第五章
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らかしかないのである。
「あいつのことが」
「悪い奴じゃないけれどな」
今度は薫の話にもなる。
「性格は穏やかだし親切だしな」
「背も高いし顔もまあいい」
彼は実はそんなに評判の悪い男ではない。むしろ仲間内でも学校でも評判がいいのである。性格と容姿で悪く言われたことはない。
「大学の授業も真面目に出てるしな」
「悪いところはないよな」
こう話されるのだった。とにかく評判は悪くはない。
「じゃあ付き合うにはいいよな」
「だよな。バイトだって手を抜かないしな」
彼のことも確認される。しかしであった。
「けれどどうなんだ?今のあいつってよ」
「まんまストーカーだよな」
「完全にあれだぜ、あれ」
皆の顔が顰められる。彼に対する言葉が変わってきていた。
「もうよ。砂場で遊ぶ女の子を見る目だよな」
「そのものだな」
かなり酷いことを言われる。しかしそう言われるだけのものが確かにあった。今の薫は完全に危ない目になってしまっているのだ。恋の病のせいで。
「そんな人間が横にいたらやっぱりな」
「嫌だよな」
「なあ」
このことも言われるのだった。
「やっぱりな。それはな」
「じゃああの娘は嫌なのか?」
話が戻ってしまった。
「あいつと一緒にいるのが」
「そうじゃないのか?」
「いや、だったらもうとっくに行ってるだろ」
しかしここでまた話されるのだった。話は堂々巡り気味になっていた。
「とっくの昔にな。近寄るなとかな」
「何せ客だった頃からあんなのだったからな」
その時からなのはもう皆知っていた。毎日クレープを買いに来て覗きに来る。そのことも知っているからこそ言える言葉であった。
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