第十八話 姉妹の力その三
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「まだいるかい?」
「鈴蘭ちゃんならまだ中にいるわよ」
その女子部員ははっきりとした声で薊に答えた。
「道場の中にね」
「へえ、そうなのか」
「まだ着替え中よ。あの娘着替えるの少し遅いのよ」
それでだというのだ。
「まだ中にいるわよ」
「そうか、着替え中に入るのも悪いな」
「じゃあ待つ?」
裕香がこう薊に言ってきた。
「それなら」
「そうだよな、まだ中にいるのは確かなんだしな」
「絶対にここに来るからね」
道場の出口に、というのだ。
「待っていよう」
「そうしようか、寮の門限まで時間があるしな」
「それじゃあね」
こう話してだ、二人でだった。
薊と裕香は鈴蘭を待った、すると。
少し経ってから鈴蘭が出て来た、それで二人の姿を見てだった。
微笑んでだ、こう言ってきた。
「来ると思ったわ」
「予想通りだったんだな」
「ええ、今日か明日にね」
「あたしが来ると思ったのか」
「そrでその通りだったわね」
「じゃああたしが来た理由もわかるよな」
「私の腕を見たいのね」
「ちょっと稽古しないかい?」
「いいわと言いたいけれど」
それでもとだ、鈴蘭は後ろを振り向いた。そのうえで言うのだった。
「もう一年の娘が鍵閉めるわ」
「ああ、道場の」
「そう、皆でのお掃除も終わったから」
「最後の掃除は皆でだよな」
「それが八条学園の決まりよ」
この学園の部活では掃除等の雑用は全員ですることになっている。一年生だけにやらせて上級生はさぼるということはないのだ。
「だからね」
「道場は使えないか」
「そうなるわ、けれどね」
「他の場所でか」
「手合せならいいけれど」
「じゃあ何処でするか、だよな」
薊は明るい中でも考える顔になって言った。
「学校の」
「噴水のところでどうかしら」
鈴蘭からこう言ってきた。
「校庭のね」
「ああ、あそこか」
「そう、あそこでね」
「あの辺りこの時間人が殆どいないしな」
「ええ、それに手合せ位なら」
「喧嘩でもないしな」
「先生に見付かっても少し怒られる位で済むわ」
若し見付かったとしてもリスクは少ない、このこともあってというのだ。
「じゃああそこに行ってね」
「やろうか」
「そうしましょう」
こう話してだ、そしてだった。
薊と鈴蘭は裕香と共に噴水のところに行った、次第に暗くなろうとしていてアスファルトは元々の青に夕焼けの赤が入って紫になっている。
その紫のアスファルトと薄暗がりの中で銀色から次第に黒くなろうとしている水を満たした噴水の前でだった、薊と鈴蘭は向かい合った。
そうして向かい合ってだ、まずは薊が言った。
「闘いじゃないからな」
「そのことはね」
「あんたを傷付けるつもりはないよ」
「
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