志乃「兄貴の乳臭い恋話が死ぬほど聞きたいだなんて、一っっっっっっ言も言ってないけどね」
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っていうなら、せめて断食一ヶ月とかにしてくれ。
ここまでで分かった事は、本山由実という女は、自分を使い分けて行動する腹黒い奴だという事実。最初の発言さえ無ければ、もう少し気付くのに遅れた事だろう。その言葉の意図を、俺はまだ聞いていない。まぁ、言われなくても分かってるんだけどな。
帰りは依然として志乃と二人だったり、たまに五十嵐が混じっていたりするが、志乃の機嫌が悪いように感じた。「楽しそうで何より」とか嫌味を言ってきたりするのだ。マジでそれは洒落にならないだろ。
一つ良かった事と言えば、志乃がガチで俺を無視していないという事だった。やっぱり志乃も、俺と本山のやり取りを見て本山の本性を見破っていたのだろう。
ただ、俺がそれを断り切れなかったのも事実で、志乃はそこにイラついているのかもしれない。無論、本山の本性も苛立ちの原因だろうけど。
でも、今日は憂鬱な学校生活の事を忘れたい。そして、志乃の蟠り関係無く喜びたい。なにせ、先週頼んだ機材が届く日なんだから。
お届け指定時刻は午後一四時。現時刻は一三時半。よし、あともう少し。ここで一気に志乃と喋って本山の事についても流れで説明しよう。まだ分かってくれていないかもしれないからな。
そうして部屋の椅子に座ってウキウキしていたのだが、突然志乃が無言で部屋にやって来た。
要件を聞こうと口を開けたのだが、その前に志乃が言葉を吐きだす。
「配達、今日は来れないって。明日のこの時間みたい」
淡々と説明する志乃だったが、その声はどこか寂しそうだった。きっと内心では俺と同じぐらい、もしかしたらそれ以上にワクワクしていたのかもしれない。
それにしても、こんな事になるなんて思っても見なかった。明日か、短いようで長いんだよな、こういう時って。
「文句言っても仕方ないし、待つしかないか。教えてくれてサンキュー」
「じゃあ、本山さんと遊んでくれば」
俺とは目を合わせずに、仏頂面を張り付けながらそう言う志乃。しかしその声には、意地悪よりも不満の色の方が強かったように思えた。
そこで俺は、ちょっと息を吐いてから会話を進める事にした。
「お前は、俺と本山が仲良さそうに見える?」
「うん」
「なら、それは間違いだ。俺は別にあいつの事が気になってるわけじゃない」
「知ってる」
「じゃあ何でそんなに不機嫌なんだよ」
ここではっきりさせようと改めて志乃に聞いてみた。そして、数秒の空白の末に志乃は答えた。
「兄貴が本山さんの本性に気付いていながら誰にもそれを伝えず、自分自身楽しくもないのに、それをはっきり断らないこと」
俺の目を見据え、志乃はやや大きめの声を俺にぶつけてくる。そ
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