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駄目親父としっかり娘の珍道中
第61話 親子の絆は死んでも続く
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 ターミナルの中枢部。其処は江戸中のエネルギーが一箇所に集められたコントロール室であった。そのコントロールパネルの前で、伍丸弐號は手早くキーボードを叩いていた。
 彼の顔には相変わらず表情は見られない。無表情。冷たい氷の様な風貌が其処にあった。
 そんな顔を食い入るような顔で新八は睨んでいた。だが、彼は動けなかった。
 両腕を縛られてるだけでなく、その背後には二体の殺人メイドが控えいていたからだ。
 下手な動きをすれば即座に新八を殺せるようにとの配慮であろう。

「コントロール室を占拠して、今度は一体何をする気なんだ?」
「プロジェクトを進めていくうちに私は理解した。芙蓉を生き返らせる事は不可能だと。唯一完成体に近いこの私でさえ、自分で言うのはなんだかからくりに侵食され始めているのだ。最早、プロジェクトは破綻したも同然と言っても良いだろう」
「それだったら、何故!?」
「簡単な事だ。芙蓉は確かに死んだが、その種子が生きている。零號の中にな」
「たまさんの……中に?」

 新八の問いに答えつつも伍丸弐號はキーボードを叩く指を止めなかった。

「プロジェクトの発動と同時に生み出されたプロトタイプ。最も性能の劣る零號に種子の開花など期待していなかったが、彼女は私の予想を遥かに上回る結果をもたらしてくれた。分かるかね? 零號に、からくりである彼女の中に少しずつではあるが感情が芽生え始めているのだ。私には分かる。芙蓉の父親である私にはそれがはっきりと分かるのだ」

 突如、キーボードを叩くのを止める。伍丸弐號の肩が小刻みに震えているのが見える。泣いているのではない。嬉しさの余りに狂喜していたのだ。

「そう、いまや零號は芙蓉自身。嫌、芙蓉の生まれ変わりと言っても良いだろう! そして、芙蓉は父である私の元へ帰って来る。その時にまた芙蓉が寂しがらないように、この国を私達からくりだけの国に作り変えてしまわねばならないのだ。そうだ、それが父である私が出来るたった一つの事なのだから!」

 両手を広げて伍丸弐號は声高々に語る。まるで独裁者の考え方だった。こいつは地上に居る人間を全て排除し、からくりだけの国家を作るつもりなのだ。
 たった一人の、愛する娘の為だけに。

「随分ご大層な事を言うじゃねぇか。お父さんよぉ」

 声と共に気配が感じられた。一同の視線がその声と気配のした方を振り向く。それは中枢の周囲を密集していたパイプ。その一本の上に銀時とたま、そしてなのはの三人の姿があった。

「ぎ、銀さん!」

 新八が声を挙げる。

「ちょっとぉ! 私やたまさんは無視しないでよぉ!」

 新八が銀時の名前しか言わなかった事が心底気に食わなかったのか不満そうに頬を膨らませるなのはの姿があった。
 本人は相当怒っている
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