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駄目親父としっかり娘の珍道中
第61話 親子の絆は死んでも続く
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態をつきながら、銀時は震える腕を振るって再度木刀を握り直す。あれが隠し玉となれば攻撃があれだけではないだろうと思えたからだ。面倒事になる前に片付けねば厄介な事になりかねない。
 焦りが脳裏を掠めた銀時の目の前で、再度伍丸弐號が両肘から薬莢を飛び出させた。すると、今度は伍丸弐號の両腕にある十本の指が怪しく光り出す。その光る十本の指を銀時達に向けて突き出す。指の先で怪しく輝く光が一斉に襲い掛かって来た。最初こそ指と同じ数の光であったそれは瞬く間に数を増し、指から離れ少し経った後にはその光の数は幾千、幾万と膨れ上がっていた

「今度は魔力弾と来たか。しかも何だこの数は―――」
「気を付けてください。あれは数もそうですが威力も今までの比ではありません。一発でもあれに当たれば体が粉々にされてしまいます!」
「嬉しくねぇ出血大サービスだな。あの野郎、娘共々吹き飛ばすつもりかってかよ?」

 明らかにそこには娘に対するてかげんなど一切感じられなかった。確実にどちらも葬り去る。そう考えての事のようだった。
 その銀時の予想の通り、幾万の怪しき光は怒涛の如く銀時と芙蓉目がけて襲い掛かって来た。ダムの決壊と言えば良いか、それとも雪崩と例えれば良いか? とにもかくにもそれの如く大量の怪しき光が迫り来る。銀時はそれを時にかわし、時に木刀で砕き体に当たる事を防ぐ。
 芙蓉もまた同じように体をかわし、手に持っていたほうきで叩き落とす。はじめはそれで何とか凌げただろうが、徐々にやってくる光の数が増してくる。このままではいずれ対応出来なくなる事は明白に見えた。
 必至に光をかわしていた刹那、銀時の真横を例の伍丸弐號の伸びる腕が横ぎった。その腕で不意打ちをするかと思われたが、腕の矛先は銀時ではなかった。

「芙蓉!」

 腕の矛先は銀時ではなく芙蓉であった。腕を長く伸ばし芙蓉を捕え、手元へと引き寄せてしまった。
 
「芙蓉は返して貰うぞ」
「てめぇ!」

 駆け寄ろうとするが、激しい弾幕で一向に前に進めない。防ぐだけでも手一杯の状態であった。

「貴様には感謝しているぞ。からくりの体となってしまい感情の一切を失ったと思われた芙蓉に此処まで人間に近い感情を植え付けてくれた事に。少々反抗期の様だが、私が手を加えればすぐに元通りになる。親子とは所詮そう言うものだ。子は親には絶対に逆らわない。例え逆らったとしても、それは例えるならば一時的なバグに過ぎない事。驚く事などない」
「何が親子だ。てめぇみてぇな親が居るかよ。逆上せ上るのも大概にしろや」

 粗方攻撃を凌ぎ、銀時は伍丸弐號を睨んだ。ギラギラと輝きを放つその目を惜しげもなく奴にぶつけるかの様に見せつける。

「良いか、子供ってのは親の玩具じゃねぇんだ。親に逆らう時もあれば暴力を振るう時もある。
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