暁 〜小説投稿サイト〜
駄目親父としっかり娘の珍道中
第61話 親子の絆は死んでも続く
[3/23]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
貴様の言っている言葉の意味が理解出来ない」

 表情には出していないが、近くに居た新八には分かった。伍丸弐號は少し不機嫌になっている。恐らく銀時に自分の言った言葉を否定された事に苛立ちを感じたのだろう。

「分からないってんなら分かり易く教えてやるよ。てめぇは娘の為だとか言ってるようだが、実際はてめぇの為に全部やってる
に過ぎねぇって事だよ!」
「銀時様の言う通りです」

 銀時の後に続くたま。

「貴方が私を作ったのも、数多くのからくり家政婦を作り出したのも、全ては娘の芙蓉様の為などではなく、全ては自分自身の寂しさを紛らわす為、違いますか?」

 たま、芙蓉の鋭い視線が伍丸弐號を見下ろす。その視線は何処か冷たく、そして何処か悲しみに満ちた目をしていた。まるで、本当に人間の目をしているかの様に。

「なる程、全ては私自身の自己満足の為に行った事。だと言いたいのだな? 私がプロジェクトを立ち上げ、お前達からくり家政婦を作り出し、それらを用いて地上に攻め入ったのも、全ては私の自己満足だと。仮にそうだとして、どうしたいのだ? お前はこの私を倒してこの私の愚行を止めると言うのか? 実の父であるこの私を―――」

 伍丸弐號の歪んだ目線が向けられる。機械的で狂気的な目が芙蓉達に向けられる。彼は芙蓉の言葉を否定はしなかった。寧ろ、その事実を真っ向から受け止めた上でそう言って来たのだ。彼自身自覚をしているのだ。自分自身が狂い、今こうして自分が行っているのが愚行に他ならないと言う事を。

「私の中で芙蓉様は言っています。貴方は既に、林博士ではないと。既に父は、林博士はこの世にいないと。今、私の目の前に居る貴方は林博士が生み出した愚かな夢の残骸。貴方が残っていては林博士は眠る事が出来ない。だから、同じ夢の残骸である私がすべき事は只一つ。伍丸弐號、私は貴方を破壊します! それが、私が今は亡き芙蓉様に、林博士に出来る只一つの恩返しなのです」
「この私を破壊すると言うか、よかろう。出来る物ならやってみるが良い。この私を破壊できると言うのなら破壊してみるが良い!」

 言葉はそこで終わった。三人は跳躍し、伍丸弐號と同じ場所へと降り立つ。降り立った一同の下へ一斉に襲い掛かってきた殺人メイド達を蹴散らし、破壊する。今の銀時や芙蓉にとって強化型のメイドなど相手にならなかった。

「なのは、お前は新八のところに行け! 奴は俺とたまでぶちのめす!」
「ラジャー!」

 敬礼のポーズを取り、一人新八の下へと駆け寄るなのはは、まず新八の両腕の拘束を取り外した。晴れて自由になった両腕を前に回して手首を数回回す。相当きつかったのだろう。

「有り難うなのはちゃん。助かったよ」
「どういたしまして。新八君が無事で安心したよ」

 互いに言葉を
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ