第5章 契約
第95話 オメガの扉
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べるとかなり鈍い反応で跳ね起きようとする俺。同時に大きく息を吸い込み、体内を巡る気を練り上げようとする。
「それに、大丈夫。彼はここで死ぬ事は有りませんから」
彼を殺せば、このハルケギニア世界は簡単に滅んで終いますからね。
ヴィルヘルムとキュルケの会話が聞こえて来る。確かに、ヴィルヘルムがヤツの顕現ならば、此の言葉も妥当。何故ならば、ヤツの目的は世界の破滅などではない。
いや、結果的に世界が滅びるのならそれも一興、と考えて居る存在。
多くの人間の刹那的な望みを叶えて行きながら、ヤツに力を求めた人間たちが、その力に溺れ、振り回され、結局、滅んで行く様をシニカルに見つめ続ける。それがヤツ。這い寄る混沌と言う存在。
俺のような存在が居れば、その滅びゆく過程に置いて、色々な興味深い経過が見られるはずですから。
双方が無様に足掻く様をね。
――イシェト、ティイム、くぁおうぇ・くせえらとぅ・ふぉえ・なごお、ハスター。ハガトウォス・やきろす・ガバ・シュブ=ニグラス。めうぇと、クソソイ・ウゼウォス――
しかし、そんな思考は一瞬。俺が体勢を整え、体内で気を練り上げた瞬間!
俺の足元が突如、その様相を変えた。足元の土。……元々存在していた腐葉土は確かに自らの足元に未だ存在する。そう言う堅い感触を靴底に伝えて来ている。しかし、その大地の底深くから湧き上がって来る無数の気泡。
その様はまるで熱を伴わない溶岩に覆われた大地の如し。そして、その気泡から発生する異臭。
「ダルブシ、アドゥラ、ウル、バアクル。
顕われ出で給え、ヨグ・ソトースよ。顕われ出で給え!」
異世界の詩を歌い続けていた名付けざられし者……いや、門にして鍵が、呪文の最後の部分の詠唱を行った。
それは、この世に絶対に顕現させてはならない……禁忌の扉。
但し――
「やれやれ。矢張り、完全に顕現させるには至らなかったか」
勢いを増し、空を完全に覆い尽くす炎の五芒星。そして、その五芒星に対応するかのように大地に現われるΩの文字。
大地に着いた俺の両足が焼け、そして爛れて行く。
骨まで露わになりながら、しかし、足首の部分。聖なる傷痕が付けられた部分から上にその爛れが広がって来る事はない。これは……この爛れは大地が発生させた熱により焼け爛れている訳ではないと言う事。
そして地が鳴動し、狂った風が唸りを上げる。
咄嗟にタバサの方に視線を向ける俺。同時に能力を発動。おそらく、この両足に広がる爛れは霊障。それも、呪詛の類。故に、聖なる傷痕より上に爛れが広がらない可能性の方が高い。ただ、そうとは言え、現状、自らの足で立って居る事さえ難しい状態に成ったので上空へと退避を試みる俺。
しか
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