衛星写真に双亡亭は写りません。馬鹿な、グーグル先生すら勝てないだと……?
惜しげもなく最新技術を投入し、そのうえで最新技術なぞ効かん!とばかりに跳ね返しまくるこの屋敷。ストーリーでお約束を裏切りつつ、設定で科学信仰を叩き潰す。まさに無敵の怪異です。ちなみにこの世界にはガチな霊媒師や霊能力者が普通に存在したりしますが、そんな人たちを以ってしてもこの双亡亭は「ただの幽霊屋敷ではない」んだそうです。
そして、二人の政治家だけに留まらず、次々に物語の壇上に上がる人々。
双亡亭を取り巻く様々な思惑が交差し、やがてそれは一つの物語へと連結していく。
双亡亭に父親を殺され、復讐を誓った少年。
その少年の姉であり、退魔の力を持ったバトル巫女さん。
偶然が重なって巻き込まれていく、うだつの上がらない絵本作家志願の画家。
そして、双亡亭騒動の影に紛れて現れた、双亡亭を憎む謎の少年……。
物語が全てが誘われるは未知にして恐怖、一切の慈悲が存在しない絶望の場所――双亡亭。
双亡亭壊すべし。
双亡亭を壊すまで決して終わらない絶望の連鎖が始まる。
というわけで、最近のイチオシ漫画『双亡亭壊すべし』の勝手な宣伝でした。
2016年 12月 17日 22時 03分