第61話 親子の絆は死んでも続く
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して、その言葉は現実となった。突如として千切れたコードだけであった筈の両腕から無数の配線やらが伸び、それらが腕の形をなして行き、やがて二本の腕が元通りになってしまったのだ。
「ちっ!」
一気に片をつけねばならない。銀時は一刀の元に伍丸弐號の頭部を木刀で吹き飛ばした。上半分が宙を舞い、遥か後方の地面へと落ちる。
「残念だったな。私の中枢は其処にはないぞ」
伍丸弐號の言葉に焦りを覚える。そのままカウンターの如く銀時の鳩尾に拳が叩き込まれた。まるで大砲の弾が直に命中した様な衝撃を鳩尾を中心にして体全体に感じた。
そしてその一撃はその威力が指し示すかの如く銀時を後方へと跳ね飛ばす。
後方へと跳ね飛ばされた銀時に皆の視線が一斉に向けられる。其処に一瞬の油断と隙が生じた。それだけあれば伍丸弐號には十分であった。
まず周囲に居たからくりメイド(♂)を先ほど放った光で貫通し破壊し、その後続けざまに周囲に居た仲間達にも銀時と同様の一撃を与え跳ね飛ばす。
突然の出来事に誰もが反応する事が出来ず、皆伍丸弐號の一撃を受けて遠くへと跳ね飛ばされてしまった。
「お父さん! 皆!」
「流山、お前!」
今、伍丸弐號の近くに居るのは源外となのは、そして微動だにしない芙蓉と戦闘力のない者だけだった。
「貴様らは大きな誤解をしている。私は他のからくりとは違い、頭部に中枢はない。私の中枢はマイクロサイズ程度の大きさしかない。これさえ無事なら例え頭だけになろうと即座に復元が可能だ。更にもう一つ教えてやろう。お前が先ほど見たあの薬莢。あれはカートリッジと言い、其処に居る魔導師や使い魔と同じ世界の技術が使われている」
「同じ世界の技術……」
「お前たちの世界で言うならば私の使っているこれは古代ベルカ式と呼ばれている代物の様だな。近接戦闘に特化した術式で一対一での戦いであれば私を倒す事はほぼ不可能であろう。例え、この技術と同じ魔導師が相手だとしてもな―――」
一通り説明を終えると、伍丸弐號は傍に倒れている芙蓉に目をやる。そして再び手を伸ばした。
「もう止せ、流山! これ以上たまの人格データを弄れば本当にたまが死ぬ事になっちまうぞ!」
「問題ない。私がそんなヘマをする事はない。芙蓉のデータの中から余分なデータを処分するだけだ。そうすればまた元の私に忠実で従順な芙蓉に戻るだろう。そして、私は再び立ち上がる。立ち上がり、今度こそ芙蓉が寂しくならないような世界を創造する」
源外の言葉など既に伍丸弐號の耳には届かない。徐々にその手が芙蓉の元へと延びる。そうはさせまいと銀時達が起き上がろうとするが、何故か体に力が入らず、全く身を起こす事が出来ない。
「無駄だ。貴様らに一撃当てる際に全身がマヒする毒を流し込んだ。並の人
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