第二十四話 二者択一
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かと思っている。ここで自分が修学旅行に行ってしまえば、自分にそう思う資格が無くなってしまうのではないか。
「もっとマジに野球してくれよ」と思う資格が。
キラキラ輝く青春の中で、泥臭い青春の可能性を見せてやる為に、都内から戻ってきたのが、権城英忠では無かったか?
「あー、京都行きたかったなぁ」
「と、言いますと?」
「俺は野球をとる!」
スッキリした顔で言い切った権城に、ジャガーはニッコリと微笑んだ。
「そうですか。では私も、関東大会に行きますよ」
「おいおい……別に俺に合わせる必要なんて無いんだぜ?お前が居なけりゃ俺が試合に出れるんだし、何より一生に一度の修学旅行だぜ?」
「行かない人がそれを言いますか?控えの権城さんが試合に行くのでしたら、レギュラーの私は尚更休めませんよ。」
ジャガーは少し当て付け気味に、斜めから権城を見てきた。権城は口をへの字に曲げて肩をすくめた。
「それに……」
「あ?」
「権城さんが修学旅行に居ないんでしたら、私、1人だけで行っても困ってしまいます。」
「おい、止めろ。勘違いさせるような事言うんじゃねえよ。」
少しジャガーの頬は赤らんでいた。
そんなジャガーの顔から目を背けて、権城はぶっきらぼうに答えた。
「もう。何が勘違いですか。私に友人が少ないことを嘆いているのですっ」
「あーはいはいわかったわかった」
あしらいながら、権城の鼻の下は若干伸びていた。ジャガーは照れ隠しに、わざと怒った顔を見せていた。
(どこに行くかも大事だけど、誰と行くかも大事か……青春の形は一つじゃないしね)
2人の会話を柱の影から聞きながら、紗理奈が頷きながら微笑んでいた。
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