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駄目親父としっかり娘の珍道中
第61話 親子の絆は死んでも続く
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「………惜しいな。私がもう少し早くお前に出会って、今の言葉を聞けたなら……私はこんな愚かな事はしなかっただろうに―――」
「だろうな。だが、曲がっちゃいるがお前のやっていた事も根っこは娘の為だ。同じ親父としちゃ同情はするぜ。まぁ、その為にこんな大騒ぎになっちまったら本末転倒だがな」

 項垂れたままの伍丸弐號は未だに立ち上がろうとはしていない。既に銀時に痛めつけられた傷は粗方直っている。今なら無防備な銀時を倒す事など訳ないだろう。だが、何故かそれをする気にはなれなかった。
 既にバグの影響のせいで流山であった頃の記憶や感情の粗方が消えている状態にもかかわらず、動けなかった。
 あの男も、自分と同じ一児の父親だからか? それとも、自分の考えを理解した上で否定したからなのか?
 真相は分からない。誰にも、伍丸弐號本人にも―――。

「この私をどうするつもりだ? 私を破壊し、この騒ぎを納めるか?」
「前にも言っただろ。やる気が失せちまったってよ。今のてめぇをぶちのめしたって返って気分が悪くなる。だったら上に居るからくりメイド達を一体残らずぶちのめす方がまだ良いって思えただけだ」
「……」
「だが、お前がまだやろうってんなら……そん時は容赦しねぇ。徹底的に叩き潰してスクラップの欠片一つ残さず消し飛ばす!」

 振り返り、睨みを利かせる銀時の目から只ならぬ殺気を感じた。この男は本気だ。もし、いたずら半分に戦いを挑めばその時はこの男に完全に破壊されるのがオチだ。それに、今は何もする気になれなかった。言い表せないほどの虚無感が伍丸弐號を押さえつけている感じであった。

「どうやら、お前もあの銀の字に教えられたみてぇだな」
「源外」

 隣にはいつの間にか起き上がり、伍丸弐號を見ている源外が居た。

「何故動ける。貴様にも毒を打ち込んだ筈だ」
「舐めるんじゃねぇ。江戸一番のからくり技師と呼ばれる平賀源外が、そう簡単にぶっ倒れるかよ。おめぇのする事なんざお見通しよ」

 そう言って源外が懐から取り出したのは分厚い鉄板であった。しかも、その鉄板の中央が丁度拳の形で凹んでいる。

「こいつを腹ん中に仕込ませておいたのさ。最も、拳の威力までは殺せなかったらしくてな。ついさっきまで目ぇ回してたんだけどな」
「相変わらずの様だな……お前は」
「お前の方こそ、相変わらず尻の小さい女ばっかり作りやがって。尻のでかい女の方が安産だって何度も言ってるだろうが」
「お前の女に対する発想は相変わらず古いようだな。それだからお前の作るからくりは無骨でやぼったい出来になってしまうんだ」
「やかましい。お前の作るひょろい女に比べりゃ俺の方がなぁ―――」

 所変わり、今度は源外と伍丸弐號との間で女の尻に対する熱意やからくりの出来に対して
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