第三幕その十
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「植物園、美術館に博物館」
「全部行かれたのですね」
「何処もよく行きました」
そうしていたというのです。
「本当に楽しかったです」
「そうでしたか」
「はい、本当に」
こう笑顔で先生にお話するのでした。
「今も神戸に行く時があれば」
「その時にはですね」
「学園にお邪魔しています」
そうしているというのです。
「そうして勉強しています」
「学問は楽しくですね」
「はい、そうしなければなりませんね」
「そう思います」
「ではですね」
こうお話してでした、加藤さんは先生達をその動物園にも案内してくれました。その動物園の中にいる動物達を見てです。
先生はです、加藤さんにこう言いました。
「日本の全ての動物園を見て回った訳ではないですが」
「何かありますか?」
「はい、八条学園の動物園も」
ここでまたこの動物園のお話を出した先生でした。
「そうですが動物の栄養が行き届いていますね」
「いいことですよね」
「はい、とても」
先生は満面の笑顔で加藤さんに答えました。
「動物達も楽しく食べてです」
「栄養が行き届いていないとですね」
「駄目ですから」
「人間と同じくですね」
「そうです、僕達も栄養が必要なのと同じで」
「動物達もですね」
「そうです、ただ」
ここで、です。先生は加藤さんに首を少し傾げさせて尋ねることがありました。
「一つ気になることがあります」
「何でしょうか」
「この動物園にはカワウソ、ですよね」
「はい、看板やマスコットですね」
「その動物の絵が多いのですが」
「今お話しましたが」
加藤さんは残念そうなお顔になりました、そのうえで先生にお話してきました。
「実はニホンカワウソがこの動物園のマスコットなのです」
「ニホンカワウソですか」
「ニホンカワウソのことはご存知ですね」
「はい」
先生は悲しいお顔になって加藤さんの今の言葉に頷きました。
「もう、でしたね」
「絶滅したと言われています」
「そうでしたね」
「残念ですが」
加藤さんは先生に説明しながらつい俯いてしまいました、どうしてもそうなってしまったのです。
「絶滅したと言われています」
「まだいればいいですね」
「必死に探している方もおられます」
「しかしですか」
「まだ見つかっていません」
「四国にいると言われていますね」
僅かにです、そうしたお話もあるにはあるのです。
ですがそれでもだとです、加藤さんは先生に言いました。
「しかしその生存を確かめた人はです」
「いませんね」
「毛皮を取ったりして」
加藤さんは後悔と共に言うのでした。
「そうしていた結果」
「ニホンカワウソはいなくなりましたね」
「本当に残念です」
無念の声で言っ
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