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大切なのは中身
第二章
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「しかも安いしな」
「愛情がこもっていますよね」
 またここで薫が言うのだった。
「これって凄く」
「またはじまったよ」
「どうしたもんだよ」
 皆彼の言葉を聞いてクレープを食べながらここでも呆れた顔になる。そののろけは何度聞いてもそうなるものであった。
「本当によ。愛情ってこれお店のやつだぞ」
「あの娘が焼いたやつだけれどな」
「あの人が焼いたクレープだからですよ」
 見れば薫はそのクレープを何枚も持っている。そうしてにこにことして食べているのであった。一枚食べればまた一枚、次々と食べていく。
「こんなに美味しいのは」
「御前そこまで食っていいのかよ」
「太ったらあの娘にもてないぞ」
「大丈夫です、毎朝二十キロ走ってますから」 
 しかし薫はこう返すのだった。
「筋力トレーニングもして。体型は維持しています」
「そこまでして食うか」
「しかもあの娘に合う為に」
「何だってしますよ」
 有無を言わさぬ一直線の言葉であった。
「私は何でも。あの人の為なら」
「何枚も食ってかよ。しかも毎日」
「よくやるよ」
「天使に会えるんですから」
 今度はこれであった。

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