第61話 親子の絆は死んでも続く
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だよ」
そう言いながら銀時は笑った。普段だったらそんな銀時に即座にフェイトは食って掛かるのだろうが、今は止めにした。此処は病室だ。騒ぐのはナンセンスだし、第一目の前でなのはが寝ているのだ。
「ちょっとだけ、なのはが羨ましいな」
「何だよ、突然」
「私には、母さんの思いではあるけど、父さんの思いでがない。私の父さんって、どんな人だったんだろうって、時々考えるんだよね」
「ふぅん…ま、あんなマッドサイエンティストな女とくっついた程なんだ。よっぽどの奴なんじゃねぇの?」
静かに会話をする両者。まるで風が囁いているような感じだった。
「何時か、裁判が終わったら母さんの墓参りに行きたいな」
「おう、行って来い。行って墓の手入れをしてやれ。それに花も添えて愚痴をたんまり聞かせてやれ」
「それ、前にも言ってたよね」
「あぁ、そうだったな」
フェイトにツッコミを入れられ、銀時は一人額に手を置きしてやられたと言いたそうな顔をしてみせた。
現在、フェイト達は此処江戸に滞在している。後からやってきた管理局メンバー共々暫くの間ではあるが真選組のお世話になっているのだ。
アースラへ戻る転移の準備が出来次第また戻る事になる。まだフェイトの裁判が終わっていない為にそうそう江戸に長期滞在は出来ないのだ。
「そう言えば、クロノも今江戸に来てたんだよな。後で顔出しとくか」
「良いけど、あんまりクロノに変な事教えないでよね。私の兄さんになる人なんだから」
「へいへい、分かってま……今何て言った!」
銀時の表情が一変した。顔中冷や汗をかきまくり、フェイトを凝視している。
「あれ? 言ってなかったけ。私、この裁判が終わったらハラオウン家の一員として迎えられる事になったのよ。つまり、クロノの妹になるって事ね」
「ま、マジで!? マジなの、それってマジなの? 本気と書いてマジなの!? 嘘だと言ってよ神様ああああぁぁぁぁ―――!!!」
天井に向かい空しく叫ぶ銀時。それほどまでにフェイトがクロノの妹になる事がショックだったのだろう。
その後、廊下から婦長が怒りの形相で飛んできて銀時をぼこぼこにしたのは記憶に新しい限りであり。
***
一面が薄暗い部屋だった。中央にモニターがあり、それを囲むようにテーブルが設けられている。部屋を照らすのはモニターの映像のみと言う殺風景な部屋でその映像は流されていた。
「芙蓉プロジェクトは失敗に終わったか」
モニターを見ていた男がそうつぶやいた。映像を凝視し、あまり残念そうな感じには見えない。
「プロジェクトは失敗に終わったが、我々には良い意味で収穫があったな」
「全くだ。機械を用いれば我々の世界の技術を用いる事が
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