志乃「あ」
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んでくる。ちなみに、その日になって気付いたのだが、クラスの男子のほとんどと女子の半分ぐらいが、本山にゾッコンだった。マジでこいつ怖いんだけど。クラス全体の七、八割を虜にしてるんだぜ。
それを五十嵐にこっそり話してみると、五十嵐は苦笑いを浮かべながら話した。
「私の友達も、皆本山さんと仲良くなりたいって言っててね。なんか取り残された気分だよ」
「五十嵐は本山の事どう思ってんの?」
「可愛くて運動出来て、すごい人だなーって。でも、付かず離れずが一番だと思ってる」
なるほど。どうやらこいつは俺と同じ側の人間のようだ。
その他にも友達と話してみたのだが、そのほとんどが本山の話題を振って来た。やべぇ、本山由実やべぇ。俺そんな奴と関わっちまったのか。
志乃を見てみると、自席で本を読んでいた。もはや周りの空気など知ったこっちゃないみたいな感じだった。本当なら俺もあの立ち位置だったのに……本山め、本当に俺に何がしたいんだ。
俺が内心張り詰めていると、突然後ろから誰かに抱き付かれた。背中に今まで感じた事の無い柔らかな感触。首元にそいつの息が当たり、くすぐったい。
「誰でしょう?」
可愛らしい声で呟かれた言葉と同時に、甘いシャンプーの匂いが微かに鼻孔を刺激する。何か素敵なものに包まれたような錯覚を感じる……って、俺よ何を想像してる!
「一旦離れようか本山!」
「心の中では楽しんでたんじゃないの?ちなみに私はCカップ」
「誰もそんな事聞いてねえ!」
ああもう、最近同じようなやり取りよくするなぁ!俺を全体的に混乱させたいのか?
そこで、目の前でニコニコしている本山の顔を見る。このおっぱい悪女めぇ……マジでとんでもねぇぞ。
と同時に、俺は周囲の冷たい空気を感じ取る。皆が俺を睨んでいるような気がする。皆が俺を殺したがっているような気がする。全て錯覚だと思いたい。全て夢だと思いたい。だが、そいつらの刺のある会話が俺を現実へと引き戻す。
「……そろそろ葉山やっちまった方がいいんじゃね?」「うわぁマジでうらやましすぎる」「本山さんの……本山さんのぉ……!」「葉山君だけズルくない?」「その点志乃ちゃんの方はマトモだけどね」「私もっと由実っちとお喋りしたいのに!」「やっぱあいつ警察突き出した方が」
……お前ら、俺が年上だっていう考慮をもう取っ払っちゃったんだな。俺はものすごく悲しいよ。
そして、俺は本山に背を向け、無言で教室を出るようにして歩き出す。とりあえず、ここから離れたい。そして二時限目はサボろう。
だが、やはり現実は俺を見逃さない。俺が甘い行動を取る事を許さない。それが自分で人生を壊した罰だと言うように。
本山は、突然歩
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