志乃「あ」
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き出した俺に対して、これが自然とばかりに言葉を紡ぎ出した。
「葉山君、もしかして、トイレ行くの?私が手伝ってあげようか?」
という、これ以上に無い爆弾発言を。
そして、俺と男子軍団の追いかけっこが始まる。
「葉山ああああああ!!」「年上だからって調子こいてんじゃねぇぞコラァ!!」「うおおおああ!本山さんのおっぱいどうだったああああ!!」「それ気になるぜ教えろコラァァアア!!」
……どうしてこうなった。どうしてこうなったああああああああああ!!
*****
数十分後。授業開始のチャイムと同時に、男子達は悔しそうにクラスに戻っていった。ここは俺も戻った方が良いのかもしれないが、ここで行ったところで授業に集中できるとは思えない。行く当てを失った俺は、仕方なく男子トイレに入った。
「はぁ……」
校内を爆走した疲れと、本山に振り回される精神的な疲れが合わさって、俺は長い溜息を吐いた。ホント、家帰りたい。
「どうしたんだ。そんな溜息吐いてると幸せが逃げるぞ」
突然トイレに声が響いた。だが、どこを見ても声の主の姿は無い。なんだ、トイレの神様か?
「てか、授業始まってるんだからそろそろ戻れ」
その声を聞いて、俺はそれが幼馴染の声である事に気付いた。
「健一郎?お前どこにいんの?」
「やっと気付いたか。今俺は右から二番目の便器でうんこをしてる」
そんな情報求めちゃいねぇよ。お前こそ、うんこしてないで授業出ろや。
とはいえ、幼馴染がいる事に少し気が抜けた俺は、ついつい本山について聞いてしまった。すると、健一郎は「あぁ、あぁ」とか言いながら説明してくれた。
「入学式の時、めっちゃ美人だと思ったから覚えてたんだよ。そっか、お前あの子と同じクラスなんだ。良いな」
「そう思うなら今すぐ変えてほしいよ」
そして、俺は本山の本性について話した。一度喋り出したら止まらなくなってしまったのだ。
健一郎は、トイレ越しにでも分かるぐらい苦笑していた。つか、とっととうんこ出して出てきてくれないかな。なんかトイレとお喋りしてるみたいで違和感が尽きないんだよ。
「なるほどな。やっぱり美人は美人ほど怖いんだな。でも、本山って運動出来る人なんだろ?」
「まぁ、そう聞いてるけど。詳しくは分からん」
「え、知らないの?あの子、ちゃんと成績収めてるんだぞ?」
そこで健一郎から話を聞いた俺は、半ば呆れてしまった。だって、本当に凄いんだもん。
小学校の頃の記録会で長距離走の新記録を弾き出し、中学の大会でも一位を連発。中二の頃に県大会長距離パートで優勝していると言う。これは、まさに『出来る』人間なんじゃないだろ
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