マクロスF
0705話
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「さすがにシェリルだな」
S.M.Sの宿舎にある自室で、TVに映し出されていたシェリルのインタビューを見た俺の感想がそれだった。
自分達の事だけを考え、ギャラクシーに手を出せばフロンティア船団にもバジュラが襲い掛かって来るかもしれないと言った記者に対して、『自分達が助かる為にギャラクシー船団を見捨てろと?』と告げ、更には『既にフロンティア船団もバジュラに目を付けられている』と思い出させる。そう告げられた男の記者はしどろもどろになりながら、周囲の記者達からも冷たい視線を浴びせられて記者会見場を出て行った。
そして何よりもシェリルらしいと思ったのは、さよならライブに関してだった。この事態だから、今夜行われる筈だったさよならライブは中止にするのかと尋ねた記者の質問に、マイクを奪ってライブはやると言い切ったのだ。
にしても……インタビューでシェリルの後ろに控えていたマネージャーのグレイス・オコナー。表情を一切現していないが、それでも何故か笑みを浮かべているような印象を受けるのは俺の気のせいか?
「ま、どのみち……ライブをするって言うなら、早いところこれを返しておいた方がいいだろうな」
空間倉庫から取り出したシェリルのイヤリングを手に、そう呟く。
どんな謂われがある物なのかは知らないが、それでもこのイヤリングを取り戻す為だけにS.M.Sの近くまで1人で来たのは事実だ。余程に思い入れのある代物なのだろう。
「とは言え……」
現在の俺達は待機中だ。いざとなったらすぐに出撃出来るように、S.M.Sの外に出る事は許されていない。そんな中を馬鹿正直に外出出来る訳も無いし、しようとしても恐らく止められるだろう。
「ま、この際緊急事態だししょうがないか」
軍服の上からそれを隠すように上着を羽織り、外へと出る準備を整える。勿論普通に外に出るのではない。この世界では俺にしか出来ない、そんな移動方法。
パチンッと軽く指を鳴らした次の瞬間、俺の足の下には影が集まっていた。
即ち……
「影のゲート」
その言葉を呟くと共に、影へと沈み込んでいく。
向かう先は、当然シェリルがさよならライブを行うコンサート会場。
「……随分と人が多いな。いや、無理も無いか」
ライブ会場の隅にある影から周囲の気配を探知し、周囲にいる人の多さに思わず呟く。
ただでさえ銀河規模で人気のあるシェリルが悲劇のヒロインと化しているのだから、ある意味で無理は無いんだが……
「おーい、会場の方でも人手が足りない! 手の空いている奴は向こうに行ってくれ!」
「馬鹿を言うな! こっちだってギリギリだ! 人手は他から連れていけ!」
「音響のセッティング完了しましたぁっ!」
「マイクの様子はどうだ!
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