マクロスF
0705話
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れに比べるとグレイスとはずっと一緒にやって来たんだろうしな。
「アクセル? どうしたのよ? ほら、こっちに来なさい」
「ああ」
シェリルに誘われるようにして隣へと移動すると、その途端手を合わせて頭を下げてくる。
「ごめんっ、アクセルが来るってすっかり言うのを忘れてたわ。……けど、表にはSPがいた筈なのにどうやってここまで?」
「さて、どうやってだろうな。ま、人間誰しも秘密の1つや2つはあるだろ? 特に俺なんかはS.M.Sの軍人なんだし」
「なるほど、軍人としてのスキルって訳?」
「その辺も踏まえて秘密って奴だ」
小さく肩を竦め、ポケットから出したように見せかけてイヤリングを取り出し、シェリルへと差し出す。
「ほら、約束のイヤリングだ。これを取り戻す為に色々と無茶をしてきたんだろ?」
「……アクセルって意外に律義よね」
「銀河の妖精に嘘を吐く訳にもいかないだろ」
「もうっ、そんなの気にしてなんかいない癖に」
小さく口を尖らせながらも、イヤリングを受け取るシェリル。
そのまま床へと座り込み、隣をポンポンと叩く。
そこに座れということだと判断し、腰を下ろす。
「他の人には内緒だけどね、このイヤリングは母の形見であたしの幸運のお守りなのよ。あたしが母について知ってることと言えば、このイヤリングだけで母の顔は覚えてもいないんだけどね」
「母親、か」
「アクセルは自分の母親の事、どう思ってる?」
「……さて、どうだろうな。もうずっと昔に別れたきりだ。それ以来、顔を思い出す日も少なかったからな」
直接最後に会ったのは、それこそ幼児期の頃だろう。両親共に仕事で忙しく、俺が士官学校に入学して以来は全く会っていなかった。
しかも士官学校を卒業してからはシャドウミラーに所属して世界に反旗を翻したんだから、恐らく迷惑を掛けたのだろうとは思う。
……いや。極秘部隊であった以上、反旗を翻したとしてもその人員が公表される事はなかったのか?
それに……どのみち、俺が元々いた世界はアインストによって滅ぼされているだろうし……な。恐らく俺の両親に関しても、世界と共に消えていったのだろう。
「アクセル?」
「いや、顔くらいは思い出せるが、色々と忙しかったからな。殆ど思い出とかは残ってないな」
「……そう、アクセルもなんだ。でも、顔を覚えている分、あたしよりはマシかもしれないわね」
どこか遠くを見るような眼差し。恐らくは顔も覚えていない母親の事を考えているんだろう。そんな中、不意に話題を変えるかのようにシェリルが口を開く。
「ね、アクセル。この船団は好き?」
「……どうだろうな。俺がこの船団に来てからまだ数ヶ月程度しか経っていないから、そこまでこの船団に愛着は無い。……けど」
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