第九十三話 悪神
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ネヴァンを入手して数週間経ったある日、オーディンの護衛任務として彼と研究部+イリナの乗る馬車の上空で死神姿の闇慈は念のために外で待機していた。しかし闇慈には気にかかった点があった。
(あの、デスさん。北欧神話に登場する神の事を考えていまして。まずは最高神である【オーディン】と雷神、または最強の戦神と言われた【トール】・・・ここまでは良いです、でも後もう一人・・・悪神と呼ばれた・・・)
(ロキか?)
(ええ。何だかこの名前を今口にすると何だか胸騒ぎがするんですよ)
(碌でもないことを言うな、闇慈よ。お前の勘は恐ろしい程当たるからな)
デスの闇慈の言葉に褒めているのか馬鹿にしているのか分からずに、呆れていたがその瞬間、馬車を引く馬、スレイプニルが止まり、何かに怯えているようだった。
闇慈はスレイプニルの視線の先にあるものを捉えた。黒を中心としたローブを纏っており、そのローブの形はオーディンの正装によく似ていた。その事に闇慈は一つの事を頭に過ぎらせ、その男性に近づく。
「恐れながらお聞きしますが、貴方は北欧の神、ロキ様ですか?」
「いっかにも!我は北欧の悪神、ロキだ!そう言うお前は最近冥界で注目の的になっている【黒衣の死神】、黒神闇慈だな?」
「たかが一端の死神が北欧の神に名前を覚えられるなど、光栄でございます」
闇慈とロキが自己紹介を行っていると馬車に乗っている他のメンバーが出てくるとロキの姿に年配陣が驚愕の表情を浮かべていた。
「しかしながら、先程の攻撃は貴方のもので間違いはないのですね?」
「ああ。我らが主神殿が、我らが神話体系を抜け出し、他の神話体系に接触するのは耐え難い苦痛でね。こうやって邪魔しに来たのだ!!」
ロキの我が勝手な言動に周りは怒りを覚え、殺気を出してきた。
「言ってくれるじゃねぇか!!ロキ!!」
「これは堕天使総督殿、本来なら堕天使や悪魔などに会いたくはなかったのだが・・・ここでオーディン共々、我が粛清を受けるが良い」
「しかしロキ様、貴方は今、私達・・・他の神話に接触していまずがそれでは話が矛盾しています」
「なに、接触した所で滅ぼせば何の問題もない事だ、黒衣の死神よ。私は和平というのがどうしても気にくわなくてね」
本来なら他の神話に介入する事は罪な事ではないが、自分の神話にプライドを持っている者も居り、他の神話と混ざる事を嫌うことが多い。
それは闇慈も冥界の連中を見てきたので何となくわかっていたが・・・
「ロキ様。貴方の仰りたい事は分からなくはありません。しかしそれが、他の神話を滅ぼすと言う理由には到底及ばないと思いますが?」
闇慈の言葉にロキは口角を上げると魔力の弾を闇慈に向かって素早く撃つが、闇慈はそれを難なくAMC
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